●教育の多様な課題と解決策の不在
日本の教育の問題は、多方面にわたっています。
例えば、増加する不登校生徒、
知識の詰め込み教育、
受験に翻弄される小学生の子供たち。
しかし、高度な受験勉強にもかかわらず、考える力が育っていない現状、
低下する中学生・高校生の読書量、
多忙でゆとりのない教師の仕事、
多様な生徒がいる中で成立させることの難しい集団一斉授業。
これらのさまざまな問題を解決する方法は見当たりません。
教育を論ずる識者たちは、読書教育、道徳教育や自由な教育など、さまざまに提案しています。
しかし、多くは観念的な提案の域を出ておらず、現場に定着する仕組みになっていません。
●制度改革の限界と形骸化する学び
大学の側は、学生を受け入れる必要性から、総合型選抜、推薦入試、特色入試などを拡大していますが、それが中学・高校までの教育に大きく影響するところまでは至っていません。
高校で導入された探究学習も、多くは調べたことをまとめるだけの発表学習になっています。
では、この教育の現状を変える方法はあるのでしょうか。
それはあります。
●評価中心の教育構造とその問題点
現在の学校教育は、先生が評価しやすいことを基準に行われているので、答えのある知識の記憶力を試すようなやり方が中心です。
考える勉強と思われている算数・数学に関しても、解法を理解するための記憶力の試験となっています。
このような現在の教育の問題を解決する方法は、読書、作文という答えがない考える勉強を教育の中心に位置づけることです。
●読書と作文を軸とした教育改革の提案
そのためには、読書力や作文力を客観的に評価できる仕組みが必要です。
それを提供できるのが、言葉の森の図書検定および作文検定です。
図書検定は、指定図書のリストをもとに、選択試験や記述試験で指定した図書の読み取りを評価する仕組みです。
指定図書のリストは、オープンに論議するかたちで決めていきます。
作文検定は、作文の語彙力をもとに作文力を評価するとともに、AIによる講評を組み合わせた評価の仕組みです。
いずれも、客観的な基準で評価することを基本としています。
ただし、これらの図書や作文の教育が教師の負担を増やすようでは、教育現場に定着させることはできません。
図書検定も作文検定も、客観的な評価を伴いながら、教える教師の新たな負担は何もないようにしています。
●教育の根本的転換と将来への展望
これからの教育改革の基本は、図書検定と作文検定を学校教育の中に位置づけ、子供たちが毎日本を読み、毎日文章を書く教育を作ることです。
日本を発展させるための根本は、まず日本の教育から立て直すことです。
そのためには、小学生から中学生までの義務教育を、読む教育、書く教育、考える教育中心に切り替えることです。
言葉の森の作文検定と図書検定は、日本の教育を立て直すことを目指しているのです。
●受験作文の指導は今後もやっていきます。教科の指導はなしということです
言葉の森の受験作文指導は、小学校の編入試験、中学入試、高校入試、大学入試とも多くの実績があります。
https://www.mori7.com/beb_category.php?id=19
したがって、受験作文指導はこれからも行います。
ただし、教科の指導まではしないということです。
●受験制度の変質と評価への疑問
公立中高一貫校の入試は、教科書の範囲内の試験と、作文試験が中心ですから、無理な勉強をしなくても誰でも努力すればできると考えていました。
しかし、教科の問題は年々難問が多くなり、作文の試験は国語的な問題の量がどんどん増え、要するに早く解けるかどうか、解き方のコツを知っているかどうかで評価するような試験になっていたのです。
そして、言葉の森から受験した子のうち、当然合格するだろうと思っていた子はそれぞれ合格しましたが、その中に当然合格すると思っていた子で合格しない子が出てきたのです。
これは本人の実力がなかったからではなく、学校側の評価が正しく行われていなかったからだと思いました。
実際に、ある都立中高一貫校で学校側が出していた「記述の模範解答」がレベルの低いものでした。
生徒に「僕の答案が、模範解答のようにならないのですがどうしたらいいのですか」と聞かれたので見た結果、「君の答案の方がよく書けているよ」と励ましたことがありました。
●受験勉強のマイナス面と方針転換
こういうランダムな評価をする受験勉強に、六年生のまだ勉強の自覚もない子が挑戦し評価されるマイナス面があると考えたので、公立中高一貫校の受験対策はやめたのです。
子供たちの本当の勉強は、中学三年生の十五歳ごろから始まります。
この頃になると、自分の生き方というものが分かってくるので、何を目指すかという意識が出てきます。
そういう意識を持てるようになった子は、試験に合格しても、また不合格になっても、それが両方とも自分の成長の糧になるのです。
だから、十五歳になるまでの間は、自分の好きなことをのびのびやって、読書に明け暮れているのがいいと思いました。
●学歴観と人生における本当のゴール
子供たちの勉強のゴールは、大学入試ではありません。
社会に出て活躍することです。
今の日本の社会では、どこの大学を出たかということが、就職試験の入り口で選別される条件になっています。
だから、就職に関しては、いい大学を出たという学歴がある方が有利です。
しかし、有利と思えるのはそこまでです。
世の中に出れば、新しいチャンスはいくらでもあります。
そのチャンスを見つけて、そこに乗るかどうかは、どこの大学を出たとかどこの会社に入ったとかいうこととは関係がありません。
すべて自分の意思次第で決まるのです。
●子育ての本質と読書の重要性
だから、子育ての基本は、よい成績を取ってよい大学に入ることではなく、将来世の中に出て自分の道を切り開く意欲を育てることです。
その方法に、一律のやり方はありませんが、共通するのは、読書に力を入れること、子供をいつも褒めて自信を持たせること、他人に対する思いやりを持たせることになると思います。
●変化する時代と子供の力への信頼
今、世の中は大きく変わっています。
明治維新の時に世の中がどのように動いているか、誰にも分からなかったように、これから世の中がどのように動いていくかは、分かったようなことを言う人はたくさんいますが、本当のところは誰にも分かりません。
それは、その場その場で、一人ひとりが自分の判断で行動を決めていくことなのです。
そのときの子育ての考え方の基本は、子供の持っている力を信頼することです。
どのような境遇になっても、人間は自分の力で道を切り開いていきます。
親の持っている古い価値観で進むべき道を示唆するのではなく、子供の持っているもともとの力を信頼していくことが大事なのです。
●これからの具体的な学習方法とAI活用
では、具体的に小中学生の勉強の仕方はどうしたらいいかというと、標準問題を百パーセント完璧にできるようにして、算数数学は学校よりも一年間先取りしておくことです。
今は、AIに相談すれば、学校や塾の先生よりもわかりやすく懇切丁寧に教えてくれます。
AIは、個人別の家庭教師と同じです。
そして、勉強の先取りをしたあと、受験の最後の一年間だけ、志望校の受験に特化した勉強をするのです。