ログイン ログアウト 登録
 作文が上手な子も下手な子も、どちらも先を見た指導で Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 816番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/26
作文が上手な子も下手な子も、どちらも先を見た指導で as/816.html
森川林 2010/03/07 04:33 
 高校生で作文が上手な子も、小学生のころは普通でした。



 幼稚園年長から小学1、2年生にかけて、作文のすごく上手な子がいます。このような子をどう指導したらいいのでしょうか。

 この子たちがなぜ上手なのかというと、本が好きで、読んだ本の文体や語彙がすっかり身についているからです。つまり、自分で書いているというよりも、読んだ本の文体で書いているのです。これは、いい意味での模倣ですが、本人にとってはごく自然に自分の言葉として出てくるので、模倣という意識はありません。

 しかし、こういう子供たちも、成長とともに自分らしさが出てきます。すると、これまでの本の文体から抜け出そうとして、一時的に作文が下手になることもあります。そして、また新しい内容に合った新しい文体の模索が始まります。このようにして模倣と模索を繰り返して次第に自分の文体ができてくるのです。

 ですから、小学1、2年生で作文の上手な子を、もっと上手にさせようとは考えないことです。その時代の表現を楽しむとともに、文章を書く習慣を継続し、学年が上がったときに必要な文章力をつけていくという展望で考えていく必要があります。

 しかし、もちろんただ書かせるだけではなく、上手な子には、次のような点に留意しながら指導していきます。

 第1は、体験です。作文に書く題材となる自分らしい体験を増やしていくことです。

 第2は、取材です。作文に書く題材を広げるために、両親や祖父母に取材したり、関連する事柄を調査したりすることです。

 第3は、観察です。作文に書く対象をよく観察して、自分の目や耳を使って書くことです。

 第4は、比喩です。自分が書き表そうとする対象を自分らしいたとえで表現することです。

 第5は、感想です。自分が心の中で思ったことを、できるだけ自分らしい感想として書いていくことです。

 つまり、上手な子の指導は、作文の書き方以外の指導という面が大きくなるのです。

 高校生で、作文が好きで上手な子がいます。その子たちのほとんどは、小学生のころ普通に上手という程度の作文を書いていました。つまり、書くことが楽しいという程度に上手な作文であって、決して目を見張るように素晴らしく上手な作文を書いていたわけではありません。

 そういう普通に上手な子供たちが、中学生のころから少しずつ書き方を変化させて、高校生になると高校生の思考力にあった読書力と文体を身につけて上手に書く力をつけていきました。小学生の上手さの延長ではなく、それぞれの年代に応じた読書力と思考力を身につけて、上手さの内容を変化させつつ成長していったのです。

 小学校低学年のころの作文の上手さは、低学年の子供のかわいらしさと似ています。低学年のころのかわいさがそのまま成長するのではなく、途中で反抗や脱線があって、親をときどき困らせて(笑)、だんだんと自分らしい個性と魅力のある人格になって成長していくのです。

 では、逆に、小学校1、2年生ですごく下手な子の指導はどうしたらいいのでしょうか。これは、心配いりません。低学年のころは、みんな似たり寄ったりで作文が下手です。コンクールに入選するような上手な子と比較するから下手に見えるのであって、もともとは下手な方が自然なのです。

 こういう子供たちの指導は、第1に自信を持たせること、第2に読む力をつけることです。書くことを直接指導するのではなく、書くことの土台となるところに力を入れていくことが大事です。何を書いても、いいところを見つけて褒めてあげて、その一方で毎日、暗唱と読書を気長に続けていくことです。

 褒めることと読むことを気長に続けながら作文を書いていると、代り映えのしない状態がいつまでも続くように見えますが、やがて、ある日ふと忘れたころに、「あれ、いつのまにか上手になっていた」と気がつくのです。



コメント欄

コメントフォーム
作文が上手な子も下手な子も、どちらも先を見た指導で 森川林 20100307 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
めもやゆ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「めもやゆ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
小学校低学年(79) 作文の書き方(108) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン