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2020年の教育改革に向けて勉強の方向を考える as/2414.html
森川林 2015/09/11 04:17 


 今の小学生が大学入試に向かうころには、入試のあり方が大きく変わってきます。その前に、高校の勉強のあり方も大きく変わってきます。更に、社会のあり方も大きく変わってきます。

 昔は、いい大学に入りさえすればあとは何とかなる、という考えがありました。
 今はもう、もちろんそういう時代ではありません。逆に、受験勉強のために余分なことをしないという生活をしていると、かえってのびしろの少ない人生になってしまいます。
 その結果、大学入試の直前が学力のピークで、入学したらあとはずっと下り坂となってしまう人も多いのです。

 勉強は、正しい方法とかけた時間によって結果が出てきます。だから、つい見える結果だけを目指してしまいがちですが、本当は、将来社会に出て活躍するための全人間的な力をつけることを第一に考えていくべきなのです。

 勉強の仕方でこれからいちばん変わることは、全部の教科が普通にできるようになることです。文系だから理数は苦手でいいとか、理系だから文学は苦手でいいというわけにはいかなくなります。
 そして、勉強は塾や予備校に行って特別に難しいことをやるのではなく、学校で普通にしっかりやればよいという形になっていきます。

 勉強が普通にできればよいというところまで落ち着くのと反比例して、いかにその子の個性を伸ばし、楽しい人生を送るかということが、子育ての重点になってきます。
 昔は、いい学校、いい会社、いい職業、いい人生のような正解のルートがありました。そして、誰もがそこに殺到したので、受験競争が過熱し、重箱の隅をつつくような奇問難問が出るようになり、その問題に対応して長時間勉強させる塾が増え、勉強しかできない子が増えてきたのです。

 これからの社会では、正解のルートはありません。それぞれの子供の個性と社会の情勢に合わせて、一人ひとりが自分のルートを決めていく時代です。
 そのために必要なのが全面的な普通の学力と、個性と創造性と意欲と人間性なのです。

 昔は、一浪してでも二浪してでも希望の大学に入りたいという人が数多くいました。それで、予備校も繁盛していました。
 今はそういう、何が何でも特定の大学や学部に入りたいという人は少なくなっています。それは、子供たちに覇気がなくなったからではありません。苦労してどこかの大学に入っても、その苦労に見合った分だけの将来の展望が見えない気がするからです。

 高度経済成長の名残りがある右肩上がりの時代には、いいところに乗れば、そのままエスカレーターで先まで行けるという漠然とした見通しがあるように見えました。
 今はそうではありません。
 親もまた、子供たちの将来の見通しがわからないので、勉強も、「とりあえずやっておけば損はない」という程度のことしか言えなくなってきているのです。

 日本は今世界の最先端を走っています。少子化も、高齢化も、財政赤字も、地方の過疎化も、すべて世界の最先端の問題です。
 これまでのように、ヨーロッパのあとを追うような姿勢ではなく、日本が自らの力で切り開かなければ解決できない問題が次々に生まれています。

 少し前までは、BRICsのような新興国がこれからの時代の主役になるということが言われていました。
 しかし、新興国は主役にはなりません。先進国が先に歩いた道を、あとから走っているだけです。

 では、主役は誰かというと、それは新興国、先進国という区分ではなく、ただ新しいものを作り出せる国家と国民です。そして、その最も近いところにいるのが日本なのです。

 なぜ日本が主役になるかというと、日本は、他の先進国に比べ、経済格差も知的格差も少なく、普通の国民が優れた能力を持っているからです。
 現在日本の特許貿易は、アメリカ、ドイツも含めて、すべての国に対して黒字です。
 人のあとからついていくのではなく、人の前を走れる国がこれからの主役になって、世界に貢献することができるのです。

 だから、日本の進む方向は、大きく言えば、発明と発見です。わかりやすく技術開発と言ってもいいでしょう。
 それは、個人のレベルであっても同様です。
 普通の人が、自分の今いる場所の問題に対して、発明や発見という創造で対応していくことが求められくるのです。
 その創造が当たれば、それが新しい仕事になることもあります。当たらない場合でも、個性を生かした楽しい人生を送る土台になります。

