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3月の森リン大賞(中3の部、高校生以上の部) as/1528.html
森川林 2012/04/24 18:04 





3月の森リン大賞(中3の部58人中)(現中3の生徒が中2の3月に書いた作品です)

自分たちの社会
あまぐり

 「もったいない」。日本人のモノに対する意識である。日本には妖怪の「もったい」がいる。ものにくっついてくる妖怪であり、それがついていると日本人はものを捨てたいという衝動に駆られる。しかし、「もったい」がいなくなるとモノを拾いたくなってしまう。産業革命などで、モノが大量に生産される仕組みが成り立った時は、妖怪「もったい」を多く生産することで、需要と供給の均衡を保った。ゆえに、消費社会が成立したのである。しかし、モノを多く捨ててしまう社会「使い捨て社会」のままでは、経済問題とかの前になにか、重要なものが失われているのではないだろうか。

 「モノ」というのにそれぞれの確立した価値を見出し、それぞれを大切に扱うべきだ。近年、産業の発展が進むにつれて供給が需要よりも高くなるという事態が発生した。モノが余り、世は不況に陥った。しかし、それを打開したのは使い捨て社会を成立させたからだ。買っては捨て、買っては捨て……。しかし、本当にそれでよいのか。使い捨て社会が成り立っている現在、なにかが悲鳴をあげていないだろうか。人間の心と環境である。モノが廃棄されるなかで、環境汚染が進んでいく。なにかにお金を使おうと公共事業に費やし、それが発展して戦争にまで繋がっている。このような世の中がいま現在、成り立ってしまっているのだ。こんな世の中があって良いのか。私は悲しさを覚えた。やはり、モノは大切にすべきだ。モノの消費が多大なる問題を招いていると思うと恐ろしい。

 しかし、モノを捨てることによって経済の発展が大きく見込まれ、近代化を進めることができる。人はモノを捨てると、それに対応する新しいモノを買う。それによって、経済がうまく回るようになっている。いわば、消費者は経済の潤滑油の役目を果たしていると言えるだろう。モノを買うことで生産者側にはお金が入る。ゆえに、利益をあげ、経済が発展するのだ。日本は先進国であるが、ヨーロッパの各国やアメリカと比べると劣る部分が多いと思う。経済の発展により、欧米諸国に追いつくことができるかもしれない。わらしべ長者は、最初にもっていたわらをすぐに交換し、それからさまざまなものを交換して、最後には豪華な屋敷を手に入れることができた。よって、一つのモノに執着せずに新しいものを手に入れることも大切である。

 確かに、モノの価値を見出し、大切に扱うのも、経済発展のためにモノを捨てるということもどちらも大切である。しかし、「もともと地上に道はない。歩く人が多くなればそれが道になる」という名言があるように、私たちがこれからどうしていきたいのか考えることが大切なのである。モノを大切にする、捨てる、といったことの前に、未来の社会を自分たちがどうしていきたいか、現在の社会の現状にどう対応していくか、と考えることが重要なのだ。だからこそ、理想の社会を築きあげていく過程で、本当に大切な道を選んでいければ良いのではないかと思う。だが、時にその方法がよくなったり、悪くなったりすることがあることがあるかもしれない。しかし、未来の社会像を自分たちが描くことが大切なのである。したがって、私たちが切り拓いていく社会。自分たちの理想を掲げ、それに向かって進むことが大切なのである。












順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1自分たちの社会あまぐり90134472767990
2経験・勉強ポセイドン89133861798586
3今しかやれないことなるか89133269707792
4子供万歳リザードン88122361718190
5遊びと学びの目的織田信之助88121554807790
6物と心は使い捨てことのは88125958777590
7よく遊び、よく学べfuga87124558758281
8学ぶことペンしろう87118756698289
9遊びと勉強ききか87118953838090
10子供の想像力アホ神God86126467597984


★1位の作品は要約の部分が多かったため代表作品にはなりませんでした。

3月の森リン大賞(高1高2高3社の部145人中)

