ログイン ログアウト 登録
 11月の森リン大賞より Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2519番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
11月の森リン大賞より as/2519.html
森川林 2016/02/04 17:04 




小6の部
 小6の「ふふふ」さんの作文の森リン点は80点でした。(思考語彙43点 知識語彙75点 表現語彙78点)
 この作文のよいところは、お母さんに取材した実例が生きていることと、「物には……」というように感想を一般化して大きく書いていることです。たとえや結びの表現もよく工夫しています。

私だけの宝物
          ふふふ
私は、九歳の誕生日から三年以上ずっと同じ筆箱を使っている。クラスの皆は毎年、新しい筆箱に替える。それは、筆箱というよりもポーチ形やペン立てにもなるケースだ。可愛いキャラクターが描かれており、さらにたくさんのキーホルダーをジャラジャラとつけている女の子もいる。中はカラーペンやシャーペンでパンパンになっている。だが、私のは赤の牛革でできていて、普通の長方形の筆箱だ。中には鉛筆五本、赤青ボールペンに消しゴム、定規しか入っていない。そんな筆箱を見ると、友達は、
「なんか一年生の筆箱みたいだね。なんで変えないの?」
などと、言ってくる。だが、私はシンプルで使いやすいこの筆箱をとても気に入っていて、大切に使っている。
 この筆箱は、九歳の誕生日プレゼントとして、母からもらったものだ。
「大切に長いこと使ってね。できたら、中学三年生まで使ってくれたらうれしいな。」
と、言われた。ちょうど一年生から使っていたピンク色のクラリーノの筆箱のふたがベロンとむけて、壊れかけていたからだ。私は、母にどうしてこの筆箱を選んだのかを聞いてみた。
「ママが小学校に入学する時、おばあちゃんがえんじ色の革の筆箱を買って来てくれたの。でも、ママは『そんなのより、もっと可愛いのがいい~』と言って泣いたの。それでキキララの筆箱を買ってもらって、それを使ったんだ。しょうがないから、その筆箱はおばあちゃんが今でもずっと使っているんだよ。」
と、母は教えてくれた。
「えっ!そんな前から使っているの?その筆箱、見たことあるよ。」
と私は驚いて言った。
「ママはその時、全然わからなかったけれど、大人になって、良いものを大事に長く使った方がいいと分かったから、それを知ってほしくてプレゼントしたんだよ。」
 「物には魂が宿る」とよく聞く。確かに一つの物を長く大切に使っていると、それがあるだけで気持ちが落ち着いたりすることがあると思う。長く大切にされた古いものは味わいや気品みたいなものが感じられると、アンティークが好きな母は話してくれた。古くて大切にされたものは、人間にとって、その人にしかわからない大切な物になる。私の筆箱は、他の人には可愛くない古ぼけた筆箱に見えるだろう。でも、私にとってはあると落ち着くし、ずっと一緒に勉強してきた仲間みたいなものだ。だから、ずっと大切にしていきたい私だけの宝物だ。
 私はまた今日も、赤い筆箱を開く。
「今日も一日、勉強、頑張るか!」


中2の部
 中2の「しろめウサギ」さんの作文の森リン点は85点でした。(思考語彙56点 知識語彙65点 表現語彙83点)
 複数の意見を総合化した形でよくまとめています。
 桃太郎の昔話の実例が、構成に広がりを与えています。このように話題を広くとりながら、しかもひとつの意見にまとめていくのが構成力のあるところです。

面白さと魅力
          しろめウサギ
 今の私たちの 「流行」といえば、スポーツ関連のモノだろう。例えば、ラグビー。今まではニュースなどでラグビーを見たことがなかったが、ワールドカップのあの活躍ぶりに日本人を心を躍らせた。これまでも同じようなことはことはいくつもあった。サッカー・野球・水泳・・・。どれも本当に素晴らしいのだが、その「流行」は長くは続かなかった。流行はスポーツの場合、いい成績を残したとき・チームの中に特徴的な人がいたとき、○○フィーバーなどと呼び、日本人は跳ね上がった。しかし、ほかの競技で新しい成績が残ると、日本人の木はすぐにコロッと変わってしまうのだ。こうして流行は長くはつづかなくなってしまう。これからも「流行」は長続きはしないのだろうか。
 流行のモノは多くの人の気持ちを引き付ける力がある。日本には流行語大賞というものがある。その一念でよく使われた言葉・印象的だった言葉を決めるものである。その流行語が決まった後のテレビは特にすごい。その言葉を残した、お笑い芸人のネタや、スポーツ選手。その人たちばかりがテレビでよく見かけるようになるのだ。流行語の言葉の引用のされ方はそれぞれであるが、人から人へ、メディアを通して日本中に知れ渡るのだ。スポーツやお笑いに興味はなかったとしても、流行語となった言葉だけはなぜか知っていて、よく使うという人は少なくはないだろう。「流行」がひきつける言葉の引力はとても強いものだと思った。
 一方、古典のモノが長い間愛されてきたのは、それだけの魅力があるからだ。音楽で言うと、バッハやベートーヴェン・ショパンやほかのさまざまな作曲者の曲が約200~500年もたった今でも聞かれ続けている。歴史的には、その長い年月の間にたくさんの事件が起こっているのに、形も変わらず音楽は私たちの心を今でも癒し続けてくれる。長い間人々に愛され続けるものというものは、時代を超えて感じさせられる何かがしっかりとその中に含まれているからなのだろう。昔話の桃太郎は、桃から生まれた男の子。皆さんはここに驚いたのではないだろうか。ありえないことが書いてあったからこそ、日本中の人が桃太郎の話を面白いと思ったのだろう。桃太郎の場合は、その意外さが魅力につながったのかもしれない。
 確かに、古典にも流行にもいいところがある。しかし、最も大切なことは、古典や流行などとこだわらずに、自分なりにその魅力を見つけ出していくことだ。「真に良いことは、新聞に大きな騒ぎを起こすことなく、小さく始まる。」という名言があるように、そのものの良さを知るためには、自分なりに解釈してみて、自分なりに魅力を考えてみた方が、より面白さを感じるのだろう。理解して魅力を考えてみれば、想像力も豊かになるし、発想力・脳の回転も速くなる。それを続けてみれば、自分の成長にプラスになるに違いない。


