ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1196番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
福島原発、勇気ある撤退を。原発に依存しないエネルギー政策を日本の総意に as/1196.html
森川林 2011/03/13 19:54 


 今最も重要なのが、原発に二次災害を防ぐことです。対処の仕方にはいろいろなレベルがあるはずですが、今は緊急に最高度の対処で取り組むべきです。

 ニュース記事によると、「ホウ酸を入れたり、海水を投入したりすると、二度と使えなくなる」などと言っていましたが、うまく直してあとで使うことなど考えている場合ではありません。日本は、原発以外の新エネルギー開発を長期的な展望で考えていくべきです。

 今は、原発の責任者が強力なリーダーシップで決断することです。また、周囲の人はその決断を促すように働きかける必要があると思います。



(とここまでを午前中書いてそのままにしていましたが、その後の情勢を見て以下の話を追加)



 この原発事故は、ひとつのメッセージだと思います。日本は、原発の技術に関しては先進国です。今後、日本が世界に対して競争力を持って輸出できる大技術のひとつが原発技術です。

 しかし、宇宙(というか未来の人類)は、原子力をエネルギー源として活用する地球を望んでいないのです。だから、日本人の総意が、もう原発はやめようということになれば、原発事故は無事に収束するでしょうし、日本人の中にまだ、原発の今後の可能性を残しておきたいと考える人たちがいれば、事故は更に拡大するような気がしてなりません。



 原発に替わる新しいエネルギー政策は、三つの方向で考えられると思います。

 第一は、日本が独自の判断で石油、ガスなどの化石燃料を確保するルートを開拓することです。これまで、このような日本独自のエネルギー供給ルートの開発は、日本が独立した外交を行えないために阻まれてきました。今回の事故を、日本を独立させるきっかけにしなければなりません。

 第二は、新エネルギー源の開発です。日本の近海には多くのエネルギー資源があります(メタンハイドレートなど)。また、自然界にはこれまで利用されていない多くのエネルギー源があります(潮力や常温核融合など)。これまで新エネルギーの開発が進まなかったのは、既存のエネルギー産業の棲み分けがほぼ完成していたからです。エネルギー産業のような巨額な投資を必要とするものは、民間の力だけでは競争や新陳代謝が起きません。今後は政治の主導で、クリーンで強力なエネルギー開発を進めていく必要があります。(ただし政治主導は最初のうちだけです)

 第三は、エネルギーの利用システムを根本から変革することです。これまでのエネルギーシステムは、巨大な発電所から送電線で各地に電力を供給するというものでした。この中央集権的なエネルギー供給システムを、今後はもっと自給自足的なものに変えていく必要があります。既に、太陽エネルギーの利用効率アップや蓄電池の性能向上などの結果、地域に必要な電力は地域でまかなうことが可能になりつつあります。ここに、超伝導による電力の貯蔵技術などを組み合わせれば、安定的なエネルギーシステムを自給自足型に切り替えることができます。



 今回の地震津波災害と原発事故を無駄にしないため、日本人が総意として、日本の真の独立と、政治のリーダーシップと、原発に依存しない創造的なエネルギー政策を求めていくべきだと思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
政治経済社会(63) 

記事 1193番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
日本が目指す新しい産業。その前提としての国語力 as/1193.html
森川林 2011/03/11 12:02 


 製造業は、今急速に新興国に追い上げられています。中国の工業国家としての台頭に伴って、日本がこれまで掲げていた製造業による経済発展の方針は、大きく軌道修正を迫られています。

 しかし、日本の新産業は、観光業や小売業などのサービス産業ではありません。サービス業は、思いやりに富んだ日本人の持ち味を生かせる分野ですが、そこには創造性がありません。サービス業は、他人に尽くすだけの産業です。日本がいったんサービス産業中心の国家になれば、観光産業に依存する国が衰退していくように、そこから抜け出ることはできなくなります。

 製造業を高度化することによって、日本の製造業を守るという考えもありますが、高度化できる製造業の雇用創出力は限られています。1億2千万人の日本人の雇用を高度な製造業だけでまかなうことは難しいでしょう。

 もし日本が、海外との貿易を行わず、鎖国的な経済でやっていけるのであれば、国内でお金を回す仕組みを作るだけで経済は豊かになります。しかし、国際経済を否定することは現代ではできませんから、世界にも通用する価値を持ち、多くの国民を雇用できる新しい産業を創造していく必要があります。

