「読解問題の解き方」という原稿を書いていて、ここ数日、中学入試の国語の問題をまとめて読んでいました。
すると、問題の中には、「これでは正解が違うだろう」というものが意外といくつもあったのです。
入試という重要な試験ですから、問題作成者は何度も問題を見直しているはずです。
それにもかかわらず、答えが違っているものが出てくるというのは、それぐらい読解問題の作成は難しいということなのです。
もちろん易しい読解問題を作るのは、きわめて簡単です。
そのかわり、難しい読解問題を作るのは、問題を解く力の何倍もの思考力と時間が要るのです。
センター試験のような全国規模の試験では、作成する問題の見直しがもっと厳密に行われています。
だから、センター試験では満点を取ることはできるのです。
しかし、それ以外の入試、模試、さらには学校の定期試験などになると、答えの方が合っていないというものが出てきます。
読解の問題もそうですが、記述の問題では、このことはさらにはっきりと言えます。
数年前、小6の受験生から「僕の記述問題の解答が、その学校で出されている模範解答とかなり違う。どうしたらいいでしょうか」という相談がありました。
その学校のホームページに掲載されている記述問題の模範解答というものを見ると、その生徒の解答の方がずっとレベルが高く、むしろ学校で出されている模範解答自体が模範となっていないどころか、減点の対象ともなるような解答だったのです。
こういう記述問題が出されているのですから、学習塾などで行われる記述問題対策もかなり適当なものではないかと思います。
先日も、記述問題の解き方というある塾の先生が書かれている解説のページを見ましたが、「記述問題の解き方は、要するに書き慣れることだ」ぐらいのことしか載っていないのです。
記述問題を出す側が、問題に対する厳密な正解というものを用意しないまま問題作成をしているようなのですから、対策を立てる側も似たり寄ったりです。
それぐらいですから、今後、大学入試のセンター試験で記述問題を採点するなどということは到底できるわけがありません。
AIの活用などといっても、50字から60字程度の短い記述問題では、かえってAIの力が発揮できないのです。
では、国語力はどう評価したらよいかというと、それは作文力によってなのです。
作文力であれば、AIによる採点はかなり信頼性の置けるものになります。
AI評価の上位の作文だけ、その作文の内容面の評価を人間が行うようにすれば、国語力(作文力)の評価は、かなり短時間でしかも信頼性の高い結果を出せると思います。