読書が大切だということは多くの人が漠然と感じていますが、どのように大切かということをはっきり説明できる人はあまりいません。
なぜかというと、読書は、「群盲象をなでる」の象と似ていて、それぞれの人が自分の体験をもとに自分なりの読書観を持っていますが、それがほかの人にも共通するわけではないからです。
私も、昔は、自分なりの読書観で読書の大切さについていろいろなことを言ってきましたが、その後、子供たちの読書と勉強の様子を見ていて、いくつかの共通点があることに気がつきました。
その共通点とは、読書は、頭をよくするとともに心も豊かにするということです。
本をよく読む小中学生に共通している特徴として次のようなことがあります。
1、国語の成績がいい。(中には、国語の成績だけがいいという子もいる)
2、作文が上手である。(短い時間で長くリズミカルに文章を書ける子が多い)
3、話をさせると物事を的確に説明する。(構成のしっかりした文章のような説明ができる)
4、理解力と表現力があるので、込み入った微妙な話でも通じ合う。(本をあまり読まない子は、おおまかな話で終わることが多い)
この場合の読書は、必ずしも難しい本である必要はありません。ただし、本が好きで毎日のように読んでいるというのが共通点です。
これが、大学生になると、ただ本を読むのが好きである以上に、難しい本を読んでいるかどうかということが重要になります。
ところが、そういう本を学生が自分で読むことはなかなかできませんから、ここで教育機関としての大学の役割が重要になってきます。
しかし、日本の大学は、本を読ませてレポートを書かせるというような授業をあまりしません。これが、日本の大学の教育力が低い大きな原因になっています。
さて、今の子供たちの読書には、次のような共通の傾向があるようです。
1、幼稚園や小学校低学年の読書環境は充実しているので、本をよく読む子が多い。また、親も読書に力を入れることが多い。
2、しかし、小学校高学年のころから、受験勉強に追われるようになり、読書から一時的に遠ざかる子が多い。
3、中学生になったときに、読書を再開する子と、読書をしなくなる子の二極分化が起こる。
4、その状態が高校生になったときも続き、大学生になってからも続く。
家庭と学校と社会全体が、もっと子供に読書を促すような環境を作っていく必要があると思います。
読書の好きな大人ほど、子供の読書について勘違いをしていることがあるように思います。
1、本は、放っておいても自然に読むようになるものだ。(今はテレビやゲームやインターネットなど魅力のあるメディアが多いので、放っておいても読むようになるとは限りません)
2、親が読んであげると、自分で読めるようにならない。(読み聞かせをたくさんしてあげるほど、自分で読む力も育ちます。小学校中学年になっても、子供が望めば読み聞かせをしてあげることです)
3、本は、強制されて読むものではなく、自分が好きなものを好きなときに読むものだ。(毎日読むことが自然な習慣になるまでは、勉強と同じように家庭学習として読書に取り組ませる必要があります)
4、くだらない本はなるべく読ませないで、名作などを読ませたい。(読書の好きな子は両方読みます。子供が興味を持って読む本が子供にとっての良書です)
言葉の森のfacebookページに、「読書」のグループがあります。
ここでは、子供にどのような本をすすめるかというようなことが話されています。
関心のある方は、ご参加ください。
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