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教材の作成に生かす(facebookやgoogle+と教育4) as/1327.html
森川林 2011/08/05 16:51 



 facebookやgoogle+を作文の勉強に生かす話の続きです。

 前回までは、予習と自習と発表について書いてきました。

 今回は、教材作成に生かすという話です。



 感想文を書く際のもとになる文章を読ませる場合、親なら、子供にこういう文章をよんでもらいというというものもあると思います。

 教材作成の専門家に任せるよりも、子供の成長を身近に見ている親の方が正しい判断ができるということも多いはずです。

 そこで、親や先生やあるいは一般の人が、自分たちで子供向けの長文を作るというのが「オープン長文」という企画です。

 教材作成を専門にしている人は、その教材がどのように使われたかを直接見ることはありません。しかし、親や先生であれば、子供がそれをどう消化したかを知ることができます。特に、感想文の課題の長文であれば、どのように理解して、どのような文章を書いたかということがわかります。それを、教材の改良にすぐに生かせるのが、自分たちで教材を作ることの利点です。

 著名な人の書いた文章であれば、著作権の問題もあり、教材として気軽に使うことができませんが、自分たちで作った文章であれば、互いの了解のもとにすぐに改良をしていくことができます。



 これは、国語の文章に限らず、他の教科にもあてはまります。

 例えば、数学の問題です。今の学校や塾の勉強は、点数の差のつきやすい問題、つまりうっかり間違えやすい問題を中心に評価が行われがちです。みんなが百パーセントできるようになることを目的とした勉強ではなく、点数で差をつけることを目的とした勉強になっている面があります。

 このことが、算数や数学を苦手と感じる子を増やしています。よくできる子に知的な刺激を与えるために難問を出すのはいいのですが、教える仕事だけを専門にしていると、難問を出して差をつけることがひとつの目標のようになってしまうことがあるのです。

 しかし、親は違います。自分の子供が実力をつけることが目的ですから、教材の適不適が教材作成の専門家よりもはっきりとわかります。もし、親が教材作成に参加したり、注文をつけたりすることができるようになれば、子供たちの勉強の結果をすぐに次の教材作りに生かすことができます。



 このようなことができるのが、やはりfacebookやgoogle+を利用したコミュニケーションの力です。例えば、

「この間の問題、どうだった」「うちには、ちょっと難しかった」「じゃあ、どこを改善しようか」「こっちはちょっと易しすぎたようだから、発展問題があるといいかなあ」「それも、作ろう」

と、このようなやりとりができるようになります。

 このような形で、親が直接教材作成に意見を反映させられるようになれば、現在の中央集権型の時代後れになりがちな教育は、もっと子供たちの現実に結びついたものに変わっていくはずです。



 全国の小中学校には、もうかなり以前から1クラス分の生徒が全員使えるだけのパソコンが整備されていますが、取り組みの遅れている学校がかなりあります。

 また、本当は、中学校の技術家庭で、コンピュータ・プログラミングを教えることができれば、日本人のIT技術はもっと広がっているはずです。

 こういうことも、子供の成長を身近に見ている親が教材作成に参加するようになれば、大きく改善されると思います。(つづく)

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作文の発表と交流に生かす(facebookやgoogle+と教育3) as/1326.html
森川林 2011/08/04 16:45 



 facebookやgoogle+を作文の勉強に生かす話の続きです。

 前回までは、予習と自習について書いてきました。

 今回は、発表についてです。作文の勉強の結果を発表する際にも、facebookやgoogle+を活用することができます。



 facebookやgoogle+で予習の話を交わしているうちに、同じ学年の子供の保護者の中に、互いに親しみがわいてきます。毎週、同じような課題を、同じように工夫しながら予習するので、お互いに相手の苦労もわかるようになるのです。

 そこで、そういう共通の基盤を前提にして、子供たちの清書の発表会をします。

 昔、江戸時代の寺子屋でも、年に何回か席書き(せきがき)という発表会のようなものがありました。通り道にゴザをしいて、普段練習している手習いの成果を発表し、それらを展示しておくのです。通行人は思い思いに子供たちの発表を見に来ます。子供にとって、普段の学習の成果をみんなの前で発表するというのは晴れがましいものです。このようにして、練習と発表のサイクルの中で、勉強の意欲を高めていったのです。

 作文の場合も同じようにできますが、江戸時代の席書きが主に習字であったのに対して、作文の場合は600-1200字の文章です。清書をそのままfacebookやgoogle+にアップロードしたのでは、あまり面白くありません。

 そこで、発表会は、文章だけでなく、その作文の内容に関連した音楽や画像や朗読なども入れるようにします。作文というよりも、文章を中心とした総合表現芸術というようなものです。その発表会の作品を見て、ほかの生徒や保護者が思い思いにコメントを入れることもできます。

 発表会で大事なことは、子供たちの作品を比較しないということです。評価をするにしても、それぞれの個性を評価することが中心で、優劣をつけるような評価は限定的なものにとどめておく必要があります。

 facebookやgoogle+を利用するので、ネットワークの上だけでも発表会を行うことができますが、本当は、発表はリアルな関係の中でした方が励みになります。

 そのために、予習が学年別・課題別であったのに対して、発表はできるだけ地域別に行うようにします。予習は、全国の小学3年生の8月1週の課題などと時間的に限定したものでしたが、発表は、○○市の□□町周辺の生徒というようにしていきます。したがって、地域ごとにいろいろな年齢の子供が参加する形になります。

 このように、子供の教育を要にして地域につながりができるというのが、子供たちの成長にもプラスになります。今は核家族化が進んでいるために、子供たちは、親子という限られた人間関係の中で過ごすことが多くなっています。また、学校や塾も、同学年の子を中心に組織されているので、ここでも人間関係は単調なものになりがちです。

 子供は、地域の中で、近所のおじさんやおばさんに囲まれて、年下の子や年上の子との関わりの中でバランスよく成長していくものですが、現代の社会ではその機会はきわめてすくなくなっています。そこで、作文の勉強という学ぶ機会を利用して、地域の多様な人間関係の中で育つ環境を作っていくのです。



 日本の教育は、現在多くの点で行き詰まっているように多くの人が感じています。

 しかし、それは教育に限ったことではありません。教育も、政治も、経済も、文化も、あらゆる面で、日本が明治以降、取り入れたきた欧米の近代文明が制度疲労を起こしているのです。

 日本の社会は、もう既に、近代西欧文明の長所も弱点もほとんど経験しました。あとは、これを日本が本来持っていた伝統の中で昇華していくことです。

 その伝統の多くは、これまで遅れていた時代と見なされていた江戸時代の中にあります。単なる復古ではない、伝統と進歩の創造的な結合を作り出すことがこれからの課題です。

 それは、比喩的に言えば、民主主義の実現した江戸時代、又は近代科学を取り入れた縄文時代というようなものになると思います。(つづく)



 次回は、教材の作成についてです。

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