暗唱の方法論を提示し、それを実際の授業として成立させたのは、たぶん言葉の森が日本で初めてです。
暗唱ではなく、音読とか速音読とか言っている人もいますが、そういう人は実際に暗唱というものをやったことがないのだと思います。
なぜなら、音読や速音読というのは、一見やりやすそうに見えますが、まず続かないのです。
それは、張り合いがないからです。
言葉の森の暗唱は、手順どおりやれば誰でもできるようになります。
これには、年齢は関係がありません。
だから、子供が暗唱の練習をするときは、できればお母さんやお父さんも一緒にやって、暗唱のコツを実際に理解してもらうといいのです。
ただし、暗唱に取り組みやすい年齢はあります。
それは、小学2年生のころまでです。
なぜ、小学2年生のころまでかというと、文章を繰り返し音読するという学習方法を抵抗なく受け入れることができるからです。
これが、学年が上がってくると、「文章を覚える」という理屈が先行して、単純に繰り返し音読するということをしにくくなるのです。
そして、「覚える」という姿勢で暗唱の練習をすると、暗唱がかえってできなくなります。
それは、暗唱の途中で、「えーと、次はなんだっけ」と思い出す癖がついてしまうからです。
暗唱は、思い出してやるものではありません。
だから、少しでも思い出そうとするところがあったら、文章を見て音読することを繰り返す必要があります。
「見ないでもできるかどうかやってみよう」というのが、暗唱をできにくくさせるひとつの原因です。
ときどき、「暗唱ってただ覚えるだけでしょ」とか、「暗唱ができてどういう意味があるの」とかいうことを聞く人がいます。
そういう人は、暗唱をしたことがない人です。
暗唱の意義は、これまでにいろいろ書きましたが(
暗唱の記事)、やっていない人には、いくら理屈で説明してもわかりません。
ことわざにあるように、「プリンの味は食べてみなければわからない」のです。
簡単に言うと、暗唱をしていると、元気になります(笑)。
これは、不思議ですが本当です。
気持ちが自然に前向きになるのです。
もうひとつは、覚えることが苦にならなくなるので、教科の勉強も自然にできるようになります。
これは単に、理科や社会や英語のような知識を覚えることが必要な教科だけではありません。
算数数学もそうなのです。
前にも書きましたが、林学博士の本多静六は(
言葉の森の記事)、学生時代、数学で赤点を取り、進学を援助してくれた人に申し訳ないと自殺しようとするところまで思いつめますが、勉強方法を例題の暗唱に切り替えたところ、みるみる成績が上がり、やがて、「おまえは、数学の天才だから勉強しなくていい」とまで言われるようになりました。
暗唱力があれば、勉強的なことは何でもできるようになるのです。
先日、言葉の森の記事のコメント欄に、英語の暗唱が大学入試に役立ったということを書いてくれた人がいます。
「
幼長、小1、小2は最も暗唱の勉強が進む時期――暗唱の記事再掲」
(この記事のコメント欄です。)
暗唱は、言葉の森の方法論どおりやれば誰でもできますが、暗唱をしたことがない人が、子供に教えようとすると、「覚える」という発想でやってしまうので、かえって暗唱ができなくなります。
この夏のオンライン夏期講習の5人クラスでは、暗唱講座を設けました。
しかし、ただ暗唱の練習をするだけでは、5人クラスのよさが出ないので、読書紹介をしたり、暗唱文の中の難しい言葉を調べたりして、発表する時間と対話する時間を取ります。
楽しく暗唱ができる講座にしたいと思います。
ところで、週に1回の暗唱講座で暗唱ができるようになっても、次の週まで家庭で何もしないと、次の週はまた最初から同じ練習をするようになります。
暗唱のコツがわかったら、毎日10分、家庭で暗唱練習をしていくといいのです。
そして、3ページ分の暗唱ができたら、ぜひ暗唱検定(550円)を受けてみてください。