ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2201番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
教えすぎ、教材の与えすぎが子供の学力を低下させる as/2201.html
森川林 2014/08/25 04:39 


 子供が勉強をしていて何か聞いてきたとき、すぐに教えてしまう親や先生が多いと思います。
 それが、知識的なことであれば、それでもいいのです。むしろ、気軽に質問できるという雰囲気が大事なので、聞かれたらすぐに教えてあげるというのは全く問題ありません。

 しかし、理屈を理解しなければならないときは、教えることがかえって子供の理解を浅くすることがあります。特に、算数や数学の場合は、教えてあげると、わかった気になる分、真の理解が遅れます。
 だから、質問があったときは、自分なりに考えさせることが大事です。できれば、その理解の助けになる部分を示してあげることですが、それが難しいときは、何しろ本人に自分で考えさせることが大事です。
 自分で考えた結果、やはりわからなかったとしても、長い時間考えたあとに教えてもらうと、すぐに教えてもらうよりも理解が定着します。

 勉強というものは、もともとわかるようにできています。
 受験のための勉強では、点数に差をつけるためにわかりにくい問題が出されていますが、その場合でも答えを説明してもらえれば誰でもすぐにわかるようになっています。
 しかし、わかるためには、本人がその問題と答えに納得がいくまでじっくりと向き合うことが大事です。じっくり向き合う方法は、その問題と解法を何度も繰り返し解くことです。
 国語の場合、精読とは繰り返し読むことでした。算数数学の場合も、深い理解は、できなかったところを繰り返し解くことで得られます。

 ところが、子供たちの今の勉強の状況を見ると、学習塾などで行われている勉強の多くは、先生が教えることで成り立っています。
 先生に教えてもらい、わかった気になると、子供たちは自分の力でその問題を繰り返し解くということをしなくなります。そのために、教えてもらっても、時間がたつと同じ問題を間違えるという結果になることが多いのです。

 今の学習塾や通信教材などの勉強は、教育サービスという形で行われています。
 子供たちが楽に取り組めるようにわかりやすく教え、しかも、勉強に飽きないように次々と目先の変わった教材を提供します。
 同じものを何度も繰り返すことが勉強の基本なのに、すぐに教えてすぐに別の問題をやらせるという勉強のさせ方をしているところが多いのです。

 学習塾での勉強の教え方は、以前は一斉指導が中心でしたが、次第に個別指導が重視されるようになってきました。また、学校での勉強の教え方も、少人数学級や複数担任制などで、より個別対応に近くなってきています。
 しかし、一斉指導であっても、個別指導であっても、先生が教えるという姿勢が前面に出ているかぎり、子供たちは受け身の勉強になり、その結果かえって学力が定着しなくなるのです。

 江戸時代の寺子屋は、早朝から昼過ぎまで、無学年制で、多数の生徒が、1人又は少数の先生のもとで勉強をしていました。
 これが、もし教える勉強が中心であったならば、子供たちはすぐに退屈し、先生は教えることに忙殺されていたでしょう。
 そうならなかったのは、子供たちが自分で取り組む繰り返しの課題を自習形式で続け、先生は必要に応じてそれに助言するという形の勉強をしていたからです。
 その根底にあるのは、勉強はもともとできるようになっているもので、その方法は繰り返すことだという教育観でした。
 寺子屋教育の本質は、少人数の親密な教育というのではなく、教えない教育だったのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
勉強の仕方(119) 寺子屋オンライン(101) 

記事 2200番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
記述問題に対応するための家庭学習の方法 as/2200.html
森川林 2014/08/23 11:26 


 言葉の森の生徒の保護者から、受験対策として、200字程度の記述試験への対応方法を尋ねられることがあります。言葉の森では、受験作文小論文の対策を行っていますが、その目安の字数は大体400字以上です。200字ぐらいの記述は、教室でわざわざ教えるよりも、家庭で勉強した方がずっと密度の濃い能率のよいやり方ができるので、その方法を説明しています。
 それは、次のような方法です。