世界を一つの家族にしよう
えらる

 『父は子のために隠し、子は父のために隠す。直、その中に在り』これは、親の不正を隠さずに証言した子に語りかけた孔子の言葉である。孔子は、その子に向かって『法的に言えば正しいが、子供としてやるべきことが他にあったのではないか』と問いかけたのだ。時代が法的社会になりつつある中、孔子は共同体意識を表した。理屈で成り立つ法的社会とは正反対の共同体意識は、感覚や情で成り立つ。アメリカは、法的意識が強い国となっている。日本と比べて弁護士が多く、それだけ裁判になることが多いということだ。日本は、とりあえず話合うことで話を大きくしないパターンがほとんどである。つまり人間関係の中で調節し、事を収める方法だ。私は、生きていく上で共同体意識を考慮した生き方をしたい。

 その為には何が出来るだろうか。第一の方法は、法よりも人間関係を考慮することである。法では、人間関係が考慮されにくく、大変機械的である。私は前に違うクラスの友達が教科書を忘れた時に貸したことがある。一応規則として貸し借りは禁止となっているが、忘れた時はお互いさまである。(笑)忘れることに慣れてしまうとだらしがなくなることを防ぐ為にこの規則があるのだが、もしここで私が先生に友達が忘れたことを言えば、友達の信頼を失うことだろう。ここは、規則より人間関係を優先してしまう。学校では、友達や先生や部活など沢山の共同体がある。私は、よく先輩が下校の電車内で携帯を使用しているのを見かける。私の学校では、携帯許可証を持っている人は最寄駅のみ使用許可となっている。見かけたとしても私がいわないのは、学校という共同体意識があるからである。(先輩が怖いということもあるが・・・笑)

 第二の方法は、普段からコミュニケーションをとり共同体を作りやすい環境を作ることである。私達にとって学校や会社で共同体を作ることは簡単であるが、地域間での共同体を作ることは難しく育ちにくい。しかし、地域間での共同体作りは大切だ。それは、東日本大震災を通し大きく痛感したことだろう。大きな事件が起こった時、どんなに他人でも私達は共同体を作らなければ助け合うことが出来ない。伝記で有名なライト兄弟は、たとえ二人という少人数でも共同体であった。二人で支えあい、互いに補いあったからこそ飛行機という大きな物を完成させることが出来たのだ。もし、二人が罰しあう仲だとしたら飛行機は完成しなかっただろう。すると現代になっても飛行機は無く船だったかもしれない。アーティストのAKB48が歌う『僕にできること』という歌の中に『世界をひとつの家族にしようぜ 喜びも悲しみも分け合うんだ 争った国と微笑みの握手しようぜ 明日生まれてくる子供へ僕に出来ること』という歌詞がある。この歌詞にあるように、世界という共同体を作るべきだ。

 確かに共同体意識が強すぎてしまうと悪い面が出てくる。例えば、ミートホープという工場で起きた牛肉ミンチの品質表示偽装事件。この工場では、共同体意識が強すぎた為に偽装事件が起こってしまった。しかし、これは誤った共同体意識である。共同体意識を強く持ちすぎることで、お互いの過ちを隠し合うことは誤ったものである。それに対し、お互いの欠けている部分を支え補い合うことが正しく新しい共同体意識なのである。共同体意識は、昔からあったが日本ではマイナスの方向にきていた。その為、法的社会が出来てしまったのである。私達は、どのようなことにも対応することの出来る新しい形の共同体を作っていくことが大切だ。












順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1価値ある「モノ」とはファラオ91120967869589
2世界を一つの家族にしようえらる91145866908989
3法的社会と道徳心えみり90155866818489
4自分自身の物語(Roman)なるは90119563888387
5平等によってくまもんっ☆90139672738386
6社会の礎さくら89140061979490
7量の制御ちな89129164928590
8道徳的共同体を大切にするきやの88125661959586
9量と制御さきか88120561938892
10鎖国を解くけろん88119556858496


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森リン(103) 

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3月の森リン大賞(小6の部、中1の部) as/1527.html
森川林 2012/04/23 19:28 

 3月の森リン大賞を紹介します。小6の部は、現在小6の生徒が3月の小5のときに書いた作文です。中1の部は、現在中1の生徒が3月の小6のときに書いた作文です。




★1位の作文は、要約の部分が多かったために代表作品にはなりませんでした。

3月の森リン大賞(小6の部97人中)(現小6生が、3月の小5のときに書いた作文です)

大好きフルーツポンチ
おまな

「いただきます。」学校の家庭科の時間に作ったフルーツポンチ。
「白玉を使ったおかしをつくろう。」というテーマで、5人1組でつくった。持ってくるものなどは、各自持っていき5人で協力してフルーツポンチを完成させた。サイダーが口の中でシュワシュワとはじける感触、果実の甘味、ポッキーとの合性などすべてがマッチしていて最高においしいフルーツポンチだった。

