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国語の成績は、氷山の水より上の部分。下の部分は、親の価値観と生活習慣 as/2184.html
森川林 2014/07/14 21:03 


 国語の成績は、氷山の水より上の部分です。水より下の部分は、国語の勉強ではなく、国語的な生活です。
 数学や英語の成績は、ゴムボートの水より上の部分です。というほど簡単なものではありませんが、やれば必ず成績が上がります。その効果が、国語よりもずっと早く現れるのです。

 では、氷山の水より下にある国語的な生活とは何なのでしょうか。それは、テレビ漬けでない生活、ゲーム漬けでない生活、そして、自然に行われている毎日の読書、親子の日常の対話などです。
 国語的な生活とは、その長年の蓄積のことなのです。だから、今、国語の力がないとしたら、それは今ないのではなく、それまでの十数年の国語的な生活の不足の結果が今出ているということなのです。

 だから、国語の力をつけるというときに、どこをどう直したらよくなる、ということはありません。数学の場合は、間違えた問題をできるようにすれば、そこで力がつきます。国語は、間違えた問題をいくら説明しても力はつかないのです。

 だから、作文を週1回書いているから、国語の成績が上がるということはありません。もちろん、中には、書くことがネックになって国語の成績が上がらなかったという子もいます。そういう生徒は、すぐに成績が急上昇します。
 しかし、国語の成績が今ひとつという場合、書く力以外の読む力が不足しているというケースが圧倒的に多いのです。それは、読む生活が不足していたからであって、読む勉強をしていなかったからではありません。

 言葉の森の作文の勉強は、作文を書くために、長文を読むという自習を前提としています。事前に長文を毎日音読し、その音読をもとにお父さんやお母さんの似た話を聞いてくるという自習をするから、読む力も、材料を広げる力も、語彙力も、思考力もついてくるのです。
 そういう事前の準備のあとに、先生の説明を聞いて、構成力と字数力と書くスピードがついてきます。
 だから、もし、事前の予習をせずに、先生の説明を聞いて作文を書くだけであれば、構成と字数とスピードの力はつきますが、その土台になる読む力、題材の力、語彙力、思考力はつきません。

 国語の成績があまりかんばしくなかった子で、言葉の森で勉強をしてから急に国語の成績が上がったという子は、例外なく、子供の自習に対する親の働きかけがあった子です。
 これまで、国語的な生活をしてこなかった子が、国語的な生活をするようになるためには、まず親の習慣から変えていく必要があるのです。

 例えば、読書は時間のあるときに読むもので、普段は勉強が忙しいから、読んだり読まなかったりするという生活を、読書は毎日読むもので、勉強が忙しくても必ず毎日30分か1時間は読書をして、週に2、3冊は読み終えるという生活に変えるのは、子供の力だけではできません。そういう生活をできるようにするには、親の価値観や生活習慣を変えなければなりません。

 大人になった人間が生活習慣を変えるというのは、実はかなり難しいことです。
 だから、国語の成績をよくするには、子供ががんばるのではなく、まず親が自分の生活を変える必要があります。

 さて、そういう国語的な生活をしているのに国語の成績が悪かったという場合は、心配は要りません。
 そういう子は、解き方のコツを1時間ほど教えれば、次のテストからは必ず成績が上がるからです。
 しかし、そういう解き方のコツのようなものは、受験前に取り組むだけで十分です。それまでは、何しろ国語的な生活をすることによって国語の実力をつけておくことが大事なのです。

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森川林 2014/07/12 12:02 


 6月27日の朝、「そういえば、オカメインコのバノと、文鳥のサク、両方ともまだ表に出していなかったなあ」と思いました。
 これから暑くなると、窓を開けることが多くなるので、うっかりバノたちを部屋の中に放しているときに窓を開けたら、表に出ていってしまうかもしれません。
 ペットで飼われている鳥は、いつも室内にいるために遠近感がなくなるらしく、外に出すと帰れなくなってしまうようです。
 そこで、まだあまり飛べないうちに、ときどき表に出して距離感をつかませておけば、いざというときにすぐに帰れるようになるだろうと考えました。こういう発想が問題あるらしいけど……(笑)

 ちょうど、スズメのえさやりの時間になったので、バノとサクを肩に乗せたまま表に出ました。すると、肩の上で、バノがぐっとジャンプしようとする重みが感じられました。
 やはり鳥だって、朝の明るい空のもとでは、思いきり飛んでみたくなるのでしょう。ってのんきなことを言っている場合ではありません。
 バノは、そのまま力強くジャンプすると、空高く舞い上がり、ぐるりと大きく弧を描き、しばらく上空を飛んでいましたが、やがて「ピー、ピー」とうれしそうに鳴きながら、駅のほうへと飛んでいきました。
 「さようならあ! バノー」なんて言っている場合ではありません。仕方ないから、飛んでいった方を探しに行ってみましたが、小さい鳥のことですから、どこにも見つかりません。そのかわり、根性の悪そうなカラスが、朝の街のあちこちにたむろしていました。
「おい、オカメインコ、見なかったか」
「アホー」

 朝、出勤してきたみんなに事情を話すと、ここでも露骨に、「ばかねえ」という雰囲気。
 しかし、そこで、ネットの掲示板やツイッターに投稿したらというグッドアイデアが出て、早速あちこちの迷子鳥の掲示板やツイッターに投稿してきました。

 それから5日後の7月2日、突然、知らない人からメールが来て、「お宅のバノちゃんではありませんか」という情報。迷子鳥の掲示板に、「7月2日、能見台でオカメインコを保護。金沢警察署に預けられています」という記事が載っていたのです。
 港南台から能見台までというと、直線距離で約5キロ。いつも室内で放しているので飛ぶことに慣れているから、風に乗れば飛べない距離ではありません。
 早速、金沢警察署に電話をして、7月11日に面会に行くことになりました。

 台風一過の暑い夏の日でした。
 名犬ゆめも一緒に連れて、金沢警察署へ。窓口は、会計課の落とし物係です。
 カゴの中のオカメインコに面会すると、やはり、あのバノでした。
 でも、警察の人にとっては、鳥なんてみんな同じに見えるでしょうから、「本当にそう?」というような感じです。
 そこで、カゴから出して、「バノちゃん」と手に止まらせると、また元気よく飛び立ち、警察署の中を飛び回りはじめました。みんな、飛んでいるバノと、飛ばしたこっちを注目。「受けてる!」じゃないだろ。
 窓の高いところに止まったバノをやっと手に止まらせ、再びカゴに入れると、近くにいた赤ちゃんをだっこした人が、
「わあ、かわいい。見せてくれますか」
とカゴに近づいて、赤ちゃんと一緒にバノをずっと見ていました。
 警察署の人に、お礼のお菓子を持ってきていたのですが、「これは、仕事だからいいんです」と受け取りません。日本の警察は清廉です。

 それから、バノを車に入れて、ゆめと一緒に港南台まで約20分、教室に帰ってきました。
 帰ってから、それまでひとりでいた文鳥のサクと一緒にすると、サクは大喜び。早速、バノの背中に乗って遊んでいました。

「バノちゃん、もう飛んでっちゃだめだからね」
というか、飛ばしたおまえが悪いんだろ、という声がどこかから聞こえてきそうな夏の午後でした。

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