中学生のころの勉強の仕方にはコツがあります。
そのコツとは、大枠は親や先生が指示する必要があるということです。
戦略、戦術、戦闘という区分で考えるとわかりやすいと思いますが、中学生は、戦闘レベルのことはがんばってやります。やることが決まっていれば、その方向で努力することはできるのです。
しかし、どういうことをすればいいか決める力はまだないのが普通です。だから、戦術レベルがまだ不十分なのです。それよりも大きな戦略レベルのことは更にわかりません。
受験の合格が目的だとすれば、過去問を分析して、自分が勉強する参考書や問題集を決めて、計画を立ててやるということまではできないのが普通なのです。
ところが、学校の先生は、「もう小学生ではないのだから、自分で考えてやりなさい」という姿勢で臨みます。
また、保護者の方も、「もう小学生ではないのだから、自分でやってね」と、本人に任せようとします。
そして、本人も、「もう小学生ではないのだから、自分でやらなければ」と思うのです。
ところが、中学生本人は、戦闘はできるものの、戦術や戦略を立てる力はまだないのです。
そこで、塾や家庭教師が登場します。
しかし、塾や家庭教師は、子供の成績を上げることが目的ですから、戦闘の仕方まで手取り足取り教えてしまうことが多いのです。
その結果、確かに成績は上がります。しかし、勉強の中で試行錯誤しながら、子供が自分で戦術や戦略まで考えるように成長することはなかなかできなくなります。
そういう勉強を続けてきた子は、高校生になっても、大学生になっても、更には社会人になっても、自分で戦略や戦術を考える姿勢が作れなくなります。
これが、指示待ち社員という、指示されたことはきちんとできるが、自分で問題を発見して仕事をすることは苦手という社会人を生み出しているのです。
だから、一般に、成績のよかった子ほど、指示待ち型の社会人になることが多いのです。
したがって、中学生の勉強の仕方は、二つの方向で進める必要があります。
ひとつは、何をどう勉強したらいいか大枠を指示してあげることです。とは言っても、親でも最初は大枠などはわかりません。しかし、年の功というもので、何度か一緒に見てあげているうちに、中学生本人が自分で考えるよりも的確な方針を出すことができるようになるのです
もうひとつは、そういう大枠を決める力を本人が持てるように誘導することです。
だから、何かを教えるときも、手取り足取り教えるのではなく、できるだけ本人が自分でやれるように工夫することです。
そして、本人が勉強の戦略と戦術を身につける最もいい方法が、勉強法に関する本を読むことです。
書店の参考書のコーナーに行くと、「中学生の勉強法」「中学生の自宅学習法」などの本が並んでいるコーナーもあります。実は、勉強そのものよりも、こういう勉強法の本を先に読んでおくことが役に立つのです。
これは、高校生でも同じです。高校生の場合は、一般的な勉強法の本だけでなく、志望校の「○○大学合格体験記」なども参考になります。受験とは、一般的に学力をつけることではなく、ある特定の志望校に合格することが目的だからです。
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