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テストのための学力ではなく、自分なりに考えるための学力を as/1509.html
森川林 2012/04/03 19:43 
修 削



 これまで、自分なりにいろいろな本を読んできて、本というものが大きく二つに分けられるように思いました。ひとつは、著者なりの物の見方や考え方のある創造的な本、もうひとつはさまざまな資料を駆使して卒論のようにもれなく知識が網羅されているが、特にこれといって創造的なものが感じられない本です。大雑把すぎる分け方ですが、前者が買って得した本、後者が買ってそうでない本とするとわかりやすいかと思います。そして、この区別が、それらの著者の勉強のスタイルに帰因するのではないかと思ったことがあります。

 創造的なことを書く人は、自分の源泉となるような古典あるいは繰り返し読むような数冊の本を持っているようです。それに対して、資料のような本を書く人は、1冊の古典のような本と格闘するよりも、広く浅くだれからも必要とされるような本を読んでいるだけなのではないかと思いました。

 これが、そのまま子供たちの勉強のスタイルにもあてはめることができるように思います。現代の勉強は、その勉強を通して何かを発見したり創造したりするためではなく、その勉強を通して何かの試験に合格するために行われているという面があります。

 合格するための勉強というのが、この広く浅く必要なものをひととおりマスターしておくという網羅的な勉強です。それは、試験というものが選抜試験である以上やむを得ないものですが、問題は、そういう網羅的、資料的な勉強の仕方が低年齢化していることにあります。

 世の中は、自然にしろ社会にしろ、接すればどこまでも続く無限の深みを持っています。だから、子供たちは、ある物事(遊びや趣味)に夢中になり、大人の目から見てよく飽きないと思うほど長時間集中して取り組むことができるのです。

 ところが、網羅的な勉強をするときは、世界はすべてある答えの決まっている平面的なものとして子供たちの前に登場します。「日本一高い山は? はい、富士山。」「では、その高さは? はい、3776メートル。」というような調べればわかる知識が、まるで自分を取り巻く世界そのものであるかのように見なされて知識化されています。その知識を身につけることが勉強であるかのように考えられているのです。これは、もっと複雑な英数国理社の勉強でも同じです。

 もちろん、子供(というか人間)は、もともと本来の知識欲がありますから、やがてただ答えが○になるだけでは満足せずに、より深く知りたいという気持ちを持つようになってきます。しかし、今日の社会では、この網羅的な勉強のスタイルが、そのまま大学入試まで続いてしまうのです。そして、そういう勉強スタイルに適応した子ほど、周囲からはとりあえず優秀な子供だと見なされているのです。

 これからの社会に必要なのは、自分なりに考える力で、その考える材料として多くの知識があるべきなのですが、現状は、多くの知識自体が目的になり、それを組み合わせることが知的な作業のように思われています。

 日本をよりよい国にしていくためには、このような勉強の仕方そのものを変えていく必要があります。それは、資料を網羅する力ではなく、自分の関心のあることを深く知り、そして考える力を育てていくことになると思います。



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