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作文指導も今後はネットの中で――森林プロジェクトの未来 as/2474.html
森川林 2015/11/21 10:02 


 言葉の森が作文教室を始めたころ、作文教室というような教室はどこにもありませんでした。そういうニーズ自体がなかったのです。
 私(森川林)は、普通の勉強なら独学でできるものだと思っていました。だから、普通の勉強は、国語でも算数数学でも教えるつもりはありませんでした。
 これに対して、作文の場合は、他人の目でないと自分の作文を評価することができません。だから、作文だけは教室があるべきだと思ったのです。

 最初のうちは、作文を勉強したいという子がいないので、ほとんど人が集まりませんでした。しかし、ちょうど2000年のころ、インターネットが広がりだすと、インターネットの通信で参加する人が増え出したのです。

 ロングテールという言葉があります。リアルな店舗だと、年に1回か2回しか買われないようなものは、置いておくスペースがもったいないので店には並べられません。よく売れるものだけが、狭い店舗に並びます。

 しかし、人間のニーズには、誰でも同じようによく買うものと、買う人がきわめて少ない個性的なものとがあります。
 その個性の狭い先端が、長いしっぽのように伸びている状態がロングテールで、インターネットによって、その先端のニーズにまで情報が届くようになったのです。

 作文の勉強は、地域で通えるぐらいの距離のところにいる人ではマーケットが小さすぎるので教室としては成り立ちません。(今は、成り立っていますが)
 しかし、インターネットを経由すれば、世界のすみずみの小さいニーズにも直接情報が届くので、こういうロングテールの教室も成り立つようになったのです。

 しかし、ここまでは、どこでもよくある話です。
 ネット技術の発達によって、1人の先生が、世界中にいる子供たちを教えるということができるというのは、今のMOOCなどでも既に行われていることです。

 今起きている新しい変化は、先生が生徒に教えるという形ではなく、子供たちが相互に交流できる場が生まれ、その交流を生かす勉強ができるようになっているということです。
 先生の役割は、教えるというよりも、それらの交流を建設的なものに組み立てる仕組みづくりになります。

 もっと大きな目で見ると、これまでのような生産者が消費者に対して物を売るという形ではなく、消費者自身が生産者に働きかけ生産に関与するという流れが生まれているのです。
 しかし、この動きを生かす方法は、まだ充分に開発されているとは言えません。

 言葉の森では、今後、このネットを使って生徒が参加できる形の勉強を進めていきたいと思っています。
 そのひとつが、プレゼン作文発表会です。
 また、この生徒が主体的に参加する仕組みを、作文以外の教科の勉強に広げたものが寺子屋オンエアです。
 更に、この仕組みを勉強以外のさまざまな活動に広げるものが、これから企画するオンエア特別講座です。
 これらの新しい教育を、地域で作文指導を進めている森林プロジェクトの人たちと協力して作っていきたいと思っています。

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家庭が子供の教育のもとになる場――「天才はなぜ生まれるか」を読んで as/2473.html
森川林 2015/11/20 09:19 


 正高信男さんの「天才はなぜ生まれるか」「天才脳は『発達障害』から生まれる」を読んで、目次が面白かったので紹介します。

「天才はなぜ生まれるか」より。
・うわの空のエジソン
・癇癪持ちのアインシュタイン
・外国語のできないレオナルド
・古典嫌いのアンデルセン
・付き合いべたなベル
・落ち着きのないディズニー

「天才脳は『発達障害』から生まれる」より。
・キレやすい信長
・かたづけられない北斎
・てんかん持ちの熊楠
・野口英世の放蕩癖
・サバイバーとしのて中内功

 これらの偉人たちは、今の時代なら、小学校の初期の段階で学習障害というレッテルを貼られていたでしょう。
 しかし、昔はそういう概念がなかったので、みんなと違う変な人と思われながらも、その変な点を短所よりもむしろ長所として能力を伸ばしていったのです。

 学校生活や社会生活は、平均的な人に合わせてルールが作られているので、そのルールに合わないところは欠点だと見なされます。
 それを欠点とは見なさずに長所として伸ばしていけるのは、本人と親だけです。
 家庭が教育のもとになる場だというのは、このような意味です。

 ある教育系サイトに、保護者からの質問がよく掲載されています。
 その内容は、「算数の計算が苦手なのですが」「図形ができないのですが」「国語の説明文が読み取れないのですが」など、勉強に関するものが中心ですが、たぶんそれは点数を見た上だけでの質問だと思います。

 子供の勉強は、点数を見ただけではわかりません。
 その子が、どういうところを間違えたのか、そして、普段どういうやり方で勉強をしているのかを見なければ、正しいアドバイスはできません。
 そして、その子の勉強の様子をよく見ていれば、それは自ずからわかるようなことがほとんどなのです。

 ときどき、「家で勉強すると、集中しないから」という理由で塾に行かせる人がいますが、家で集中できない子は、塾でも集中しているわけではありません。
 ただ、親の目からは見えないので、気にならないだけです。

 塾でしっかり勉強できる子は、家でもしっかり勉強しています。
 だから、まず家庭で勉強できる土台を作ることです。そして、その勉強の様子をよく見ていれば、どういうところに弱点があり長所があるかということは、自然にわかってきます。
 そして、その子の弱点も長所として伸ばしていけるのは、家庭の母親と父親だけなのです。

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