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モノクロの旧社会からカラフルな新社会へ(その2) as/2090.html
森川林 2014/02/20 20:51 


 旧社会の特徴は、カラフルな感性とは反対のモノクロの利便性です。
 資本主義は、大量生産に成功することによって発展してきました。大量生産の目的は、松下幸之助の「水道哲学」であり、中内功の「よりよい品をより安く」であり、人間の誰にとっても普遍的な利便性の追求でした。

 だから、資本主義は基本的にモノクロでしたが、やがて人類の生産力が増してくると、モノクロの利便性は、次第に飽和するようになってきます。
 一家に一台の車、カラーテレビ、クーラーがそろい、一人に一台のスマホが行き渡るようになると、もうそれ以上2台も3台も持つ必要はなくなります。

 このモノクロ資本主義を延命させるものが四つありました。
 第一は、表面的なカラフルさの装いで、買い替え需要を喚起する営業的な努力です。
 第二は、IT産業に見られるような新しいモノクロのフロンティアです。グーグルやアマゾンやヤフーや楽天や、これから生まれるロボット産業は、新社会のカラフル産業ではなく、旧社会の新しいモノクロ産業です。
 第三は、中国やインドやブラジルの新興国の膨大な人口が新たに旧社会に入ることによって生み出される新しい大量の需要です。
 第四は、アメリカが管理していたドルという通貨を、基軸通貨産業のようなものにしたことによって生み出されたバブルの需要です。

 これらの要素が組み合わさることによって、資本主義を延命させる需要が生み出されました。しかし、資本主義は延命したとは言っても、その延命の方向は既に誰の目にも明らかになりつつあるように、最終的な飽和に向かっています。

 話はやや脱線しますが、その飽和の手前にかなり大きな変化が二つあります。
 一つは、中国など新興国で起こる新しい旧社会の内需に環境破壊が伴っていることです。しかし、これは科学技術の発展によっていずれ克服されるでしょう。。
 もう一つは、アメリカの基軸通貨産業が破綻することです。中国には基軸通貨を肩代わりする力はないので、基軸通貨は国際機関が管理するようになるでしょう。そうなれば、その機関は当面アメリカの軍隊を失業から救うために国際軍に編成替えすることができます。また、世界の国々をその軍事力に反比例する形で援助することができます。そのようにして、政治の力で世界平和を実現させることができるようになるのです。

 さて、モノクロ資本主義は、人間の普遍的な需要である利便性を大量に安価に提供することを使命としてきました。
 その大量の単色の需要と生産に適した形態は、大企業化でした。
 しかし、大企業といえども競争はあります。その競争に勝つために必須の条件は、コストを切り下げることです。コストの切り下げは二つの方向で進みます。一つは、人件費の機械による置き換えです。もう一つは、オープン化です。本当は、企業は利益率を高めるためには、クローズド化と囲い込み化を進めたいのですが、オープンでないものは利便性という点で負けるので、やむをえずオープン化を志向するのです。

(つづく)

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寺子屋オンエアをなぜ始めたか as/2089.html
森川林 2014/02/19 14:54 



 小学校低学年までの子供たちは、お父さんやお母さんを基準にして暮らしています。だから、この時期は、親の言うことをよく聞きます。

 しかし、小学3年生から、次第に親よりも友達を基準にすることが多くなり、その状態が中学2年生くらいまで続きます。

 中学3年生になると、自我が成長してくるので、友達という他人よりも自分自身の内面が基準になってきます。

 したがって、小中学生の勉強を軌道に載せるためには、友達関係を生かしていく必要があります。

 江戸時代の寺子屋で多くの子供たちが早朝から昼過ぎまで素読やなぞり書きのような単調な学習を続けられたのは、一緒に机を並べる多数の友達がいたからです。つまり、一緒に同じことをする仲間がいると、退屈なことでも続けられるのです。

 「見える学力見えない学力」を書いた岸本裕史さんが始めた家庭塾でも、運営がうまく行くコツは、やはり友達が数人集まるということでした。ただし、その代わりに、私語は厳禁という明確なルールがありました。子供たちの集団学習に、先生や親という大人が必要なのは、子供たちだけでは必ず最もお喋りな子に全体が引きずられるからです。

 教育法制化運動の向山洋一さんの著書に、受験時代に経験した集団学習の効用の例が載っていました。向山さんは、受験生時代、友達の家に行って一緒に勉強をしたそうですが、ただ一緒にいるというだけで、互いに別のことを黙々とやっていたそうです。そして、勉強が終わって帰るときに、二人で囲碁や将棋をして短いおしゃべりを楽しんだということです。

 このような例を見ると、勉強でも仕事でも、長時間続ける意欲は、同じことをしている誰かが一緒にいるというところから来ていることがわかります。ところが、友達と一緒に勉強するという環境が、個人ではなかなか用意できません。岸本裕史さんが提唱したように、近所の家族どうしの持ち回りで家庭塾を開くというのが理想ですが、狭い住宅環境という問題や、少子化で近所に友達が少ないという問題で、なかなか簡単に集まって勉強するという仕組みは作れません。

 そこで、ほとんどの家庭は、近くの学習塾に子供を通わせるようになります。家で子供がひとりで勉強するだけでは、すぐに飽きてくるからです。しかし、学習塾の問題は、勉強が他人依存になりがちだというところにあります。

 自分のペースでできる自習を家庭で行えるようにし、しかも家庭をネットでつなぎ、同年齢の子供たちが一緒に勉強している様子がわかるようにして、先生も(時には親も)そのオンエアの勉強に参加できるようにするというのが寺子屋オンエアの構想です。

 現在、寺子屋オンエアに参加されるモニターを募集しています。詳細をお知りになりたい方は言葉の森までお問い合せください。

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