ログイン ログアウト 登録
 ネット教育の現状と今後の展望 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2756番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
ネット教育の現状と今後の展望 as/2756.html
森川林 2016/12/08 07:30 


 数年前、ネット教育の大きな可能性として紹介されたMOOCは、大前研一氏の話によると、その後はあまり成功しているとは言えないようです。その原因は、オンラインという仕組みでは、受講者の意欲が長続きしないということにあります。

 大前氏は、新しいネット教育の方向として、カーン・アカデミーのやり方を評価していますが、これも、話を聞く範囲ではそれほど進展するようには思えません。その原因は、やはり受講生の意欲の問題です。

 日本では、ネット教育としてスタディサプリが広がっていますが、これもオンラインの授業をひとりで受講するというだけでは、勉強する目的のはっきしている生徒以外は意欲的に続けることは難しいかもしれません。

 ネット教育の中には、マンツーマンの英会話教育のように、今は成功している例もありますが、これはもともとコストの高かった分野だからできることであって、教育の幅広い分野にわたって適用できるものにはなりません。

 マンツーマンのネット教育は、現在は一応いろいろなところで行われていますが、それはskypeのような便利なネット環境ができたということだけに依拠した新しい教育の仕組みですから、教育環境の大きな進歩ということにはなりません。

 そこで、言葉の森が今考えているのは、次のようなやり方です。

 第一は、ネット教育は、家庭での親子の対話につながる形で進める必要があるということです。ネット上での先生と生徒の人間的なつながりだけでなく、家庭というリアルなつながりが背景にあって初めて地に足のついた教育ができます。

 第二は、教える時間とともに、実習の時間と評価の時間を確保することです。ネットで授業を聞いて、あとで自分ひとりで勉強するという形では、改めて学習する時間をとりにくくなります。ネット上で実習の時間も確保しておくことが必要で、それをオンライン上でチェックすることも必要になります。

 第三は、生徒の発表と交流の場を確保することです。勉強の意欲は、生徒どうしの交流の中で生まれます。交流の中には、勉強の中身とはあまり関係のないものも出てきますが、そういうつながりが勉強の意欲に反映してきます。

 第四は、自学自習の効果的な仕組みを作ることです。これは、江戸時代の寺子屋教育の方法が参考になります。種類の少ない精選された教材で、繰り返し勉強する仕組みを作り、その結果を評価できる仕組みを作ることです。

 第五に、これらの方向を支えるために、ネットとパソコンの利用の仕方をもっと簡素化することです。

 これらの原則をもとに、今、言葉の森のオンエア講座では、次のようなことを行っています。

 第一は、オンラインの子供たちの勉強のあと、父母との自由な懇談の場を設けることです。

 第二は、子供たちがその場で実習を行い、実習の結果を最後に先生に見せるところまでを授業時間内に行うことです。

 第三は、実習の結果を全員が発表できるようにすることです。そのためには、実習の課題の中に誰もが容易にできるものを入れることと、結果のアップロードを容易にできる仕組みを作ることが必要になります。

 この、父母懇談、実習確保、全員発表というやり方を、今後、寺子屋オンエアとオンエア作文にも生かしていくことを考えています。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
ICT教育(1) オンエア講座(41) 寺子屋オンライン(101) 寺オン作文クラス(2) 

コメント欄

nane 2016年12月8日 7時48分 1 
 これまでのオンエア講座は、授業の時間が長く、内容も難しすぎたのではないかと思っています。
 今後は、授業は短めにし、誰でもできる内容を入れ、生徒の実習と発表の時間と、父母懇談の時間を確保していく予定です。


森川林 2016年12月8日 7時49分 1 
 ネットワークを利用した教育は、世界的には進んでいるように思っていましたが、まだ多くは試行錯誤の段階にあるようです。
 だから、むしろ日本の寺子屋教育を生かしたネット教育の可能性が今後発展するのではないかと思います。


namura 2016年12月9日 4時15分 10 
確かに通信教育も、なかなか一人では最後まで進めることが難しいですね。何かプラスアルファがあるといいですね。

namura 2016年12月10日 5時11分 10 
いつでもできると思うと、やらなくなるものですね。意欲的に続けるには、強い意志が必要ですね。

コメントフォーム
ネット教育の現状と今後の展望 森川林 20161208 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
にぬねの (スパム投稿を防ぐために五十音表の「にぬねの」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
ICT教育(1) オンエア講座(41) 寺子屋オンライン(101) 寺オン作文クラス(2) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習