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これからの教育に必要なもの―学力向上の先にあるもの 7 as/1533.html
森川林 2012/05/01 19:56 



 しばらくほかの記事が続いてしまいましたが、教育は、人間の幸福、向上、創造、貢献と結びついているという話の続きです。

 第三は、創造のための教育です。この創造のための教育が、教育の最も重要な柱になります。というのも、人間の人間たる所以はこの創造の中にあるからです。

 ところが、創造については、二つの誤解があるように見えます。ひとつは、ただ成績がよいとか勉強ができるとかいうことに創造力があるという言葉をムード的に使う傾向があることです。もうひとつは、創造のようなものは本来教育として教えたり学ばせたりできるものではないという考えです。

 これらの考えのいずれも、創造というものを正しく定義していないことから来る誤解です。創造とは、世の中にまだないものを作ること、そしてそれが他人にとっても価値あるものであることです。

 世の中にまだないものというのは、創造の芽です。創造の芽は、根本的には人間の個性の中にあります。だから、人はだれでも個性があるという点で、本質的に創造的です。

 しかし、個性がそのままで創造になるわけではありません。個性が価値ある創造になるためには、個性に磨きをかける時間が必要です。この時間をかけるということもまた、人間という身体的な存在にとって特徴的な本質です。

 わかりやすく言えば、個性×時間=創造と考えることができますが、これはまだ創造の可能性です。実際に個性が価値ある創造になるためには、ふたつの要素が必要になります。ひとつは、個性を磨こうとする心構えです。その心構えを支えるものは、個性を尊重する社会の価値観です。

 そして、もうひとつは、個性を磨く練習です。その個性を磨く練習のひとつが作文になるのです。

 作文が、他の芸術活動である絵画や音楽に比べて優れているのは、特段の練習や器具の準備がなくてもほとんどの人が文章を書くことができるという点にあります。

 また、これからの人類の創造には知的な側面がますます重要になってきます。学問がまだ進歩していなかった時代には、創造は感覚的や身体的なところだけでも十分に発揮することができました。しかし、これからの社会は、あらゆる分野に学問が発展していき、その知的な土台の上にすべての創造活動が行われるようになります。その点で、作文という知的な活動は、今後の創造教育の中心になるものなのです。。

 ところで、言葉の森で子供たちに作文を書かせると、時々、「書くことがない」という子がいます。勉強は比較的よくできるのに、少し変わった題名や感想文になると、「書くことがない」とあきらめてしまう子です。この原因は、現代の勉強がまだ受け入れること中心になっていることにあります。現代のただ知識を吸収する勉強に適応しすぎた子は、成績はそれなりによくても、自分から新しく何かを作り出すということが苦手になってくるのです。創造は苦手だが再現は得意というのでは、人間ではなくロボットに近い教育を受けていると言っていいでしょう。知識の吸収はほどほどにして、その吸収した知識を前提として何を創造するかということを教育の柱にしていく必要があるのです。

 創造する教育という点で、プログラミング教育も、創造教育のひとつの重要な教科になります。これからのコンピュータ教育は、ワードやエクセルやパワーポイントの使い方を勉強するようなものではなく、プログラミングの少数のルールから自分で個性的なプログラムを作り出すという喜びを伴うものにしていく必要があります。

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これからの社会に必要な作文力、国語力(長谷川慶太郎さんの本から) as/1532.html
森川林 2012/04/29 22:36 


 「日本と世界はこう激変する」(李白社)という本の中で、長谷川慶太郎さんが次のように書いています。

====引用ここから。====

 (企業は大学新卒者を採用する際に、潜在能力の高い人を採用するという話の続きで)

 その場合に潜在能力の高い人材を採用するには、新卒者のどのような能力をチェックすればいいのか。この点について日本企業の中でもとりわけ人材不足が叫ばれている金融機関を中心に注目しているのが国語能力です。

 具体的には、きちんとした文章が書けるかどうかを入社試験で厳しくチェックします。そこに注目する最大の理由は、日本においては小中高を通じて国語に対する教育が不十分だからです。つまり、国語能力が不足しているから大学生の能力も下がっているという判断です。

 入社を希望する大学生に作文の試験を行うと、立派な作文を書ける受験者はわずかで、ほとんどがいったい何が書かれているのかさっぱり分からないような作文を書く受験者ばかりだそうです。作文がろくに書けないようでは、いくら他の試験の成績が良くても不合格になります。逆にいえば、立派な作文が書ければどんな企業の入社試験にも受かるということでしょう。



====引用ここまで。====

 知識を覚えることが中心の教科の成績は、あまりあてになりません。物知りであっても判断力のない人はたくさんいます。

 作文力は、じっくり見れば、その人の潜在能力がはっきり表れます。だから、小手先の対策で作文の力を上げることはできません。それまでに読んだ本、考えたこと、書いた経験の総合力が作文という形で表れますから、文章はその人自身でもあるのです。

 今の社会の風潮として、読書や作文などを気長にやるよりも、目の前にあるテストの成績をまず上げることだというものがあります。これが特にはっきり表れるのが、中学生のころの勉強です。定期的にあるテストのために塾に通い、少しでも点数を上げようとすると、読書や作文などは後回しになります。そして、後回しにした方が実際にテストの点数にはプラスになるのです。

 ところが、そういう目先の点数中心の勉強をしている子は、本当の実力をどんどん低下させていきます。一方、読書の時間を確保しながら勉強している子は、その読書が特に成績のプラスになるわけではありませんが、確実に実力をつけていきます。そして、何年かたつと、読書の時間を確保していた子の方が理解力も思考力もついているので、いつの間にか成績も逆転してしまうのです。

 中学生のころの子供のものの見方は近視眼的です。塾の先生は立場上、近視眼的な成績重視の勉強をさせざるを得ません。しかし、親は、将来の子供にとって何が重要なのかということを考えて判断していく必要があります。何でも塾にお任せで目先の成績だけを見ているようではいけないのです。

 その点で感心するのは、言葉の森で受講している生徒の保護者です。時々保護者と話をする機会がありますが、自分なりの考えを持っている人がとても多いのです。自分で判断することには不安ももちろんありますし、試行錯誤もあるでしょう。しかし、これからの世の中は、この自分で判断するということがますます重要になってくると思います。

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