ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1532番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/2/20
これからの社会に必要な作文力、国語力(長谷川慶太郎さんの本から) as/1532.html
森川林 2012/04/29 22:36 


 「日本と世界はこう激変する」(李白社)という本の中で、長谷川慶太郎さんが次のように書いています。

====引用ここから。====

 (企業は大学新卒者を採用する際に、潜在能力の高い人を採用するという話の続きで)

 その場合に潜在能力の高い人材を採用するには、新卒者のどのような能力をチェックすればいいのか。この点について日本企業の中でもとりわけ人材不足が叫ばれている金融機関を中心に注目しているのが国語能力です。

 具体的には、きちんとした文章が書けるかどうかを入社試験で厳しくチェックします。そこに注目する最大の理由は、日本においては小中高を通じて国語に対する教育が不十分だからです。つまり、国語能力が不足しているから大学生の能力も下がっているという判断です。

 入社を希望する大学生に作文の試験を行うと、立派な作文を書ける受験者はわずかで、ほとんどがいったい何が書かれているのかさっぱり分からないような作文を書く受験者ばかりだそうです。作文がろくに書けないようでは、いくら他の試験の成績が良くても不合格になります。逆にいえば、立派な作文が書ければどんな企業の入社試験にも受かるということでしょう。



====引用ここまで。====

 知識を覚えることが中心の教科の成績は、あまりあてになりません。物知りであっても判断力のない人はたくさんいます。

 作文力は、じっくり見れば、その人の潜在能力がはっきり表れます。だから、小手先の対策で作文の力を上げることはできません。それまでに読んだ本、考えたこと、書いた経験の総合力が作文という形で表れますから、文章はその人自身でもあるのです。

 今の社会の風潮として、読書や作文などを気長にやるよりも、目の前にあるテストの成績をまず上げることだというものがあります。これが特にはっきり表れるのが、中学生のころの勉強です。定期的にあるテストのために塾に通い、少しでも点数を上げようとすると、読書や作文などは後回しになります。そして、後回しにした方が実際にテストの点数にはプラスになるのです。

 ところが、そういう目先の点数中心の勉強をしている子は、本当の実力をどんどん低下させていきます。一方、読書の時間を確保しながら勉強している子は、その読書が特に成績のプラスになるわけではありませんが、確実に実力をつけていきます。そして、何年かたつと、読書の時間を確保していた子の方が理解力も思考力もついているので、いつの間にか成績も逆転してしまうのです。

 中学生のころの子供のものの見方は近視眼的です。塾の先生は立場上、近視眼的な成績重視の勉強をさせざるを得ません。しかし、親は、将来の子供にとって何が重要なのかということを考えて判断していく必要があります。何でも塾にお任せで目先の成績だけを見ているようではいけないのです。

 その点で感心するのは、言葉の森で受講している生徒の保護者です。時々保護者と話をする機会がありますが、自分なりの考えを持っている人がとても多いのです。自分で判断することには不安ももちろんありますし、試行錯誤もあるでしょう。しかし、これからの世の中は、この自分で判断するということがますます重要になってくると思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文教育(134) 

記事 1531番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/2/20
小学生の日記の書き方―文章を書く勉強は、目標を決めることが大事 as/1531.html
森川林 2012/04/27 18:38 



 小学校低学年では、学校で日記の宿題が出ることがあります。毎日書くことによって文章を書きなれることと、日常生活の中から書く価値のあるものを見つけてくることが練習の目的です。

 しかし、子供によっては、「書くことがない」と悩んでなかなか書き出せないこともあります。確かに、毎日の生活はそれほど変化のあるものではありません。いつも同じように学校に行き、同じように勉強したり遊んだりして家に帰ってくるのですから、書くことがないという気持ちになるのはやむを得ない面もあります。

 ここで大事になるのが、何をどう書くかという目標です。

 言葉の森では、作文を書くときに、子供たちにいろいろな目標を指示します。例えば、「書き出しを工夫する」「中心を決める」「お母さんやお父さんの似た話を聞いてくる」「会話を思い出す」「たとえを入れて書く」などです。

 学校の日記の宿題をするときも、こういう目標が役に立ちます。子供たちが作文を書くときにいちばんの助けになるのが、「会話を入れる」という目標です。会話を入れて書こうとすると、自然にその出来事を描写的に書くようになります。作文が長く書けてしかも内容が面白くなるのは、出来事を具体的に描写するからです。説明や感想だけで書いてしまうと、長くも書けませんし、内容もいつも同じようなものになってしまいます。

 例えば、「今日もサッカーをして遊んだ」「昨日もサッカーをして遊んだ」という説明だけでは、いつも同じことしか書けません。しかし、そこに会話を入れると変化が出てきます。「けんちゃんが、『なんでパスしないんだよ』と言いました」とか、「じろうくんが、『ナイスシュート』と言いました」など、そのときの場面を具体的に書くようになると毎回違ったことが書けるようになるのです。

 会話と並んで、日記を個性的にするのは、たとえ(比喩)です。たとえを入れて書こうとすると、作文の中にその子らしい見方が出てきます。しかし、読書量の少ない子は、個性的なたとえがなかなか出てきません。ありきたりのパターン化されたたとえを書いて済ませてしまうこともあります。そのときは、家庭でお父さんやお母さんが、一緒にたとえを考えてあげるといいのです。身の回りのものを見ながら、「おなべがことこと何かつぶやいているみたいだね」とか、「今日は風がないから、鯉のぼりが干物みたいになっちゃったね」などと話すと、たとえを見つける練習ができます。
 たとえよりも見つけやすいのがダジャレです。身の回りのものからダジャレで表せるものを見つける練習をすると、たとえと同じように言葉の感覚が磨かれてきます。