高校生の部
 高1の「れたす」さんの作文の森リン点は88点でした。(思考語彙59点 知識語彙87点 表現語彙80点)
 個性を大切にするための複数の方法がバランスよく書けています。体験実例も個性的です。
 「規則とは、表現の自由を奪うものではなく、人々が快適に過ごすために作られるものである」という光る表現も結びに上手に入れています。

規則規則規則の中で光る個性
          れたす
 私は、中学校に入学し、初めて生徒手帳を手にした時の衝撃を未だに覚えている。そこには、校則が何ページにも渡って書き綴られていたのだ。
「こんなに決まりごとがあるの?」
と新たな生活に馳せた希望がしゅんとしぼんでしまったような気がした。私たちは、規則に縛られずに個性を大切にすべきだと思う。そのためにはどうしたら良いだろうか。それには二つの方法がある。
 第一の方法は、自分自身を表現することだ。私は、小学生の頃からピアノを習っている。そして、いつも教わっている先生に勧められ、中学一年生と二年生の時に作曲し、それを発表会で披露したことがある。普段は誰かが作った曲を弾いていて、強弱記号など楽譜に書かれていることを分析し実際に表現していくことはとても難しい。しかし作曲は、その何百倍も難しかった。まずどの音から始めれば良いかがわからない。また確固たるテーマがないと、部分的に出来上がっていくだけで、それぞれを合わせた時、違和感が生まれてしまう。そこで、私は一日の様子を音で表現しようと考えた。初めは明るく、穏やかな感じをイメージし、途中からハプニングがあったように不安で、暗い感じをイメージして作っていった。作曲している間、私には今まで感じたことのないような充実感や緊張感があり、自分のイメージに音を近づけていくことがこんなにも難しく、そして楽しいことを初めて知った。これが自分を表現して、他人に伝えるということなのだろう。
 第二の方法は、途中経過を大切にする考え方に変えていくことだ。私は、学年が上がるにつれテストの解答欄が大きくなっている気がする。小学校の頃は、ただ答えが合っていればマルがもらえたが、高校生にもなるとどこかの式が抜けていると答えが合っていてもバツにされてしまう。それは、結果だけでなく途中経過も大切にする考え方がポピュラーになってきている証拠である。ここで、学年が上がるにつれて増加するものは解答欄の面積だけではない。例えば、公式の数もそうである。高校生になると、数学だけでなくほぼすべての教科にあらゆる「公式」が存在する。しかもそのうちのほとんどは、覚えているか覚えていないかのグレーゾーンに浮遊しているのだ。それは、どうしてか。おそらく、多くの生徒が形から覚えようとするからだろう。要するにどうしてそのようになるのかと言う疑問を誰も抱かないのである。このように何も考えずに暗記作業を始めるため、短期記憶で終わってしまう。それを長期記憶にするためには、やはりテストの途中式と同じく、公式の途中式を自分で書いたりして、理解しなければならない。私も実際、高校受験の時はそのようにして公式を覚えるようにしていた。だから、公式が思い出せないということもあまりなかったし、あるいは公式がありすぎてどれがこの問題に当てはまるのかがわからないという事態もあまり起こらなかった。このように途中経過を大切にする考え方は、現在の教育にフィットした考え方なのである。
 確かに、規則がなければ社会は成立しないだろう。しかし規則とは、表現の自由を奪うものではなく、人々が快適に過ごすために作られるものである。このように、規則の中で生活することに窮屈な思いをするのはおかしいのである。だから私たちは、規則に縛られずに個性を大切にするべきだと思う。私は、また機会があれば作曲に挑戦し、しっかり自己表現ができる人間になりたい。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
子供たちの作文(59) 森リン(103) 

コメント欄

コメントフォーム
11月の森リン大賞より 森川林 20160204 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
ぬねのは (スパム投稿を防ぐために五十音表の「ぬねのは」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
子供たちの作文(59) 森リン(103) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習