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森リン大賞の作品から(高校生の部 7月の第1位) as/2690.html
森川林 2016/09/26 19:24 


 7月の森リン大賞で90点を取り、高校生の部で第1位となった高1の生徒の作品です。
 意見の焦点が絞られていると同時に、その意見の裏付けとなる実例が具体的に書かれています。
 構成も、複数の方法という形でわかりやすく書けています。
 森リン点で90点以上を取るのはかなり難しいので、ときどき90点の作文が書ける実力があれば、大学入試の小論文はどこでも合格できる力があります。

   テレビアニメから考える深い思考の意義

             きろる

 テレビアニメ「それいけアンパンマン」や「ドラえもん」は、水戸黄門のようなワンパターンを繰り返している。問題を根っこから解決しようとする場面が存在しない。テレビアニメの短絡さが気になって仕方ない。この二つの誰もが知っているアニメ番組ですら人と人がじっくり向き合い、どうすれば問題が解決するのか、掘り下げて考える場面が出てこない。少なくなっていく子供たちの体験の場所を補うのではなく、短絡的なワンパターンを繰り返すことで、長寿番組になっている。僕たちは物事について短絡的にではなく深く考える機会を持つべきである。そのために考えられる方法は二つある。

 第一の方法としては、テレビアニメなどの既製品の中に答えを見出そうとするのではなく、自分で考えられるようにすることだ。僕自身も、学校での課題の発表や様々なスピーチなどが多く、それに伴って想定外のアクシデントもたくさん体験した。もちろん現実ではそのようなことが起こってもドラえもんが素敵な道具を持ってきてくれるわけではないし、アンパンマンのような正義のヒーローがやって来てその状況を打開してくれるわけではない。だからこそこちらも対策をしておかねばならないのである。例えば僕は中学生の頃、新入生に対する部活動紹介のプレゼンテーションで自分の所属する部活動を紹介するという体験をした。当時科学部の部長であった僕は、プレゼンテーションと同時に行う科学実験が失敗したときに備えて予め成功した時の動画を用意しておいた。また、学校での調べ学習の最後に行う発表では、制限時間内に終わりそうにない時に切る文章や逆に時間が余った時に足す文章を考えておくようにしている。そうすれば、多少の事故なら対応できるというものだ。

 第二の方法としては、様々な人が関わり合えるような環境を整え、その中で生き方の知恵を学ぶような場をつくることだ。人間は、自分一人で考えるだけでなく、他人の経験を参考にすることができる。例を挙げるならば、生き方の知恵ではないが学校のイベントなどが当てはまる。イベントは異なる世代が交わる機会が多くなり得るからである。特に体育祭や文化祭では毎年構成を一から考え直すのではなく、前年度までの内容を参考に企画することが多い。こういうイベントは、先輩方が創り上げてきたものを踏襲しつつも新たな仕組みをもって革新するものである。ちなみに僕の学校の文化祭のスローガンは、少し味気ない気もするがこれに準じて「踏襲と革新」となっている。

 確かに、手本があることで大胆な解決を図ったり落ち着いた対応をすることもできる。しかし、僕たちは様々な問題の持つ複雑な側面を自ら見つめ、それについて考えていかねばならない。想定外の事故に対応するために必要なのは初めから与えられていた手本ではなく自分で物事についてしっかりと考えられる力である。僕たちは物事について手本に与えられたような考え方で考えるのではなく、自ら深く考えるようにするべきだ。



コメント欄

nane 2016年9月26日 19時44分 1 
 中学生以上の生徒が気合いを入れて書いた作文の中には、大人でも書けないような優れたものがよくあります。
 当の本人が、大学生や社会人になったあと、自分が中高生だったころの作文を読んで、「僕って、すごくいい作文を書いていたんですね」と感心するぐらいなのです(笑)。


森川林 2016年9月26日 19時44分 1 
 7月の森リン大賞の高校生の部で1位となった作品です。
 小学1年生のころは、どの子も、「きょうは こうえんで ともだちとあそびました。」などという、のどかな作文を書いていますが、そういう子供たちが、その後の読書と経験の中で成長し、やがて立派な論説文を書くようになるのです。


sizuku 2016年9月27日 20時59分 51 
やはり自分の考えだけで書き進めるのではなく、体験実例をどうやって入れてゆくかで個性が引き立つ光る文章になりますね。

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森リン大賞の作品から(高校生の部 7月の第1位) 森川林 20160926 に対するコメント

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