 教材は、全国の昨年の国語の入試問題です。志望校の問題だけではなく全国の問題です。また、市販の問題集や、塾や予備校の問題集や、天声人語のような新聞コラムでもありません。昨年の入試問題が、最もよい教材なのです。

 字数は、制限の枠までびっしり書くのが目標です。実力のある子は、例えば、200字の記述といった場合、最後のマスに句点が来るような書き方をします。

 スピードは、できるだけ早くが目標です。だから、原則として消しゴムは使いません。頭の中で文を考えて一気に書き上げるというような書き方を目指します。
 そのために、字数に合わせた文の数の目安を知っておく必要があります。1文の平均を50字と考えると、200字の文章でしたら4文(3文から5文)が目安となります。その4文を頭の中で検討をつけ、一気に書き上げるのです。

 元になる文章は、必ず線を引いて読むようにします。腺は、鉛筆又はシャーペンで、自分なりにわかったところ、面白いと思ったところに引いていきます。大事なところに引くというのではありません。読み返すときに、自分の線を引いた箇所が目印になるので、必要な箇所を探しやすくなるのです。

 書き方で大事なことは、対比をはっきりさせて書くということです。「それは、Aである」「私は、Aだと思う」と書くのではなく、できるだけ、「それは、確かにBもあるがAである」「私は、BではなくAだと思う」のように考えて書くのです。

 書き方で大事なもうひとつのことは、易しい言葉よりも難しい言葉、具体的な言葉よりも抽象的な言葉を使った方が、レベルの高い文章になるということです。

 読点の打ち方は、こちらの記事を参考にしてください。

家庭で教える作文8 読点の打ち方 ( https://www.mori7.com/as/802.html
 ただし、読点の打ち方のルールどおりに打って、読点が多くなりすぎると思われるときは、1文に1点から2点ということが目安になります。

 これらのことを念頭に置いて、1日1回記述の練習をしていきます。
 書いた文章は、お父さん又はお母さんが見てあげます。この場合、元の文章との内容の照合は不要です。そこまでやろうとすると、親の多忙が理由でできなくなるからです。書き慣れることが大事ですから、誤字がないかどうかだけに注意して、基本的には書いたことそのものを褒めてあげるだけでいいのです。

 もしアドバイスをする余裕があれば、子供の使っていない抽象的な語彙を教えてあげることです。例えば、子供の書いた記述の文章の中で、「いろいろなものがあることは」などと書いてあれば、「『多様性は』という言葉があるよ」と教えてあげることです。
 また、幼稚な言葉づかいがあれば、それも、より大人らしい表現に直してあげます。子供は、ときどき、「そうじゃなくて」とか、「そうしちゃったので」などという話し言葉風の言葉を文章に書くことがあります。
 抽象的な語彙、大人らしい語彙は、ふだんの問題集読書で気長につけておくことです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 家庭学習(92) 
コメント21~30件
……前のコメント
読書を阻むもの 森川林
暇なときは読書をすればいいのですが、今は、スマホで情報に流さ 6/10
記事 5096番
国語の読解検定 森川林
国語読解の問題は、適当に解いて「当たった」「外れた」と言って 6/9
記事 5095番
デジタル教科書 森川林
デジタル教科書という考えがありますが、教科書とか自分の好きな 6/8
記事 5093番
国語読解クラス 森川林
 国語力は、知識として身につけるのではなく、国語力を育てる生 6/7
記事 5092番
国語力はテクニ 森川林
「国語力をつけるために、特に読書をする必要はない」という耳あ 6/6
記事 5091番
リアルな通学教 森川林
 未来の教育は、対話型の少人数オンラインクラスの教育になりま 6/5
記事 5090番
クリティカル・ 森川林
西洋には、批判を通して新しい考えが生まれるという弁証的な発想 6/4
記事 5089番
優しい母が減っ yori
私の母は、もう中学2年生なのに、スマホをもたせてくれません。 6/3
記事 979番
日本を復活させ 森川林
 日本を復活させる道筋は、創造教育文化国家を目指すこと。 6/1
記事 5081番
4月の森リン大 森川林
 大学生や社会人になった元生徒の子供たちが、自分が中学生だっ 5/31
記事 5085番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習