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子育ての上手な人は、なぜか教育論をぶたない as/2651.html
森川林 2016/09/03 09:50 


 性格もよくて、成績もよくて、スポーツも得意で、友達関係もうまく行ってというような何拍子もそろった子がいます。
 そういう子のお母さんは、なぜかあまり教育論をぶたないのです。
 教育について自分なりの考え方はあるのだと思いますが、その教育論を取り立てて論じるようなことがあまりないのです。

 誰でも、子育ては初めての経験ですから、子供の育て方についていろいろな試行錯誤があるはずです。
 しかし、そういうお母さんは、周囲の声に流されるようなこともなく、自分の方針を淡々と貫いているような印象を受けます。
 そのような家で育った子が、勉強も、運動も、性格も、バランスの取れた子になるようです。

 話は少し変わりますが、昔読んだ本で、「経営者が本を書くようになると、経営がうまく行かなくなる」ということが書いてあるのを読んだことがあります。これは、納得できるところがあります。
 それまでうまく行っていた人が、何かを論じるようになると、だんだんと実行の方がうまく行かなくなることがあるのです。

 クロネコヤマトの中興の祖と言われる小倉昌男さんも、確か、最初の著書である「小倉昌男経営学」にそのようなことを書いていたと思います。自分が書くのはこの1冊だけだ、というようなことを書いていたのです。
 しかし、その後何冊かの本を出しているのを見ると、その後の数冊は、依頼を断りきれないような事情もあったのだと思います。

 では、なぜ論じることと実行することが違うかというと、実行にはさまざまな例外があるからだと思います。
 子供の成長には、多様な逆説のようなものがあります。褒めて育てることがよいという原則があったとしても、厳しく叱られることで急に成長する子もいます。
 決められたルールどおりに真面目にやることが正しいとしても、たまに脱線することによって人間の幅が広がることもあります。

 そういう多様な例外や逆説を見ていると、子育てを一律に論じるようなことはとてもできません。
 だから、子供の成長を真面目に考えていると、子育て中のお母さんは、教育を論じるようなことは自然にしなくなるのではないかと思います。

 本を読んで、本のとおりに子供を育てるようなことはできません。
 いろいろないい話を聞いたとしても、大事なことはその話の方ではなく、実際に生きて動いている子供の方にあります。
 子供の様子をよく見て、子供に合ったことをときどき軌道修正をしながら行っていくというのが、平凡ですがいちばんまともな子供の育て方になるのだと思います。



コメント欄

nane 2016年9月3日 10時50分  
「子供が素直に育っているなあ」と思う子育てをしているお母さんは、なぜかもの静かな人が多いです。
 聞けばいろいろ話してくれますが、自分から積極的に教育論をぶつようなことはないのです。
 たぶん実践に専念している人は、現実は理屈で割り切れるものではないという大きな教育観があるのだと思います。

nane 2016年9月3日 11時10分  
 どうして、実践家はあまり理屈や理論を言わないかというと、自分の言った理屈に実践が引っ張られてしまうことがあるのを知っているからです。
 だから、日本では、そして昔の中国では、巧言令色鮮し仁なのです。
 しかし、欧米では、口も達者で実践も達者という人が多いような気がします。
 その理由は何かというと、たぶん日本人は、言葉に引っ張られやすいところがあるのだと思います。
 だから、何かに真剣に取り組んでいるときは、無口になりがちなのです。


za10 2016年9月3日 18時10分  
情報に流されず、自分が納得する子育てをしたいですね。

森川林 2016年9月4日 3時24分 1 
 単純にひとことで割り切れると思うときが危ない。これは、自戒の言葉。

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