私は、フルーツポンチが大好きである。そのきっかけとなったのは、3年生での出来事だ。近所にある羽根木公園で毎年行われている「子供商店街。」このイベントは名前通り子供がお店を出すものだ。私も早速、幼稚園の頃の仲が良かった友達をさそい、お店をだすことにした。このとき、つくったのがフルーツポンチだった。売れ行きは、好調ですぐに売り切れてしまった。そして、お店コンテストでも2位に選ばれるという素晴らしいお店になった。この経験で私は、フルーツポンチを大好きになることができた。

今回、学校でフルーツポンチを作るにあたって家で練習をしてみた。子供商店街の経験もあり、フルーツポンチ作りには腕が鳴る。どの缶詰がおいしいかを私なりに色々とまるで科学者のように研究してみた。家族からも様々なアドバイスがあった。母からのアドバイスは、
「白玉はもうちょっと小さめにしてたくさん入れたほうがいいよ。それとナタデココとかポッキーを入れるとオシャレでおいしいと思うな。」
というものだった。この言葉を聞き、今回のフルーツポンチにポッキーを取り入れたり、白玉をミニサイズにしてさらにおいしく作れるようになった。母に感謝である。初めは、店を出すために作り始めたフルーツポンチだったが、私は完全に自分で作るフルーツポンチのとりこになったようだ。

フルーツポンチを作るのが、初めてで、とても緊張していた3年生のころ。あれから、2年たって今はフルーツポンチを作るプロになった。今回この、フルーツポンチ歴をふりかえってみて案ずるより産むが易しだなとわかった。どんな料理でもかかんにチャレンジしていけば、必ずできる、この思いを胸に料理をしていきたい。私はいつまでも、大好きなフルーツポンチを家族や周りにいる人の
「いただきます。」
という言葉を聞きながら作っていきたいなと思った。












順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1レオナルド・ダヴィンチなゆな81102847767692
2大好きフルーツポンチおまな8094639868683
3一人よりみんなレシラム80121444708381
4初めてのスキーりんご80109339617887
5科学者の目エリザベス8095451657587
6レオナルド・ダヴィンチなゆな80102847727392
7アクシデントの経験メゾピアノ791477469410786
8おいしいはーちゃん791275387510277
9アクシデントの経験メゾピアノ79147743899986
10料理を作ること海太郎79102939798989



3月の森リン大賞(中1の部97人中)(現中1生が、3月の小6のときに書いた作文です)

地球の鏡
いなりずし

 人間がふみならした道路いうものは、いかにも自然的な道でやさしい道でもある。しかし、アスファルトの道路になってしまえばいっきにふぜいがなくなってしまう。新しく高速道路が作られるのなら、アスファルトを使った方がいいのは当然だが、そんなにしょっちゅう車が通らないようなところまでアスファルト道路にする必要があるのだろうか。一番道らしい道は、人間の生活や暮らしを温かくしてくれて、心がおどるような発見をさせてくれるものだと思う。

 僕が生まれた時代には、もうとっくにアスファルトの道路が普及していた。僕が土の道を一度も見たことが無いのもしょうがないだろう。生まれた時からアスファルトの道と接してきた僕だが、アスファルトの道の良さはいまだに五つも見つからない。確かに、雨の日や坂道などにはアスファルトが適していると思うが、外見からしてもあまり地球の温かさが感じられない。それに、土の道路だったら、夏のような暑い日では水蒸気が熱をうばってくれるし冬のような寒い日だったら土の温度を空気中に分けてくれる。このように、季節に応じて変化してくれる道は土の道しかない。アスファルトの道でも土の道でも、どちらも長所と短所がある。だが、僕は自然にあふれる土の道路の方が好きだ。地球そのものを表しているし、アスファルトの道路だと、どうしても地球が息ぐるしそうに見えてしまうのである。

