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 言葉の森の暗唱と他の教室の暗唱との違い(その2) 言葉の森 | 作文国語教室【公式】
 
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言葉の森の暗唱と他の教室の暗唱との違い(その2) as/389.html
森川林 2009/02/16 04:14 
修 削
 昨日の記事を読まれた読者の方から、「暗唱は、速読力と把握力がつくと思う。読むのに慣れていない子供は速読力が、ある程度慣れている子供は把握力がつくような気がする」との感想をいただきました。
 この感想は、確かに合っていると思います。国語の苦手な子に共通する特徴は、読むのがあまり速くないこと、読み方があまり深くないことです。読書や暗唱によって言葉の持つ文化性が豊かになってくると、初めて読む文章でも速く読めるようになります。また、速く読んでも内容を深く味わえるようになります。

 さて、昨日の続きで、暗唱の目的を記憶力と考えることから来る問題点を五つ挙げます。
 問題点の第一は、記憶を目的としているので、記憶術を使って記憶をしてしまうことがあるということです。記憶術というのは、記憶することがらをイメージ化したり語呂合わせにしたりして自分のよく知っているものに関連づけて覚える技術です。
 記憶術を使うということは、真の記憶力を育てることとはむしろ正反対のテクニックになります。幼児期や小学校低学年の時期は、単純な記憶力を育てる時期で、記憶の土台を作っていく時期にあたります。この土台を作る時期に単純な記憶力をつけるのではなく、技術的に工夫した記憶の結果を身につける勉強すると、かえって記憶力の土台を作るという練習がおろそかになるのではないかと思います。
 しかし、幼児や小学生は普通、何かをたくさん覚える必要に迫られていません。そういう普通の子に比べると、記憶術で記憶の勉強をする子は、テクニック化されていたとしても、覚えるための練習量が普通の子よりも多くなります。だから、記憶力がつくということです。言い換えれば、記憶術を使っているにもかかわらず、練習量が多いので記憶力がつくということです。
 記憶術を使って記憶する勉強は、中学生や高校生になって何かを記憶する必要に迫られてから始めればよいものです。ある記憶術の著者は、高校3年生の夏休みまでに記憶術をマスターすれば、大学入試は間に合うと述べています。つまり、記憶術を使うノウハウは、学年が上がって必要に迫られてからやれば十分なのです。
 同様なことは、国語の読解問題の解き方のノウハウについても言えます。受験直前の1、2時間もあれば、解き方のノウハウはすぐに理解できます。むしろそれまでは、読解力の土台を作る時期で、ノウハウやテクニックを身につける時期ではないと考えておく方が勉強が充実します。
 先日、通学教室で、高校生の人たち何人かにセンター試験の国語を解いてもらいました。1回目は平均点と同じ60点ぐらいの人が多かったので、そのあと数十分解き方の説明をしました。翌週、別の年度のセンター試験の国語を同じように解いてもらうと、今度はすぐに80点から90点になりました。間違えたところも、なぜ間違えたかがわかるので、もうほとんどの子は満点を取ることも可能だと考えていると思います。
 ただし、記憶術のノウハウをマスターするということは、子供の場合でも日常生活に大いに役立ちます。例えば、1から100までの数字を語呂とイメージで覚えるような方法は、単に数字を数字のまま記憶するよりもはるかに効率のよい記憶の仕方になります。ですからこのような方法は、九九と同じように、社会の共有の財産として、将来は学校などで教えていくものになると思います
 言葉の森では今後、記憶術のノウハウを、小学校高学年又は中学生あたりから教えていく予定です。しかし、幼児や小学校低学年の時期は、そのようなテクニックは教えずに、むしろ単純な記憶力を育てるということで勉強をすすめていきたいと思っています。
 記憶術を使った覚え方は、料理の作り方を教えるのではなく、料理そのものを出してくるような方法です。何かが暗唱できるのはよいことですが、記憶術を使うのであれば、暗唱の結果そのものを目的とするのではなく、暗唱の仕方を覚えることを目的とした方が応用力がつくと思います
 問題点の第二は、暗唱の目的が記憶となっているために、教育と文化が混同されがちだということです。これは世間一般の音読の学習でもしばしば見られたことです。
 例えば、平家物語や寿限無(じゅげむ)や枕草子を覚えるということは、決して否定されることでありませんが、暗唱というとすぐにそのような古典や有名な文章にこだわるところに問題があります。
 現在は、科学の成果が生活のすみずみにまで浸透している時期です。そのような科学の発達を考慮すれば、むしろ子供には、知的な感動のある文章をもっと読ませるべきではないかと思います。ファラデーの「ろうそくの科学」や寺田寅彦の物理学の随筆を読んで科学の面白さに目覚めたという人の話をよく聞きます。現代の子供が覚える文章は、論語や孟子のようなものももちろんいいのですが、やはり現代の文化を反映した文章であるべきです。
 言葉の森の長文選定の基準は、三つあります。勇気、知性、愛のある文章です、そしてさらに言えば、笑いのある文章、現代日本語で書かれた文章です。単に古い文章や有名な文章だからいいというのではないというのが言葉の森の文章選定の哲学です。
(つづく)
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)



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