 日記を書く練習の主な目的は、書きなれることで、頭で考えたことがスムーズに手につながるようにする練習です。そして、考えたことがそのまま自然に書けるようになったら、今度は考えることそのものを豊かにしていくことが大事な練習になります。その練習法は、本を読むことです。日記の練習は読書の練習と結びつけて行うことによって本当の力がついてくるのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

戸坂のありんこ 20121022  
ありがとうございました。
息子の10分間作文に少し助言してやろうと思います。

森川林 20121022  
 10分間作文は、続けていると飽きてくると思いますから、田舎のおじいちゃんやおばあちゃんに手紙を出すような形で続けていくといいと思います。

思考ラー(シコラー) 20121126  
大変、参考になりました。作文って、「自由に書いていい」と言われると、それがかえって窮屈になったりしますよね。そこに、「会話を入れる」、「たとえを入れる」といった制限がかかることで、逆に書きやすくなることがあると思います。

森川林 20121126  
 思考ラーさん、こんにちは。
 今の作文指導の多くは事前に制限をせずに自由に書かせるから、事後に赤ペンをたくさん入れるようになっているのだと思います。

ミッキー 20130218  
日記は毎日かかさず書いてまーす

森川林 20130219  
 ミッキーちゃんのニッキだねー。( ^o^)ノ

優希 20130519  
どうやって書けばいいか分かりません

ライオン 20131105  
よくわかりました。
参考になりました!!

しこしこちゃん 20140408  
大変分かりやすいです!



ハロー 20141002  
こんにちはミッキーさんは日記を毎日かかさずかいているなんてすごいです

ハロー 20141002  
できれば日記の書き方を教えてください。

森川林 20141003  
 日記はその日にあったことを書くと考えるよりも、その日の会話を書くとか、その日のたとえを書くとか、又はダジャレを書くとかすると面白い。

kzmy 20150501  
文章を書くのが好きな四年生の長男が日記を書くと言い出し、何かプラスのさりげないアドバイスができたらな、と思いたどり着きました。よとても参考になりました。文章がとても苦手な二年生の次男にも声をかけてあげられそうです♪

森川林 20150501  
 大事なのは、書くことを負担に思わせずたのしい勉強と思わせることです。いつもいいところだけ褒めてやっていくといいと思います。

❤️ 20150706  
私は、小学校5年生で出される宿題の中で、嫌いというわけではありませんが、5w1hという言葉を思い出しました。これからは、このアドバイスを参考にし日記を書いていきたいなと思います。

ミミ太 20180423  
凄いです
参考になりましたぁ

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 
コメント51~60件
……前のコメント
未来の子育て、 森川林
 「今は、勉強が大事なのだから、自分のしたいことは大学に入っ 3/8
記事 5006番
未来の子育て、 森川林
 かつて、三井三池炭鉱は、日本のエネルギー産業の花形で、安定 3/7
記事 5005番
未来の子育て、 森川林
幼児期や小学校低学年のころは、何でも吸収できます。 しかし 3/6
記事 5004番
未来の子育て、 森川林
 今の日本の受験勉強は、清朝末期の中国の科挙に似てきています 3/5
記事 5003番
朝の10分間読 森川林
 読書は、読む力と理解する力です。  草野球とプロ野球では 3/4
記事 5002番
低学年の作文の 森川林
低学年の作文でいちばん大事なことは、題材選びです。 その題 3/3
記事 5001番
作文における書 森川林
 作文で大事なのは中身です。  しかし、中身はなかなか進歩 3/2
記事 4999番
これからの新し 森川林
 今はまだ、勉強のゴールは、大学入試になっています。  大 3/1
記事 4996番
上手な作文とそ 森川林
 上手な作文とそうでない作文の差は、語彙力の差です。  そ 2/29
記事 4997番
ChatGPT 森川林
 創造発表の勉強のネックになるのは、個性的なテーマであればあ 2/28
記事 4955番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
AIと作文検定 森川林
作文検定をオンラインでやったら、 ChatGPTで書く人が 2/17
森川林日記
江原さんの本を 森川林
江原さんの本を読んだけど、 霊界からかどこからか知らないけ 2/17
森川林日記
AI時代の作文 森川林
これからはみんなChatGPTで作文を書くようになる。 大 2/17
森川林日記
Re: 1月読 森川林
 最初に書いてある「昔、夏に食べたトマトはおいしかった。」は 2/7
国語読解掲示板
1月読解検定に あうせれ
問5のA⇒昔のトマトは青臭いがおいしかった。←× 本文1行 2/5
国語読解掲示板
2025年1月 森川林
●新年度の教材は、もう発行されています。 http 1/22
森の掲示板
Re: 中2の 森川林
 これは、読解問題の解き方の基本だから、よく覚えておいてね。 12/22
国語読解掲示板
2024年12 森川林
●新年度の教材 https://www.mori7 12/22
森の掲示板
中2の読解検定 毛利
問題2番のAが×なのが納得いきません。解説お願いします。 12/19
国語読解掲示板
2025年1月 森川林
2025年1月の教材のPDFがプリントできます。 http 12/17
森林プロジェクト掲示版

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習