ヤマアジサイ
対面式の教室とオンラインの教室の違いということを聞かれることがあります。
しかし、その対比は、もう古いのです。
2020年のコロナ禍のとき、即席で作られたオンラインの教室は、古い時代のオンライン教育でした。
それは、授業をただ動画で流すようなオンラインだったからです。
また、双方向性をうたっているところでも、先生がみんなの顔を見えるとか、生徒が先生に質問をすることもできるという程度の限られた双方向性でした。
これが、レベルの低いオンライン教育です。
しかし、言葉の森のオンラインクラスは、違います。
まず4人から5人以内の少人数で授業をしています。
また、そのクラスは、固定したメンバーと固定した先生です。
更に、生徒全員に発言する機会があります。
先生が生徒に一方的に教える授業ではなく、生徒が発表する授業を目指しているのです。
そのため、小学校低学年から同じクラスで勉強していると、友達のような関係ができます。
通学式の塾でも、子供たちの楽しみは、行き帰りの道で友達とお喋りをすることです。
オンラインの教室でも、楽しさの中身は、自分が発表し、その発表を通して友達の質問や感想を聞く機会があることなのです。
★そこで、言葉の森のオンラインクラスは、今後、授業の中だけでなく、授業の前後にも生徒どうしが自由にお喋りを楽しめるようにしたいと思います。
お喋りは自由ですから、気の合った生徒どうしで話をしたいときに話をするということです。
ただし、時間制限として、授業の前の15分以内、授業のあとの15分以内とします。
それは、時間制限をしないと、惰性で話をしてしまうことがあるからです。
授業の前は、メインルームに入り、先生の授業が始まるまでは自由にお喋りをしていいです。
授業のあとは、ブレークアウトルームがいくつかできていますから、その中の使われていないブレークアウトルームに移動しお喋りをしていいです。
ただし、繰り返しますが、いずれも時間は15分以内です。
この時間制限がないと、互いに相手に遠慮して、だらだら話してしまうことがあるからです。
お喋りを始める前に、「じゃあ、私は、今日は○分までいるからね」というようなことを予め言っておいてもいいと思います。
大人の中には、子供たちをブロイラーのように教育することが能率的な教育だと思っている人がいます。
真面目な大人の人は特にそうです。
しかし、子供は生き物です。当たり前ですが。
時々は息抜きをしながら、しかし、集中するときには集中するというムラのある生き方をするのが人間の自然な生き方です。
以前、子供がパソコンで勉強しているときに、YouTubeを見ていたというので、子供を叱って、もうパソコンは使わせないというお母さんがいましたが、そういう脱線は、どの子もやっています。
むしろ、そういう子の方が人間らしい生き方をしています。
言葉の森の昔の通学教室でも(今は、通学教室はすべてオンラインに切り替えたので通学教室はありませんが)、中学生や高校生の生徒は、自分の席に着くと、パソコンに入っているゲームをひとしきり楽しんでから、と言っても数分ですが、それから勉強に取り組んでいました。
人間は、ニワトリではないのです。
今、YouTubeやゲームに熱中している子供もたくさんいると思いますが、それは、その子が、YouTubeやゲームに対する免疫を獲得する時期だからです。
やがて、YouTubeやゲームの遊びはほどほどにやっていればいいのだという感覚が生まれます。
それが免疫です。
そういう免疫の感覚が生まれるまでの期間は、熱中しすぎるということは誰でもあります。
では、免疫を早めに獲得するにはどうしたらいいかというと、それは読書です。
伝記や歴史の本を読むと、自分の生き方をより大きい視野で見ることができるようになります。
すると、目の前の興味に夢中になっていることが、軽いことのように思えてくるのです。
子供の教育法は、「△△をしない」ということではなく、「○○をする」ということで進めるといいのです。
「漫画を読まない」ということではなく、「いい本を読む」ということです。
「ゲームをしない」ということではなく、「自分でプログラミングをする」ということです。
子供が普通に成長していれば、親は、その子の自然な成長力を信頼していればいいのです。