タンポポモドキ?
●動画:https://www.youtube.com/watch?v=fWrZXkbKlu4
面白いタイトルの記事があったので読んでみました。
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なぜ頭のいい人ほど語彙力が豊かなのか…言語哲学者が説く「語彙力のある人・ない人」の見えている世界の差
https://president.jp/articles/-/76535
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筆者は、山口周(やまぐちしゅう)さんですから、面白いことは面白いのですが、前半は、ソシュールがどうしたというような専門的なことばかりなので、読んでいて退屈すると思います。
ただ、結びの「多くの言葉を知っていればより精密な世界が見える」は、そのとおりだと思いました。
一方、次のブログ記事も参考になります。
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【気をつけて】よく喋るのに語彙力がない子の見つけ方
https://www.matsuejuku.com/entry/2023/12/29/%E3%80%90%E6%B0%97%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%E3%81%A6%E3%80%91%E3%82%88%E3%81%8F%E5%96%8B%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AB%E8%AA%9E%E5%BD%99%E5%8A%9B%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E5%AD%90%E3%81%AE%E8%A6%8B
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これは、よく喋る子は、考えがないからよく喋れる、という話です。
例えば、小さい子は、ひっきりなしにいろいろなことを喋ります。
考えていないから、いくらでも言葉が口から出てくるのです。
これは、実は語彙力の問題です。
浅い語彙は豊富にあるのですが、深い語彙はありません。
だから、浅い語彙でいくらでも言葉が出てきます。
しかし、ここが難しいところですが、深い語彙を使っているように見えても、表面的にしか考えていない人もいます。
それは、使われている語彙が、教科書とか問題集のレベルで習得されたもので、実感を伴った身体的な語彙として身についていないからです。
では、考える語彙を身につけるために、どうしたらいいかというと、第一は、1冊の難しい本を読み通すことです。
1冊の本には、その本なりの世界観があります。
その世界観の中で読んだ語彙は、実感を伴う語彙になります。
だから、中学生以上の生徒には、説明文の難読が必要なのです。
世の中には、手軽に語彙力をつけることをうたっている本もあります。
かなり昔、「述語集」という難しい語彙だけを集めた本がありました。
今でも、似たような本はあります。
「語彙力が身につく本」のようなハウツーものの本は、知識としての語彙は増えても、考える力のもとになる語彙は増えません。
大事なのは、語彙力をつける本を読むことではなく、語彙力が必要な本を読むことなのです。
語彙力をつけるための、難読以外のもうひとつの方法は、繰り返し読むことです。
繰り返し読むことによって、その語彙が実感を伴った生きた語彙になります。
例えば、おじいちゃんやおばあちゃんが繰り返し言うことわざを聞いて育った子にとっては、そのことわざが実感のある語彙になります。
これは、ことわざ辞典などで覚えたものとは違う、身体化されたことわざです。
日本の素読教育は、語彙を身体化するための勉強でした。
だから、貝原益軒は、「百字の文章を百回読む」と言いました。(「和俗童子訓」)
言葉の森の暗唱の勉強も、100回読むような勉強です。
この繰り返し読む言葉が、その子の考え方や感じ方のバックボーンになります。
言葉の森の問題集読書も、繰り返し読む勉強法です。
1冊の問題集を、少なくとも5回は読む必要があります。
多くの人は、いろいろな問題集を1回ずつ読むような勉強法を好みます。
しかし、それでは表面的な語彙の知識しか身につきません。
1冊を繰り返し読むことが大事なのです。
では、語彙が豊かになると、どうなるかというと、物事が高精細で見えるようになるのです。
高精細でも、低精細でも、同じものを見ているので、表面的には何も変わらないように見えます。
しかし、高精細で見る人は、物事の本質がより深く見えるようになります。
年をとった人は、若い人よりも、考えが深いというのはよく感じることです。
たとえ、若い人の方が学歴が高くても、本質を見る目は、年をとった人の方が鋭いことが多いのです。
それは、なぜかというと、言葉を見聞きした繰り返しの回数が、若い人よりもずっと多いからです。
だから、年をとった人の方が、世の中を高精細に見られるのです。
若い人は、難読と復読によって、物事を高精細に見る力を育てていく必要があります。
これは、成績を上げるための勉強とは少し違った、もうひとつの新しい大切な勉強です。