 それが創造産業です。企業でも個人でもかまいませんが、何か新しいことを発案し、その創造によって日本社会に貢献することが期待される知識や技術を発掘し、その知識や技術を国が買い上げ、すべての日本人が自由に利用できるようにするのです。その買い上げの金額は、もちろん半端なものではありません。オリンピックで金メダルを取ると、それだけで一生安泰に暮らしていけるという国がありますが、それぐらいの金額を保証します。これが、日本の新しい産業です。その創造産業には、農業も、製造業も、サービス業も含まれます。大事なのは、物品やサービスの対価によって成り立つ産業ではなく、創造の対価によって成り立つ産業だということです。

 しかし、この産業が、日本の国民的産業として成り立つためには、大多数の日本人が創造的にならなければなりません。その創造性の根底にあるものは、日本語の理解力と表現力です。今の日本の社会で、学力の底辺にいる子供たちは、何よりも国語力が不足しています。それらの子供たちが自立して、社会全体の創造に参加できるためには、全教科を満遍なく教える教育をやめて、国語の読解力だけに焦点を絞った教育を行っていく必要があります。国語の読解力の低下した子供たちが、もしこのまま成長して社会人になれば、そのときに日本の国が支払うコストは膨大なものになります。そのコストを先取りするためにも、子供たちの国語読解教育に最重点を置いていく必要があります。その方法は、少人数制で本を読ませる教育です。

 ところが、読解力だけが必要な水準に達しても、そこから自動的に創造性が生まれるわけではありません。理解とは静的なものですから、そこから創造という動的なものにジャンプするためにはもうひとつのステップが必要です。それが、特定の知識や技術の習熟です。基礎教養として、多くのことを理解しているだけでは不十分で、それに加えて、その人でなければできないような特定分野の習熟が必要になるのです。知識や技術には、時間をかけることによって、その知識や技術が自分の手足のように自由に使えるようになるという面があります。この時間的な要素が、身体や感情や言語という不完全なものを持つ人間の優れた特質です。例えば、ある作業を繰り返していると指にタコができるということがあります。このタコが、身体の持つ時間性です。知識にも、似たような面があります。単に知識を知っているだけでは、百科事典をそろえていることと変わりません。タコができるぐらいに知っていることによって、そこから新しい創造の可能性が生まれてきます。

 これまでの教育は、記憶力の再現を中心とした教育でした。しかし、その教育は大きな曲がり角に来ています。先日、大学入試で、携帯電話とインターネットを利用したカンニングがありましたが、こういう形のカンニングは、今後防ぐことができなくなります。調べてわかることや、人に聞いてわかるようなことがいくらできても、それは価値あることではないというふうに、評価の根本を変えなければならないのです。では、何が価値あることかといえば、それは創造です。その創造のための教育としてこれから必要になるものが発表の教育です。つまり、文章でも、音楽でも、絵画でも、工作でも、又はさまざまな学問分野でも、自分の作ったものを表現することが教育の中心になります。知識や技術の土台は、その発表のための前提として必要なのであって、知識や技術自体に価値があるのではありません。

 全国民が、幅広く満遍なくさまざまな知識、技術を身につけるとともに、その人の個性に応じたある特定の分野に習熟し、その習熟をもとに個性的な創造を行うという発表の教育がこれから必要になってきます。そして、理解力の中心が国語的な読解力であったように、発表の教育の中心は国語的な作文力になるのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
新しい産業(23) 
コメント11~20件
……前のコメント
総合学力クラス 森川林
子供は、暇そうにしているのがいちばんです。 年がら年中がん 6/22
記事 5107番
さまざまな勉強 森川林
勉強は、作文と読書と算数数学と歴史を中心にやることです。 6/21
記事 5106番
作文力がこれか 森川林
作文力をつけるために必要なのは読書と対話。 出力の前に入力 6/19
記事 5105番
作文を書くとき 森川林
 接続語と助動詞は、実は重要です。  中学生や高校生で、文 6/18
記事 5104番
国語は、読む力 森川林
国語の力をつけるための音読は、1冊の問題集を繰り返し読むのが 6/16
記事 5103番
国語力は、テク 森川林
国語力をテクニックで身につけようという考えそのものがあさはか 6/14
記事 5100番
本当の勉強は、 森川林
子供は、自然に成長していれば、みんな時期が来ればそれぞれにが 6/12
記事 5098番
これから大学生 森川林
MMさん、ありがとうございます。 これは、10年以上前の記 6/12
記事 820番
これから大学生 MM
先生の書かれていることは今読んでもそのまま通じます。 10 6/11
記事 820番
毎週作文を書く 森川林
作文の勉強というのは、負担の大きい勉強です。 だからこそ、 6/11
記事 5097番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習