 子供たちの勉強もまた、この大きな方向の中で考えていく必要があります。
 これからの子育ては、発明、発見、創造、独立という方向を考えて行う子育てなのです。

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森川林 20150912  
 親や先生の役割は、勉強を教えることではありません。
 答えの決まっている勉強などは、教科書を少し詳しく解説したものを読めば誰でもわかるようになっているのです。

 本当の役割は、子供が自分の力でやれるように長い目で見守ることだと思います。


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国語力の二つの段階――第一段階は理屈で理解、第二段階は音読で難読に慣れる as/2413.html
森川林 2015/09/10 04:07 


 国語の成績は、結構簡単に上がります。それは、読解の勉強の仕方にある一定のコツがあるからです。
 ところが、そういう読解の仕方を、なぜか学校でも塾でも教えません。だから、国語は難しいと思ってしまう人が多いのです。

 もちろん、簡単に上がると言っても、それなりに時間はかかります。しかし、理屈どおりにやっていけば、誰でも必ず国語の成績は上がるのです。

 ところで、成績の上がり方には、二つの段階があります。今述べたのは「すぐ上がる」というのは、第一の段階の方です。
 第一段階で上がるのは、解き方のコツを理解するからで、どちらかと言えば知識的な理解ですから成績が上がるのも早いのです。

 しかし、第二の段階はそうではありません。第二段階の理解とは、知識的な理解ではなく思考的な理解だからです。
 だから、難しい文章の内容を読み取ることができなければ、第二段階の国語の成績は上がりません。

 受験というのは、差をつけるための試験です。そのため、解き方を知らないと解けないような問題を出すのです。
 そして、それでもなお差をつけにくいときは、読み取りにくい難しい文章を出すのです。(悪文であることが多い)
 どのくらい読み取りにくいかというと、誰が読んでも理解できないような文章です。それが、立派な私立大の国語の問題として出てくるのです。国立大では、そういうことはまずないようですが。

 しかし、このような読み取りにくいというか読み取れない文章であっても、思考力のある生徒は、大きく自分なりに読み取ってしまいます。その差は、難しい語彙に慣れているかどうかです。

 だから、もちろん第二段階の国語力にも、力の付け方というものがあります。それは、難しい文章を読み慣れることです。
 しかし、これがまた大部分の生徒にとっては難しいことなのです。なぜ難しいかというと、苦しいわりにあてのない気がする勉強だからです。

 そこで、言葉の森では、寺子屋オンエアの勉強の一環として、国語問題集読書の音読をビデオメッセージで先生に送ってもらうことにしました。
 難しい文章を繰り返し読むために最もいい方法が音読だからです。

 黙読では、理解できない文章は理解できないままです。だから、頭に入りません。
 しかし、音読で読むと、理解できない文章が理解できないままであっても、頭に入るのです。そして、何度も繰り返し頭に入っていると、理解できるようになってきます。

 音読は、必ずしもていねいに読む必要はありません。聞いてわかるぐらいであれば、早口でも小声でもかまいません。また、時間も問題集2ページ分ぐらいであれば3分で読めます。そんな短い時間でいいのです。
 そのかわり大事なことは、毎日続けていくことです。
 国語力の第二段階は、勉強としてというよりも、生活習慣としてやっていくことなのです。

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森川林 20150910  
 国語が苦手な子は、国語の問題を勘で解いています。
 だから、「合ってた」とか「合ってなかった」で終わってしまうのです。
 そして、「合ってなかった」というときも、その理由を知ろうとはしません。

 そうではなく、国語は理詰めで解いていくのです。
 そうすると、合っていなかったときは、なぜそうなのかと理由を聞くようになります。
 すると、国語の成績は急に上がるようになるのです。

 しかし、その上がる度合いは、その子の難読力の範囲までです。
 難読力をつけるには、難しい本を読み慣れるしかありません。
 そこで、音読が役に立つのです。

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