ログイン ログアウト 登録
 集中力のない子の問題 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 3074番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
集中力のない子の問題 as/3074.html
森川林 2017/10/24 07:33 


 子供が勉強している様子を見ると、すぐに気が散ったりぼんやりと考えていたりと、親から見て集中力のない様子が感じられるときがあります。
 早く済ませればできるのに、長い時間をかけてやっているというのには、どういう原因があるのでしょうか。

 第一は、早く終わると追加の勉強をさせられる可能性があるというケースです。
 予定の勉強が早く終わったからといって、一度でもそこで追加する勉強をさせると、子供はそのことをよく覚えていて、なるべく早く終わらせないように時間をかけてやるようになるのです。

 特に、作文の勉強は、そのときのテーマによってかかる時間がかなり違います。
 しかも、作文は、ほかの勉強と比べるとかなり頭脳を使います。
 作文の勉強のあとは、ほかの勉強はしないで、せいぜい読書ぐらいにとどめておくといいのです。

 第二は、ページ数などを決めてやらせるのではな、く時間を決めてやらせるような勉強になっていることです。
 時間が経てばおしまいという形にすれば、自然にその時間の範囲をなるべく楽に過ごすようになります。
 親の立場としては、時間で決めた方が管理しやすいですが、子供にとってはその時間は一種の奴隷状態の時間です。
 時間の枠を決められると、自分で工夫して能率よくやろうという気にはなれないのです。

 第三は、これがいちばん多い原因だと思いますが、勉強する時間が長すぎるか、勉強する量が多すぎることです。
 子供は、すぐに終えられるものだと思えば、早く終わらせて、あとは自由に遊びたいと考えるはずです。
 ところが、目の前に膨大な量の勉強があったり、長い時間が待ち受けていたりすると、どうしてもすぐに取りかかる気にはなれないのです。

 これも、特に作文の勉強の共通することですが、ひとまとまりの作文を書こうとすれば、大体1時間はかかります。
 小学校高学年や中高生で、いい文章を書こうと考える生徒は1時間半かかります。
 社会人の方が作文の練習をする初めのころは、大体3時間かかります。

 作文の勉強は、今日は30分だけ書いて、明日は続きの30分を書くというわけにはいきません。
 だから、作文の勉強を始める前は、多くの子が、ちょっと本を読んだり、ちょっと手遊びをしたりして、心の準備をしてから取りかかるのです。

 作文の勉強の場合は、長くかかるのはやむを得ません。
 その代わり、続きを翌日に持ち越すようなことはせずに、その日に書き終えるところまで行かなければ、「(つづく)」と書いてそれで終了にした方がいいのです。
 この場合、「つづき」を書く必要はありません。
 書く見通しを考えたことが勉強の中身ですから、最後まで書き上げられなくてもいいのです。

 話は少し飛躍しますが、この書くことに時間がかかる問題を、将来は音声入力でカバーできるようにしたいと思っています。
 やり方は、まず作文の構想図を10分か15分で書きます。
 この構想図を書く過程が考える勉強ですから、作文の中身のいちばん大事なところです。
 そのあと、その構想図をもとに音声入力をします。
 音声入力は、考えながらゆっくり話すので、普段の会話の3分の1から5分の1のスピードです。
 すると、10分で1000字程度の文章になります。
 今は、人工知能で音声がかなり正確にテキスト化されるので、手直しは句読点をつけるぐらいです。
 欧米の言語では既に句読点を自動的につける機能があるようですが、日本語にはまだ対応していません。
 しかし、これは技術的には簡単なことなので、いずれ日本語の音声入力にも句読点が自動的につくようになると思います。
 このようにすれば、考える時間も、手直しの時間も含めて、それまで1時間から1時間半かかっていた作文を30分弱で仕上げることができるようになります。
 これは、いずれオンライン講座としてやっていきたいと思っています。

 さて、話を戻して。
 作文の勉強の場合は、ひとまとまりの作文を書くのに時間がかかるのは、今の段階ではやむをえません。
 しかし、他の勉強に関しては、小学生のうちはあまり長時間勉強させないことが大事です。
 なぜなら、長時間勉強に取り組む動機が、まだ小学生には自分の中にないからです。

 子供が成長して中学3年生の受験期になったり、高校生になり大学入試に取り組む時期になったりすれば、誰でも自然に集中力を発揮するようになります。
 その時期の自分の内側から湧き上がった集中力が本当の集中力で、小学生の間はもともとそういう集中力がないのが本来の姿です。

 ですから、小学生の間の勉強はなるべく短時間で終わるものにして、親は、子供が勉強などに集中せずに気を散らす方がむしろ自然だと思って、もっと手を抜いた勉強の仕方をしていくといいのです。

 ちゃんと育っている子であれば、必要なときには必ず集中力を発揮します。
 今集中力がないのは、まだそういう場面やそういう時期でないからなのです。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
勉強の仕方(119) 

コメント欄

森川林 2017年10月24日 7時44分 1 
 大人の場合、集中力がなくなるのは、つまらない仕事か、長くやりすぎたからかです。
 それでも、やらなければならない仕事のときは、大人はうまく工夫しながら、そしてうまく手を抜きながらやり続けることができます。
 子供が勉強に集中できないとしたら、そこには大人が仕事に集中できないときと共通する問題があると思ってあげることです。
 そして、一度ボタンを押せばずっと集中できるロボットのような子よりも、すぐ集中が途切れる子の方が安心と思っておくことです。


コメントフォーム
集中力のない子の問題 森川林 20171024 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
せそたち (スパム投稿を防ぐために五十音表の「せそたち」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
勉強の仕方(119) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習