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読解力の基本は、多読と難読 as/2191.html
森川林 2014/07/31 21:48 


 読解力の基本は、多読と難読です。(難読というのは、「難しい本を読む」という意味での造語です。)
 多読ということに関して言えば、小学生が1週間に読む本の冊数は2~3冊です。1冊の本のページ数は200ページ程度ですから、1日に平均して50ページぐらい読んでいることになります。1ページを読むスピードは約1分というのが普通ですから、毎日1時間近くの読書をしているというのが平均的な読書時間です。これには、学校での読書時間は入れず、家庭での読書時間だけです。
 この読書量の差はかなりあり、家庭で本をほとんど読んでいない子もいれば、毎日暇さえあれば本を読んでいるという子もいます。
 この読書量の差が、小学生時代の子供の国語力の差になっています。だから、小学生時代は、国語の勉強をして国語の成績が上がるというわけではありません。国語の勉強というのは、つけたしのようなもので、基本になっているものはそれまでの読書の蓄積なのです。

 しかし、学年が上がるにつれて、単なる多読だけでは国語力は伸びないようになってきます。易しい本はいくら読んでも、読む力にはならないのです。
 例えば、小学1年生のころであれば、漫画も国語力にはプラスになります。しかし、小学校高学年では、漫画をいくら読んでも国語力をつけることにはなりません。また、中学生や高校生になれば、物語文を読むだけでは、論説文を読む力はつきません。このように、学年に応じて、その学年相当の難読が必要になってきます。
 中学入試の国語の問題の中には、岩波ジュニア新書などから選ばれた文章が載ることがあります。岩波ジュニア新書は、中学生から高校生を主な対象にした本です。小学生で、岩波ジュニア新書を趣味の読書として読むような子はまずいません。しかし、そういう文章を読まなければ、小学校高学年にふさわしい国語力はつかないのです。

 この多読と難読は、読み方がかなり異なります。多読の基本は、自分の好きなものをたくさん読むことです。大人の目から見てくだらないと思われるような本であっても、好きな本を楽しく読むことで、文章を味わって読む力がついてきます。読書の好きな子は、書かれた文章から、その情景をありありと思い浮かべることができます。この本の世界に没頭する力が、物語文の読解力の基礎になっています。
 一方、難読は、一度読んだだけではわからないような難しい文章を繰り返し読むことが基本になります。繰り返し読むためには、音読をしたり傍線を引いたりして読むことが必要になります。声に出すとか、手を動かすとかいう作業をしなければ、繰り返し読むということはできないのです。

 算数・数学の勉強は、わからなくなったらわかるところまで戻ってスモールステップで進むという勉強の仕方ができます。
 国語の勉強は、そうではありません。わかることとわからないことがはっきり分かれていず、文章全体の60パーセントぐらいわかるが40パーセントぐらいはわからないというような、グレーゾーンが曖昧に広がっているのです。
 その文章を何度も音読することによって、特に誰から教えられるわけでもないのに、自然に分かり方が、70-30になり、80-20になってきます。
 そのための読み方が音読で、そのための教材が難読の長文なのです。

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読解の勉強は量より質。そして新傾向は語彙力の必要な読解問題 as/2190.html
森川林 2014/07/29 13:19 


 言葉の森では、7月から、毎月4週目の読解問題の数を8問から2問に減らしました。
 8問全部を解こうとすれば30分以上はかかります。しかし、読解力は問題をたくさん解いたからつくものではありません。少数の問題でいいので、満点を取るように解くことで初めて力がつきます。8問解いて70点や80点を取るよりも、2問だけ解いて満点を取る方が大事なので、問題の数を減らしたのです。
 ですから、この2問でもし間違えたところがあったら、その理由を理詰めで理解しておくことが大事です。
 例年、高校3年生(のよくできる生徒)に、受験間際の秋ごろに読解問題の解き方のコツを教えるだけで、すぐに国語の読解問題の成績が上がります。これを見ても、読解力をつける勉強は、量をこなすことではなく質を高めることだということがわかります。
 この国語の読解問題の解き方のコツは、そのまま英語の読解問題にもあてはまります。

 ところで、これからの読解問題の傾向は、この理詰めに解く問題から少し変化してきそうです。
 なぜかというと、理詰めに解く読解問題では、誰もが満点に近い成績を取れるようになってきたからです。
 新しい傾向は、語彙力をもとにした読解問題です。この対策は、語彙力そのものの勉強をすることではありません。昔、「術語集」のような本が流行ったことがあります。今も、同じように、語彙を知識として覚える参考書や問題集が出ています。知識として整理しておくことは大事ですが、生きた語彙の感覚をつかむためには、それらの語彙を文脈の中で理解することが必要です。その勉強のひとつが問題集読書です。

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