答えのない勉強としての読書をどう進めるかということについて、第二の重要な読み方となるのが多読です。
読書は、毎日読むだけでなく、できるだけたくさん読むことが大切です。
毎日10ページ読めばいいというのではなく、たくさん読めればその方がいいのです。
毎日1時間読む子と、毎日10分しか読まない子との読書量の差は、1年間に直せば約300時間です。
勉強でついた差は、集中学習をすればすぐに追いつきますが、読書でついた差はまず追いつきません。
それどころか、年々その差は広がっていきます。
これが、あとになって学力の決定的な差になっていくのです。
では、どのくらい読んだらいいかというと、目安は学年の10倍ページです。
小1は10ページ、小2は20分ページ、そして、小5以上は毎日50ページ以上読むというのが目安です。
これは、大学生になっても、社会人になっても同様で、勉強や仕事が忙しくても、毎日50ページ以上は何かの本を読んでいくといいのです。
毎日50ページ読むと、平均して週に2冊程度の本を読み終えます。
これが、多読の基準です。
子供たちの多読を妨げているものの一つが勉強のし過ぎです。
勉強は、答えのある界なので点数という結果が出ます。
そのために、限られた時間で、勉強と読書の両方をやる必要があった場合、勉強を優先させてしまう人が多いのです。
ところが、本当は、小学生にとっては勉強よりも読書の方がずっと大切です。
勉強は基礎ができていればいいのであって、基礎以上に難しい応用問題に対してもよい成績を取るということは、小学生には必要ありません。
成績をあげる勉強をするよりも、その時間を読書や自由な遊びの時間に充てた方が、本当の学力がつきます。
小学校低中学年のときの成績は、高学年や中高生になると、簡単に逆転します。
しかし、それがわかるのは、学年が上がってからです。
小学生時代は、読書が先で、勉強があとと考えておくといいのです。
多読を妨げるもう一つのものは、ためになる本を読ませようとして、かえって読書量を減らしてしまうことです。
子供がまだ興味を持てないような本を、よい本だからという理由で読ませようとすると、その結果読む量が減ります。
よい本を読むこととたくさんの本を読むことを両立させるためには、本に付箋を貼るなどして、何種類かの本を並行して読めるようにすることです。
小学生の間は良書を読むことよりも、良書を読むこともそうでない本を読むこともも含めて、たくさんの本を読むことが大切です。
たくさん読むということの中には、同じ本を何度も読むことも含みます。
(つづく)