上田渉さんの「勉強革命」の話の続きです。上田さんは、物語文の読み取り方は、「登場人物に感情移入して、なりきる」という読み方をすすめています。
物語文は、その物語の世界に没頭して読むと、問題を解くというよりも、自分の経験したことを思い出して解くという感覚になります。これが、物語文を早く正しく読み取るコツです。
こういうコツを身につけるためには、小さいころから本を楽しく読む習慣をつけておくことです。だから、大人から見ればくだらないように思える本でも、本人が楽しく読んでいるのであれば、その時間を確保してあげる必要があるのです。
物語文は、没頭して読むことが読み方のコツですが、説明文の場合は、構成を考えて読むことが大事になります。
この構成を考えて読むことと、構成を意識して書くことの間には共通点があります。
論説文の解き方については、上田さんは、フレームワークにあてはめて読むということを述べています。そこで述べられているフレームワークは、帰納法、演繹法、弁証法です。
実は、言葉の森の作文の勉強がこのフレームワークです。
例えば、帰納法は、複数の実例から一般化した主題でまとめるという小6相当の課題です。学年こそ小6相当となっていますが、この構成は、大学入試でも、社会に出てからも充分に使える枠組みです。
演繹法は、ある意見からその理由を複数挙げ、その理由の裏付けとなる実例を書くという中1相当の意見文の書き方です。この演繹法は、取り上げる意見の方向性によって、展開の部分が変化します。中1相当は複数の理由ですが、中3と高1は方法、高2は原因、高3は対策となります。
この、理由、方法、原因、対策という構成の仕方を身に付ければ、どのようなテーマの小論文も、理路整然と書くことができます。言葉の森の受験作文小論文のページには、現在2000件以上の解説が載っていますが、このほとんどがすべて小6から高3までに習う構成の仕方で書かれています。
しかし、もちろんフレームワークだけがあっても、上手な小論文が書けるわけではありません。大事なのは、フレームワークに入れる中身で、その中身は問題集読書のような難読を続けることで身につきます。
さて、帰納法、演繹法に続く第三のフレームワークは弁証法です。
言葉の森の作文では、これは中2の構成の仕方で、複数の意見から総合化した意見を生み出すという書き方です。
大事なポイントは、単なる折衷案の意見にならないようにすることですが、これがかなり難しいのです。うまく決まれば素晴らしい作文が仕上がりますが、うまく決まらずに折衷案でまとめてしまうと、竜頭蛇尾の印象になってしまいます。難しいだけに、考えがいのある書き方です。
作文の書き方で構成を意識していると、文章を読み取ったり、複雑なテーマをまとめたりするときも、構成的に考えるようになります。
だから、言葉の森で勉強をしていると、読解力、作文力だけでなく、会議の司会などする力もついてくるのです。