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勉強のし過ぎによる勝ち負け感覚を克服する――文化の学力 as/2588.html
森川林 2016/05/23 21:07 
修 削


 小さいころから勉強に力を入れていると、勉強することが苦にならないというよい習慣作りにもなりますが、その反対に勉強中心に世の中を見てしまう弊害も生まれてきます。

 小中学校の勉強は、基本を学ぶ勉強ですから、本来それほど面白いものではありません。九九のような基本的な技能でも、初めのうちは、何でこんなわけのわからないものを覚えさせられるのだと多くの子は感じているはずです。基本となる大事な勉強は、面白くはないものなのです。

 しかし、それでは勉強が進まないので、教える側としては、褒めたり励ましたりしながら何とかその勉強の基礎技能を身につけさせようと思います。
 その意欲付けの方法の一つに競争があります。

 限られた価値ある物があり、それを奪うために競い合うという方法は、人間の意欲に強く働きかけます。
 この競争の持つ意欲喚起を、子供本人が自分を励ますために行う分には何も問題がありません。よく、退屈な勉強をするときに自分でタイマーを測って「何分以内に仕上げる」などと自分で決めて行うのは、競争を前向きに使うよい例です。

 しかし、この競争を親や先生が、子供の意欲付けのために使いすぎてしまうことが多いのです。特に、低学年から塾で勉強するような環境に置かれると、そこでは必ず他人との競争が出てきます。

 この競争意識の問題点は、他人との協力よりも競争を優先した発想をしてしまうことです。
 これからの世の中は、競争よりも協力や共存を大事にする社会になります。かつての社会では、競争に強いことが人間の一つの魅力になっていましたが、これからは競争力よりも協調力の方が評価されるようになります。

 それは、昔のまだ物が乏しかったころは、競争が豊かさの源泉だったからです。しかし、これからの競争はむしろ、環境を破壊したり格差を拡大したりする貧しさの源泉になりつつあるからです。

 未来の社会の中では、競争意識が強く勝ち負け中心に物事を考える人はかえって、社会になじめなくなり、社会からも高く評価されなくなるのです。

 小学校低学年からの過度の競争意識を緩和させるのは、親の役目です。
 子供が、勉強の面で誰に勝ったとか負けたとか、誰が成績がよいとか悪いとか言ったときに、親は同じように「勝ってよかった」とか「負けて悔しい」とか言うのではなく、勝ち負けよりももっと大事なものが世の中にあるということを子どもに伝えていくべきなのです。

 それが文化の教育です。
 これまでの学力は、主に成績に現れる学力でした。
 しかし、これからの学力には、成績や点数で表せない文化的なものが含まれるようになり、それが次第に大きくなるのがこれからの時代なのです。



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