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今後起こりうる経済危機と言葉の森と森林プロジェクト as/1661.html
森川林 2012/11/27 19:52 
修 削



 EU諸国、アメリカ、中国、日本のどこが先に経済破綻しても、またそれがいつそうなってもおかしくないのが今の世界です。

 銀行や国家の経済破綻を先延ばしするために、これまで印刷されたマネーが際限ないほどに投入されてきた結果、破綻はかつてないほど大きなものになることが予想されています。

 しかし、人間は予期できない危機には弱いものの、予期できる危機については英知を結集して切り抜けてきた歴史があります。今回の危機も、もしかすると、全く新しい方法でうまく切り抜けられるかもしれません。

 しかし、私たちが今すべきことは、あてのない偶然に期待することではなく、最悪の事態が起こった場合を想定して、可能な対策を考えておくことです。

 破綻は、どこか一か所でほころびた場合、一挙にグローバル化された世界に広がります。日本以外で破綻が起きた場合でも、その影響は当然日本にも及びます。金融機関の帳簿上債権となっていたものが、一瞬のうちに何もなかったことになるという事態があちこちで生まれるでしょう。

 そして、金融機関の破綻は、リアルな世界にも広がります。それは、さまざまな分野にさまざまな形で現れますが、その大きな方向は予測することができます。それは、社会にとって不要なものが役目を終え、必要なものがより強く求められるようになるということです。

 人間にとって最も必要なものは生存ですから、食と住の確保は最も強く求められるものです。住は条件を問わなければ日本では余っています。食は自給率は40%であるとすれば、40%までは確保できるということです。もちろんこの40%を均等に保障するには政治の力が必要です。

 食と住に次いで必要なもののひとつが教育です。子供たちは、自然に成長していきますが、学力は自然には成長していきません。学力の向上を保障するものは教育です。だから、教育を経済危機に対応できるものに作り変えていく必要があります。

 今の教育は、校舎と教科書と先生によって担われています。しかし、その裏づけとなっているものは、公立学校の場合は税金であり、私立学校の場合は保護者の授業料と補助金という形の税金です。経済危機はお金が動かなくなることですから、校舎と教科書は残っても、肝心の教える先生を動かすお金がなくなっているのです。

 そこで動き出すのが家庭と地域です。言葉の森は、この家庭と地域における教育を組み立てていく手順を考えています。

 言葉の森の生徒の家庭が受講料を払えなくなったとします。すると、言葉の森はその家庭に対して毎月受講料を上回る地域通貨を発行します。

 その地域通貨の名称をとりあえず円ではなく球とします。わかりやすく1円=1球の価値です。球はキューともQとも書きます。(以下Q)

 地域通貨の発行の仕方は手帳です。手帳に、入、出、残の三つの行を設け、毎月、生徒の手帳の入の欄に、例えば10000Qと書いてサインをします。そして、言葉の森の手帳には出の欄に10000Qと書いておきます。

 言葉の森の受講料が8200円だとすると、保護者は現金で8200円を支払ってもいいし、手帳に書かれたQから支払ってもいいのです。

 保護者が手帳のQから支払う場合、その手帳の出の欄に8200Qと書き、受け取った言葉の森は、言葉の森の手帳の入の欄に8200Qと書きます。この場合、最初の10000Q入っている生徒の手帳の残は1800Qとなります。

 そこで、今度は、この1800Q以内で教育サービスを提供してくれそうな人を探すのです。地域には、子供たちに勉強やスポーツや音楽や遊びを提供できる人がいます。その人に、例えば、10人の生徒が音楽の指導を頼む場合、生徒10人の手帳の出にそれぞれ500Qなどと書き、その音楽の指導者にも手帳を作り、その手帳の入に5000Qと書きます。このようにして、地域の中で本当に必要なものを中心に、新しいお金が回っていくのです。

 いろいろな人がQというお金の手帳を持つようになったあと、近所の公園で市(いち)を開きます。それぞれが自分の提供できるものに、Qという値段をつけて持ち寄ります。それらの持ち物はQでなければ買えないので、まだQを持っていない人は、円を出してQを買います。

 そのようにして集まった円のお金は、まだQが通用しない外部の世界から物財を購入することに使われます。

 やがて、手帳では面倒だからと、サーバーにデーターベースを設け、そこに携帯などでアクセスしてユーザー名とパスワードでQをやりとりする仕組みもできてくるでしょう。そうなると、Qは容易に他のさまざまな地域通貨との互換性を持つようになります。Qと他の地域通貨をある比率で換算すればいいだけだからです。

 では、最初に生徒にQを発行した言葉の森は、そのQの裏づけとして何を持っていたのでしょうか。それは、金のような実物資産でも、円の貨幣資産でもありません。言葉の森の生徒に教育を提供するという動的なサービスが資産になっていたのです。

 このように考えれば、実物資産も金融資産も持たないが動的なサービスなら提供できるという人は多いはずです。その動的なサービスが生成されるのは、そこに動的なニーズがあるからです。言葉の森のサービスは、南極やアフリカでは何のサービスにもなりません。金やダイヤモンドはどこに持っていっても金やダイヤモンドですが、サービスはそのサービスを喜ぶ人のいるところでしかサービスとはならないからです。

 しかし、実はここに日本の将来の富の源泉があります。日本人は、衣食住さえ満たされればあとは何のニーズもなくただ満足して寝て暮らすだけの文化の中には生きていません。よりよい生活を求めるニーズが次々にわいてくるのが、日本の文化の特徴です。そこでニーズという形で無から富が生まれてくるのです。

 これが今後起こりうる経済危機への根本的な対処法です。言葉の森に通う生徒は、どれほど大規模な経済危機が来ようと、今と同じ形の勉強を続けられます。しかし、通信のクラスの場合は電話料や郵送料のさまざまなコストがかかります。通学のクラスであれば、コストは限りなくゼロに近づけられます。その通学のクラスの教室を担うのが森林プロジェクトになるのです。

 しかし、こういう事態が起こらないようにするのが大事であることは言うまでもありません。日本にも世界にも、まだ無限の開発の余地があります。その開発の中には、自然と共存するための開発も含まれます。

 アメリカがシェールガスの開発に着手し始めたように、日本もこれからメタンハイドレートばかりでなく、海洋に眠るレアアース、海洋そのものを利用する浮島開発など、さまざまな開発ビジョンを持っています。しかし、大事なことは、その国家的なビジョンと並行して、民衆が自分のできる範囲で新たなニーズと新たな供給を作り出していくことなのです。



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