■繰り返し読むことが理解の王道
難しい文章であっても、繰り返し読んでいると読むにつれて内容が理解できるようになります。
文章の理解というものは、知らない単語を調べたり文章の意味を人に聞いたりする中でできるのではありません。そういう方法は理解できる気がするだけで、読んだものが自分の血や肉になる読み方ではありません。
文章は丸ごと繰り返し読む中でそのエッセンスが自分の理解力を育て、その中の表現が自分でも使えるようになるのです。
この音読をもっと徹底したのが暗唱です。音読と暗唱の両方をやるのが大変なときは、どちらか一方でかまいません。一般に学年が上がると、子供はだんだん暗唱が苦手になります。それは暗唱の力がなくなるからではなく、物事を理解して記憶しようという意識が前面に出てくるので、単純に繰り返し音読するということをしにくくなるのです。そういうときは、簡単にできる音読だけを毎日続けるという方法が有効です。
課題長文は1200字程度のものが多いので、全部読んでも2、3分です。ところがこの2,3分の音読を毎日続けていると、どの子も必ず読む力がつき、文章の表現力が増してきます。それは課題の長文がその学年の子にとっては、やや難しいものになっているからです。
■音読や暗唱のコツ
子供が音読をしているときは、小さい声で読んでもふざけて読んでも気にしません。毎日声を出して読むことが大事なので、読み終えたつど褒めてあげることが大事です。もちろん、読み方の間違いがあれば直してあげます(中学生が課題長文を読む場合、読み間違いがかなりあるはずです)。しかし、大事なことは、毎日読むことと、それを親が褒めてあげることですから、必要以上に注文はつけないことが大事です。
暗唱の仕方は、学習の手引に動画を載せていますが、。要点は、やや早口で、同じ調子で、立ち歩きながら(の方がやりやすいことが多い)、決めた回数を繰り返し音読することです。ただし、早口とは言っても、最初の数回はゆっくりていねいに正確に読まなければなりません。最初に間違って読むと、あとから直すことが難しくなるからです。
この方法をうまく子供に伝えるためには、本当は親も一度は暗唱の練習をしてみるといいのですが、そういう練習をしない場合でも、やりやすい原則はできるだけ守るように続けさせてください。
このやりやすい方法と正反対なのが、ゆっくりと心情を込めて読むこと、ときどき違う調子で読むこと、きちんとした姿勢で動かずに読むこと、回数を繰り返さずに覚えることを目的として読むこと、声を出さずに黙読で読むこと、最初から早口で読もうとして間違った読み方で読んでしまうこと、などです。
■音読をもとにその長文を子供から親に説明させ家族で対話をする
音読、暗唱の次に大事なことは、毎週の課題を子供からお父さんやお母さんに説明する時間を作ることです。自由な課題のときは何を書くか、題名課題のときはその題名でどんなことを書くか、感想文課題のときは元になる長文の内容を説明するようにします。子供の方から親に課題を説明することで、子供の自覚が生まれます。そして、その子供からの説明をもとに、お父さんやお母さんが雑談風に似た話をしてあげます。この両親と知的な対話をするという習慣が子供の思考力を伸ばします。
ところで、子供はせっかく親の話を聞いても、それを作文にうまく書くことができません。しかし、そこでがっかりせずに子供の書いた作文については、いつも温かく関心を持って見てあげることです。作文を書く意欲は、身近なお父さんやお母さんがその子の作文の勉強に関心を持っていることによって育ちます。そして、親から聞いた話は、そのときの作文の中には生かされなくても、必ず子供の心の中に残り、あとから子供の考え方や生き方の中に生きてくるのです。
■書けないときはすぐに相談の電話を
さて、作文を書いている最中の場面で、共通の相談をよく受けます。
多いのが、なかなか書けずに何時間も考えていたというものです。先生からの電話のあとすぐに書くというのが原則ですが、電話のあとまもなる食事の時間になったりテレビを見る時間になったりすると、作文は中断してしまいます。
また、作文の中には、課題にあった例が思いつかず、なかなか書き出せないというものがあります。作文は、最初にすぐに書き出せないと、その書き出せない状態が長くなればなるほどますます書けなくなります。電話のあと10分も考えているようだったら、親が指示して教室に再度電話をさせてください。それで書けないという問題はほぼ解決します。たまに、親に叱られてべそをかきながら電話をしてくる子がいますが、そこまでこじれさせてはダメです。にこやかに早めに対応することが大事です。