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学年別作文の特徴と指導のポイント2 as/2428.html
森川林 2015/09/28 21:02 


 小学2年生は、字数に燃える学年です。
 1年生のころはまだ指の力が弱くて、長く書くことができなかった子が、2年生になるとだんだん長く書けるようになってきます。
 すると、その長く書けることがうれしいので、ひたすら長く書くことを目標にするようになります。

 これは、これでいいことです。人間は、自分が成長しているところを伸ばすのが好きですから、字数が長く書けるようになってきたら、その字数をもっと伸ばしたくなるというのは自然の感情です。

 しかし、字数を長く書くのに関心が向く分、字が雑になったり、細かい表記ミスが出てくるようになります。
 このときに、「字数だけ長くてもダメ。もっと○○でないと」などと言ってはいけません。
 褒め言葉は、本人ががんばっているところに向けて言うのが原則です。だからそれほど難しくはありません。
 しかし、注意の言葉は、本人が意識していないところで言ってしまうことが多いので、それが作文の苦手な子を作ってしまうことがあるからです。

 字数の長さに燃えているのであれば、ただそこを褒めているだけでよくて、その字数以外の注意は言う必要ありません。
 もし、注意をするとしたら、それは事後的な注意ではなく、作文を始める前に、「今日は、こういうことに気をつけて書くんだよ」と事前に言っておくことです。

 字数の長さを褒めるだけで、なぜ細かい表記の注意はしなくてよいかというと、字数に燃える時期は小2の間だけで、小3になると自然に字数の長さへのこだわりを卒業するようになるからです。
 小3になると、字数よりも、表現の工夫や内容の面白さなどに関心が向いてきます。すると、字数は自然に短くなります。
 小2のころよりも字数が少なくなるので、手を抜いているように思うかもしれませんが、この字数が短くなってきたことが進歩なのです。

 では、なぜ小2のころ長く書けるのかというと、小2までは、自分の言葉で書いているわけではないからです。
 本をよく読む子は、読んだ本の文章がのリズム感がそのまま頭に残っています。だから、自分で考えて書くのではなく、本の文章のリズムをそのまま自分が書こうとしている事実に結びつけて写しているだけなのです。
 読書の好きな子は、小2のころに大人も顔負けの達者な表現で作文を書くことがあります。そういう文章が書けるのもやはり、自分で考えて書いているわけではないからです。

 ところが、小3になると、自分の言葉で作文を書くようになります。すると、小2のころよりも、字数も短くなるし、表現もつたなくなることが多いのです。

 言葉の森では、生徒によく、「上手に書けたものがあったら応募するといいよ」と言っています。
 しかし、コンクールなどの応募の適齢期は、小3から小4にかけてです。なぜかというと、この時期は、本人も上手に書くことを意識できる時期で、また作文の題剤も書きやすいものが多いからです。
 小5以降になると、課題が難しくなるので、上手な作文は書きにくくなります。しかし、もちろん小5以降、小6も中高生も、自信のある人はどんどんコンクールに応募しておくといいのです。

 小2以下は、コンクールへの応募はおすすめしません。その理由は、どこかに応募したいという意識が本人にまだないからです。
 また、応募するとなれば、いろいろ書き直すところが出てきます。もともと自分の意思で応募したいと思っているわけではないところに、細かい書き直しがあるわけですから、作文というのは大変だという気持ちを持ってしまうことが多いのです。

 小2までの生徒のいちばんの喜びは、身近なお母さんやお父さんや先生が、自分の作文に関心を持って温かい言葉をかけてくれることです。
 コンクールに入選するとか、ご褒美の賞品があるとかいうことは、この時期の子供たちの本当の喜びではないのです。

 言葉の森では、小1と小2の作文の重点目標は、「楽しく書くこと」としています。
 この時期に、たっぷり楽しく書いていくことが、その後の作文の勉強の土台となるのです。



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