 僕より前の時代に生まれている母(当たり前なのだが)は、少しでも土の道路と接しているだろうと思い、どんな様子だったか聞いて見た。すると僕の予想通り今より土の道路が多かったそうだ。土の道路とアスファルトの道路を比で表してみると、五対五ぐらいだったそうで母が通っていた学校からの帰り道も土の道路だったらしい。僕も一年生のころやっていたように、母も帰りながら石ころをけったり、花をつんだりしながら歩いたそうだ。僕も時々石ころをけりながら家に帰る時があるが、道路に出てしまいそうで本当にこわい思いをした。石をけっても安全な道。そんな自然豊かな道があったとは知らなかった。母自身も、
「そっかー、亮が生まれた時には土の道路なんてほとんどく無くなっていたんだねー。」
と、少しさみしげに同感してくれた。土の道路が、アスファルト道路より自然なのは当たり前だが、それよりも人間に必要な好奇心を育ててくれる大切なものだと感じていたそうだ。

 人間にとって一番親しみやすい道とは、必ず地球のかけらが落ちている。鳥の羽、石ころ、雑草、虫の死がい、生き物。すべてが地球のかけらだ。そんな輝きのある地球のかけらが落ちている土の道は、本来の地球の姿をそのまま表している「地球の鏡」といってもよいだろう。確かに、アスファルトの道路の方が適している場所もないとは限らない。しかし、「水清ければ魚住まず」というように、地球のかけらが落ちている道までアスファルトでうめてしまうことはないだろう。今、アスファルトでうまってしまっている「地球の鏡」を復元させて、発見でいっぱいの生活をおくりたい。












順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1地球の鏡いなりずし85125849617292
2料理をどうやってりょうたろう84221851697783
3霜柱と花Qちゃん83107954728693
4「がんばる」ということアルセウス83122047586786
5当たり前のことナルニアン82175153759492
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森リン(103) 

記事 1526番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
作文力上達の目安と、作文力のつけ方 as/1526.html
森川林 2012/04/20 19:47 



 言葉の森の生徒のパソコン入力の清書データが蓄積されてきましたので、いつか機会を見て全学年の森リン点の集計を行い、個人の作文力の位置がわかるようにしたいと思っています。

 作文の評価というものは、個々の作品に限ってみると、取り上げた題材の面白さなどで差があり、読む人の主観によっても差があります。しかし、長期間の作文力という点から見ると、大きな傾向がはっきり表れてきます。

 ときどき保護者の方から、「毎週がんばって書いているのはわかるが、実力がどの程度ついているのかわからない」という声を聞きます。森リンの点数の傾向を見れば、自分の作文力の進み具合と全体の中での位置がわかります。

 森リンは、個々の作品の評価については、誤差があります(特に低中学年では誤差が大きくなる面があります)。しかし、作品の集計数が多くなれば全体の傾向はかなり正確にその生徒の作文力を表します。


 しかし、この集計を見る際に、ぜひ家庭で気をつけていただきたいことがあります。それは、

1、絶対に、ほかの子と比較してがんばらせようとしないこと

2、作文を直して作文力をつけるのではなく、読む力をつけることで作文力を向上させること

の2つです。


 今、毎月の森リン大賞では、小4までの学年は1位の作品を表示していません。なぜかというと、1位の作品を表示すると、ほとんどの保護者が、その1位の上手な作文と自分の子供の書いた作文を比較してがんばらせようとしてしまうからです。

 上手な作文の背景には、その子のこれまでの何年間もの読書や対話などの日本語環境の厚みがあります。それを、短期間で作文の上だけで真似することはできません。そのできないことを子供に要求すれば、子供はただ自信をなくすだけです。

 作文の実力をつける方法は、その子の今の作文のいいところだけを褒めて、その一方で毎日の音読、暗唱、読書、対話の自習を続けていくことです。毎日の読む力の蓄積が出てきたときが、作文の力がついてきたときなのです。


 森リン点を上げるために表現を工夫して編集し直すのは、自分の文章を見直す機会になりますが、表現の工夫だけで、文章力が上達することはありません。語彙の種類ひとつをとっても、読む本の幅の広さや質の高さがその子の語彙力を決めています。小手先の工夫で語彙力を増やすことはできません。

 無理に語彙を増やして作文を書けば、点数を少しは上げることができますが、かえって読みにくい文章になります。それでは本末転倒です。自分の自然に持っている語彙力で上手な作文を書くことが勉強の目標です。そのためには、作文を直して作文の力をつけるのではなく、読む力をつけてそれが作文に出るようにするという勉強の仕方が必要になるのです。

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作文の書き方(108) 森リン(103) 

記事 1525番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
これからの教育に必要なもの―学力向上の先にあるもの 6 as/1525.html
森川林 2012/04/19 20:26 


