親子作文は、まだ文字が十分に書けない、又は十分に読めない子供を対象にした作文の勉強です。
なぜ、このような早い時期に作文的な勉強を始めるかというと、言葉の森の作文指導は、作文の練習に付随して、暗唱や発表や読書の練習ができるので、それらの総合的な教育効果を考えると、できるだけ早い時期から始めた方がよいと考えたからです。
しかし、まだ字が十分に書けない子に書き写しをさせるような「勉強」的な方法では、かえって子供の健全な成長にいい影響を及ぼしません。
作文のような日本語の学習は、子供時代に最も優先させるべきものですが、それは勉強としてやるのではなく、生活の中での遊びのようなものとしてやっていくものです。
その遊びが、親子の対話です。
作文の題材となるものを親が企画し、その企画で親子で一緒に遊び、その遊びを子供が絵にかき、親子で対話をし一緒に構想図を書き、その構想図をもとに親が作文を書き、ひらがなが読める子はその作文をみんなの前で読んで発表するという形の遊び的な学習です。
ここで大事なのは、第一は親の企画です。これは、実行課題集などを参考に、家庭で楽にできるものに取り組んでいけばいいと思います。
父親だったら、虫捕りとか理科実験や工作のようなものであれば親も楽しめます。母親だったら、料理的なものであれば勝手がわかるので取り組みやすいと思います。
親子でできるようなものが大事で、遊園地に連れていって、子供だけ遊ばせるというような企画ではありません。
よく、作文の題材というと、どこかに出かけて特別なことをしないと書けないという発想をしがちですが、そういう特別なことをする必要はありません。
また、そういう特別な行事作文のようなものは、かえって平板なものになることが多いのです。
それは、子供が、「○○を見た」「面白かった」という受け止め方で、その行事に参加していることが多いからです。
作文の題材には、子供自身が「何かをした」ということが大事なのですが、行事作文では、そのしたこと自体が、ある枠の中で「してもらった」とか「させてもらった」とかいう受け身のものになることが多いのです。
親子作文で第二に大事なところは、親子の対話で構想図を書くことです。
この対話のきっかけは、内容的には親子でその企画に一緒に取り組んだという共通の経験です。そのときに撮った写真などがあれば、共通の経験を思い出しやすくなります。
対話のきっかけとなるもう一つのものは、言葉的なものです。ここで、項目表の項目を使います。
「そのときの会話でどんなことがあったっけ」「数字や名前で何か書けることあるかなあ」「□○□○(擬声語・擬態語)はどこに使えるかなあ」というような対話です。
ここで、その項目を入れることにあまりこだわると、言葉遊びではなく、言葉の勉強になってしまいます。あくまでも楽しい言葉遊びとしてやっていくのです。
その言葉遊びの要素を更に強くするために、今考えているのが、親子作文の項目に「ダジャレ」を入れることです。
親子で作文を書くときは、必ずどこかにダジャレを入れるというようにするのです。
ダジャレは、音素数が少なく同音異義語の多い日本語の特徴です。
幼児期のしりとりは、言葉の数を増やす遊びですが、ダジャレはそれよりも更に多くの言葉の数を増やす遊びになります。
親子作文には必ずダジャレがどこかにあるとなると、子供どうしで作文を発表するときも、聞き手はその作文を集中して聞くようになります。
親子作文は、聞き取る力を育てる遊びにもなるのです。
親子作文の項目は、小学1年生と同じ、「名前・数字」「会話」「たとえ」「□○□○」「思ったこと」などでしたが、親子で取り組むときは更に歯ごたえがあるように、「ダジャレ」も項目に入れるようにしたいと思います。
これで、子供たちの語彙力は飛躍的に増えると思います。