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考える力をつける「楽しい説明文の本」 as/2345.html
森川林 2015/04/17 11:39 


 学力の中で最も大事なものは、実は成績には表れにくいものです。それは、思考力や創造力といったもので、成績にはすぐには表れませんが、受験期の伸びや社会に出てからの成長に結びつくものです。
 その考える力をつけるための方法は、一つは難しい本を読むことです。もう一つは難しい対話をすることです。しかし、ただ難しいだけでは子供は飽きてしまいます。大事なことは、難しいが楽しいという読書や対話の工夫をすることです。

 ところが、難しいが楽しい本、つまり「楽しい説明文」の本というものは、あまりありません。そういう本は、書店に並べてもあまり売れないからだと思います。
 そして、説明的な内容だが、絵や図の多い学習漫画のような本や、同じく説明的な内容だが、因果関係のわかる構造的な話よりも、知識の列挙が中心になる時事ニュースのような本が多くなってしまうのです。

 そこで、言葉の森では、オープン長文という企画で、主に言葉の森の講師が中心になって、低中学年向けの楽しい説明文の文章を作っています。これは、今後、一般の方の参加もお願いして広げていきたいと思っています。
https://www.mori7.com/marason/marason_sample.php
 また、言葉の森のfacebookグループ「読書の好きになる子の庭」では、説明文の本に限りませんが、参加者がそれぞれ読んでよかった本を紹介しています。
https://www.facebook.com/groups/dokusho/

 一般に、最も豊富に「楽しい説明文」の本が手に入るのは、図書館の子供向けのノンフィクションコーナーです。ここには、科学の本、社会の本、伝記、人生論など、読みやすい説明文の本が豊富にそろっています。
 説明文の本は、ジャンルによって子供の好き嫌いがあります。恐竜の好きな子は、かなり難しい本でも、ルビが振ってあれば恐竜の本を読みます。電車の好きな子、料理の好きな子、昆虫の好きな子など、子供の好みはさまざまです。親が一緒に図書館に行って、子供の好みを考えながら、気に入った本を選べるようにしてあげるとよいと思います。

 私(森川林)が昔読んで、低中学年向けの説明文の良書だと思ったのは、「世界ふしぎめぐり」の小学1年生から3年生までのシリーズです。しかし、これは内容が古くなったこともあり、もう絶版になってしまいました。
 その後、同じような傾向の本として、「なぜだろう、なぜかしら」、「科学なぜどうして」などが出ましたが、文章が易しすぎたり、正しい知識を伝えるということに重点が置かれすぎて知識中心の本になってしまった感がありました。
 今はもっと多くの説明文の本が出ていますが、書名を紹介しても絶版になってしまうことなどがあるので、図書館のノンフィクションコーナーで探すというようにするとよいと思います。

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森川林 20150417  
 「具体的にどんな本を」という質問がありましたのでお答えします。
 最近の本は、アマゾンで、「なぜ どうして」などを検索キーワードにして探すとよいと思います。
 講談社の火の鳥伝記文庫は、伝記ですから物語文に少しにていますが、事実に立脚して書かれているので、自然に説明的な内容が出てきます。手に入りやすいところがよいのですが、作者によって出来不出来があります。
 あとは、記事にも書いた「世界ふしぎめぐり」を中古で読んでもよいと思います。
 毎日小学生新聞は、説明文のいい記事がよく載っています。

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タブレット教育に対する疑問――真のICT教育とは as/2344.html
森川林 2015/04/15 21:18 


 ICT教育のひとつの象徴としてタブレットを使った教育が話題になっています。
 しかし、現在のタブレットは、まだ入力機能が、パソコンのキーボドからの入力よりも劣っていると思います。将来は、手書き文字認識の機能が発達して、手書きの方がキーボードよりも優れているものになると思いますが、現状はまだそこまで行っていません。

 すると、タブレットの使用は、何かを書くとか作るとかいうよりも、必要な情報を見るとか検索するとかいう受け身のものになると思います。
 豊富な情報が手もとですぐに見られるようになったとしても、それは便利になったということであって、見る人が向上したということではありません。教育の目標は、人間が成長することですから、情報が手に入りやすくなったということだけでは教育でも何でもありません。

 タブレットに人気があるのは、キーボード入力という日本人にとってはやや不自然な入力方法を介さなくてよいから使いやすい気がするためだと思います。
 しかし、文章を書いたり、プログラムを作ったりするためには、キーボード入力は今のところ最良の方法です。

 もちろん、将来的には手書き入力がキーボード入力を上回るようになるでしょう。手書きには、容易に二次元の図が書けるという利点があるからです。これは、キーボードの逐語入力では大きな遠回りをしなければできません。
 と言っても、現状ではまだそこまでの手書き入力機能がないとすれば、小中学生が最初に身につけておく必要があるのは、キーボード入力になると思います。

 タブレットで豊富な情報を見て満足するのではなく、ノーパソのキーボード入力で自分の考えを文章として表現するようなことがICT(Information and Communication Technology)教育の一つの柱(Information)です。
 そして、もう一つの柱(Communication)は、ネットワークを使って学習することですが、その学習の主な手段は紙です。

 ICT教育の表面の姿に惑わされず、真に必要な教育をICTを利用して行うという本道を忘れてはならないと思います。

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