 教育は、人間の幸福、向上、創造、貢献と結びついているという話の続きです。

 第二は、向上のための教育です。

 今の教育は、向上のために行われているように見えますが、しかし、その目的が受験に合格することに絞られすぎているところに問題があります。その結果、試験でいい点数を取ることが勉強の目的のようになっています。

 例えば、一夜漬けや山をかけるような勉強でも、点数がよければそれでよいという発想を子供は持ちがちです。試験の前に集中力を育てるのはいいことですが、試験でがんばりすぎると、試験が終わったら何もしないということになりかねません。

 人間が向上心に目覚めるのは、中学3年生ごろからです。だから、高校生になると、勉強はだれに言われなくてもやるようになります。しかし、それまでの小学校時代と中学校時代の大部分は、子供は親や先生の価値観で勉強しています。だから、周囲の大人が、勉強はテストでいい点数を取るためにあるのではなく、自分自身を向上させるためにあるのだと教えていくことが必要なのです。

 例えば、テストでわからない問題が出た場合、あてずっぽうで答えを書き、それがたまたま○になっても何のプラスにもなりません。そういうときは、その答えを空欄にして×にしてもらった方がずっといいのです。大人は、そういうことをわかっていますが、子供にはそのことをはっきりと言葉に出して伝える必要があります。

 また、今の入学試験は点数で差をつけるために難問を一部に入れることがありますす。総合点でいい点数を取るためには、難問はほどほどに切り上げて、易しい問題や普通の問題で得点を上げていくことが必要になります。しかし、そういう試験勉強に慣れてしまうと、仕事や人生でも難問を避けて易しい問題だけに取り組むようになります。これも、向上とは正反対の考え方です。

 向上とは、人間の能力全体の向上です。受験する科目だけに絞った点数の向上ではありません。高校生になると、理系だから国語はやらないとか、文系だから数学はやらないとかいうことが、ごく普通に受け入れられるようになります。しかし、それでは、当面の大学入試には役立っても、世界に通用する学力はつきません。

 確かに、日本の社会は、組織力で持っています。個々の人が自分の得意分野を生かし、苦手分野を支え合うことで、組織全体の力で業績を上げることができます。しかし、これからの高度な知的社会では、理系と文系の分離は個人の能力向上という点でも問題がありますが、組織全体のチームプレイにおいても意思疎通の妨げになってきます。

 勉強の目的は、ガラパゴス化した日本の大学入試に合格することではなく、自分自身を向上させるためにあるのだということを、親も子も含めて社会全体が認識していく必要があるのです。(つづく)

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教育論文化論(255) 

記事 1524番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
4月20日(金)13:00-15:00電話工事のため電話に出られません as/1524.html
森川林 2012/04/19 14:07 
 明日、4月20日(金)13:00-15:00、電話回線の工事をするため電話に出られません。
 お急ぎの方は、下記の携帯にお願いします。
▼携帯電話
080-6523-5004

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生徒父母連絡(78) 

記事 1523番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
これからの教育に必要なもの―学力向上の先にあるもの 5 as/1523.html
森川林 2012/04/18 19:51 


 教育の目的は、人間の生きる目的である幸福、向上、創造、貢献と結びついています。

 第一は、幸福に生きるための教育です。

 この前提として、幸福とは外的な環境によってもたらされるものでなく、内的な決心によって得られるものだという考える必要があります。

 もちろん、これは、自分の置かれた状況に対する変革を否定するものではありません。しかし、変革は自分の幸福のために行うのではなく、社会に対する貢献のために行うものだと区別して考える必要があるのです。


 幸福とは、いつも自然に元気で明るくいることです。単純ですが。

 これを、各人が試行錯誤の中で獲得するものだと考える人もいるでしょう。しかし、同じように、数学の公式(例えば三角形の面積の求め方など)を試行錯誤の中で獲得するべきだと考える人はいません。過去の人類の知識や経験の蓄積を生かして、その蓄積を土台にしてより進んだ試行錯誤をするというのが人間らしい試行錯誤です。


 また、幸福は主観的なものだと考える人もいるでしょう。しかし、教育における幸福とは、人間に幸福を押しつけるものではありません。幸福の理論と方法を伝え、その理論と方法を選択できるようにすることです。

