中学生の生徒から、長文を読んでの意見文の書き方についての質問がありました。
一つは、要約の仕方がよくわからないというもので、もう一つは実例に何を書いていいのかわからないというものでした。
要約の仕方は簡単です。
1、長文を読みながら、よくわかったところ、面白いところに線を引く
2、その線を引いたところを中心に何度か繰り返し読む
3、そうすると、文章の全体像が頭に入るので、大事なところを三つ選ぶ
4、その三つの文をつなげてまとめれば150字程度の要約になる
という方法です
よく、「最後の方に大事なことが書いてあるから、最後の結論を中心にまとめる」という要約の仕方をする人がいますが、それは、要点をまとめたことにはなりますが、要約とは少し違います。
意見文の実例は、次のように考えます。
まず、長文を読んで直接に実例を考えようとは思わないことです。そうすると、実例の範囲が狭くなってしまうので、かえって書けなくなるからです。
多くの長文は、もともと説明文になっています。今回、質問があった長文の場合は、「ミミズが生態系の中で重要な役割を果たしている」という文章でした。その説明文から直接実例や似た例を探そうと思うと、実例はやはりミミズの話になってしまいます。そういう直接的な探し方ではなく、まずこの説明文を意見文化していことです。
説明文のままでは、感想は書けないので、この説明文を意見文に変換して考えます。つまり、「○○である」という文書を、筆者の背後の考えにまでさかのぼって、「だから、○○べきだ」というような形にて変換して考えるのです。この場合は、「ミミズの役割を見直すべきだ」などとなるでしょう。
「○○べきだ」というような意見が見つかれば、それに対する自分の意見も、賛成又は反対という形で自然に見つかります。
ところで、筆者の意見が見つかったら、それを、「ミミズの役割を見直すべきだ」という狭い意見のまま考えるのではなく、より大きく一般化して考えることが大事です。例えば、「一見、小さくて役に立たないように見えるものにも重要な役割がある」というような形に広げて考えていくのです。
次に、この一般化した意見を展開するための構成を考えます。
文章の展開の仕方には、「理由を書く」「方法を書く」「原因を書く」「対策を書く」「単に実例を書く」など、さまざまな書き方があります。
もし、理由を書くのであれば、「なぜなら、直接には役に立っているように見えないものでも、実は生態系の中で重要な役割を果たしていることがあるからだ」などというように書いていきます。
この理由を考えたあとに、その理由の裏づけとなる実例を考えます。
例えば、「山に生えている木も、二酸化炭素を吸収して酸素を出したり、山が崩れないようにつなぎとめたり、小動物の棲みかを提供したり、さまざまな役割を果たしている」というような例です。
長文の実例に対して、直接同じような実例を考えるのではなく、長文の意見を一般化したものに対して実例を考えるというようにすると、幅広く実例を考えることができます。