●知識中心教育と一夜漬けの問題
現在の子供たちの教育は知識中心の教育です。
だから、勉強の方法として一夜漬けが使われています。
本来は、一夜漬けなどは必要なく、普段の実力を発揮すればいいだけです。
試験制度が一夜漬けを必要としているのは、普段の実力を測る方法がないからです。
●文章による思考力の可視化
普段の実力は、その子と話してみれば大体のことがわかります。
その話してみることの代わりになるのが、文章を書いてもらうことです。
様々なテーマで文章を書いてもらえば、その人の考える力はわかります。
だから、知識の詰め込み教育から思考力重視の教育に切り替えるには、書くことを評価の中心にすることが必要なのです。
ところが、文章を評価する方法は十分に確立されていません。
●現行の作文評価と採点負担の限界
公立中高一貫校の入試や大学入試の小論文試験なども、適正に評価されているとは言えません。
多くは、指定の字数が埋められているかどうか、誤字がないか、誤表記がないかといった点を基準に評価されています。
さらに問題なのは、その評価を採点者が一つずつ読んで行う点にあります。
100字の作文を読むのに3分かかるとすれば、30人分で1時間半かかります。
しかも、短い文章を何編も読むことは非常に負担が大きいのです。
これが、作文指導が必要とされながらも公教育で広がりにくい一因です。
●客観評価としての作文検定の意義
この問題を打開するには、客観的な基準で文章を評価し、生徒本人にも納得できるオープンな仕組みが必要です。
それが作文検定です。
作文検定が学校教育の中で広がれば、子供たちが文章を書く時間は大幅に増えます。
良い文章を書くためには、多くの本を読む必要も生まれます。
●作文検定の評価の仕組み
作文検定が作文を評価する仕組みは、大きく分けて三つあります。
第一は、作文の内容に個性、挑戦、感動、共感などがあるかどうかを、AIによって評価することです。
ただし、この評価には点数はつけず、その作文に対するAIの感想として表示します。
第二は、作文の構成、題材、表現、主題について、生徒向けにあらかじめ指導を行った上で、その指示に沿って作文が書かれているかどうかをAIが評価する方法です。
しかし、AIの評価には揺れがあるため、この評価にも点数はつけず、作文を書いた生徒へのAIの感想として表示します。
第三は、作文の中に盛り込まれている語彙を、思考を表す語彙、知識を表す語彙、多様な表現を表す語彙、自分自身の経験をもとにした語彙の四類型に分け、それぞれの語彙の種類とバランスを評価する方法です。
●語彙の種類の具体例とオープンな評価法
例えば、思考語彙は「なぜなら」「つまり」「したがって」などの論理的な思考を表す語彙、知識語彙は「人間性」「認識」「把握」などの抽象的な語彙、表現語彙は「使われている語彙全体の多様性」、経験語彙は「歩いた」「進んだ」「振り返った」などの自分の経験を表す語彙です。
この語彙力による評価は、人間が作文に対して感じる評価と相関が高いため、これを採点の基準とします。
以上の三つの分野で作文を総合的に評価します。
しかも、その評価の背景はブラックボックスではなく、すべてオープンに公開されています。
そのため、作文を書いた生徒も納得して評価を受け入れ、次回の作文の学習に生かすことができるようになります。
●読書・思考・表現が教育を変える
作文力は一夜漬けでは身につきません。
本を読み、考え、自分の考えを書いていくという三つの要素が教育を変えます。
学校のテストのために覚えた知識は、社会に出てから使われることは多くありません。
必要な知識は、AIなどを使えばすぐに調べられるからです。
しかし、多くの読書と熟考、そして文章を書く経験は、確かな力として蓄積されます。
●作文検定と図書検定の今後の展望
子供たちの教育が本人の成長につながり、社会をより良くするためには、読書教育と作文教育を中心に据える必要があります。
その有効な手段が、言葉の森が実施している作文検定であり、さらに現在開発中で特許出願も行っている図書検定なのです。