 人間は、幸福が選択できる状況であっても、あえて不幸を選ぶ場合があります。芸術の場合は更に不幸の昇華がその芸術の価値になっている場合もあります。だから、大事なことは、幸福になることではなく、幸福を自由に選択できるようになることです。


 この幸福のための教育が、未来の教育のひとつの分野になります。

 現代では、幸福のような主観的な価値観に左右されるものは教育が取り上げるべきではないという考えがあります。しかし、人類の長い歴史の中で、幸福に生きることはだれにとっても大きな関心事でした。そして、その関心に応えていたものが宗教でした。

 宗教の問題点は、論証できない架空の前提も含めてすべてを丸ごと信仰することが要求されることです。教育が宗教と異なる点は、選択の自由があることです。


 幸福に生きるための教育の教材は、プラスのシミュレーションとマイナスのシミュレーションになるでしょう。小説や実話の例をもとに、いかに人間が幸福に生きたか、あるいは不幸を克服したかを追体験する練習です。

 そして、幸福に生きる方法の基本は、感謝の反復と、幸福であることを決心する勇気だと思います。


 幸福とは、弱々しい生き方ではありません。どんな場面でも幸福に生きるというたくましい生き方です。


 幸福の教育は、まだ研究途上です。これから、さまざまな理論や方法が生まれていくでしょう。そして、やがて幸福の教育が広がるにつれて、世の中は次第に明るくなり、その社会を土台にして更に進んだ幸福の教育が発展していくのだと思います。(つづく)

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教育論文化論(255) 

記事 1522番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
これからの教育に必要なもの―学力向上の先にあるもの 4 as/1522.html
森川林 2012/04/17 19:12 


 教育の基本は学力を高めることです。しかし、現代はそこだけが肥大化しているように見えます。その結果、かえって学力も十分につかない状況が生まれています。

 学力の低い子は、早めにあきらめてしまう結果、低学力を続けるようになり、学力の高い子は、周囲との比較の中で小さな満足を得る結果それ以上の向上を目指さないようになります。

 なぜそういうことが起きるかというと、求められているものが中身の学力というよりも外見上の学歴であることが多いからです。


 今の親の世代は、ほとんどの人が自分の人生に満足していないのではないかと思います。毎日朝起きるのがうれしくてたまらないという人生を送っている人はほんのわずかです。豊かな社会では外見上の刺激はたくさんあるので、毎日忙しく面白く暮らすことはできますが、本当に自分の人生に満足して生きている人はあまりいないと思います。

 その漠然とした不満の漂う人生の原因を、多くの人は自分の学歴のせいだと考えるのではないでしょうか。そして、その学歴の原因は、自分が勉強を開始するのに遅れたからだと考えます。その結果、親のマイナスを繰り返さないように、子供には早めに勉強させて、いい学歴を獲得し、いい人生を送ってほしいと考えるのです。


 しかし、学歴というのはひとつの土台です。大事なことはその土台の上に何を建設するかということで、その建設するものが生きがいの中身です。

 大人が自分の人生に漠然とした不満を感じているのは、土台がなかったからではなく、建設するものがないからなのです。


 だから、子供の教育と考えるとき、まず外見上の学歴よりも中身の学力を考えることが大事です。次に、学力の土台の上に、何を建設するかということを考えることが大事です。

 その建設の中身は、人生の中身と同じです。だから、人生の目的を考えることが、そのまま教育の目的を考えることになるのです。


 人間の生きる目的を一般的に言えば、幸福、向上、創造、貢献だと思います。教育の目的も、同じように、幸福に生きるための教育、向上するための教育、創造するための教育、社会に貢献するための教育と考えることができます。

 向上の一部の学力の、そのまた一部の受験科目の点数だけにとらわれるのではなく、人間の全体の向上と、その向上と同じように大切な幸福や、創造や、貢献を教育の守備範囲として考えていく必要があるのです。

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教育論文化論(255) 

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4月3週の授業の動画 as/1521.html
森川林 2012/04/17 06:33 



 4月3週の課題は、小3、小4の生徒には初めての感想文になります。「授業と予習の掲示板」や「授業の渚」などを参考にして書いてください。

「授業と予習の掲示板」
https://www.mori7.com/okajg/
(4月16日にアップロードした動画は音量が小さかったので新しくアップロードし直しました)

「授業の渚」
小1 小2 小3 小4 小5 小6 中1 中2 中3 高1 高2 高3

「facebookの学年別予習室」も参考にしてください。

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手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習