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PISAの学力から類推されること as/262.html
森川林 2008/07/04 14:30 
 OECDの学習到達度調査(PISA)でわかったことは、今の日本の子供たちの勉強には、国際的に見ると欠けていると思われるものがあるということです。
 しかし、これは、たまたま日本と諸外国の生徒の学力を比較したからわかった弱点です。このような比較がなければ、日本の国内では何の問題もなく、これまでと同じような教育が行われていたことでしょう。
 同様なことは、まだ比較をされていない分野でも、実はあるはずです。子どもたちが将来成長したときに、自分が受けてきた勉強に意味があったと思うのは、その勉強が自分の人生に生かされていると感じたときです。受験勉強には役立ったが、人生にはあまり役立たなかったと感じるのであれば、その勉強はあまり意味があったとは言えません。
 そして、現在の受験勉強は、ますます人生から乖離しているように思えます。その一つのわかりやすい例は、読書です。今の受験勉強では、読書というものが評価されるのは、国語の成績に関係したときだけです。読書によって、読む力、考える力、感じる力を育てたどうかということは、受験勉強の評価には入りません。
 だから、学校の成績では同じぐらいのA君とBさんが、実は、非常に大きな読書力の差を持っているということはあります。その差は、大学入試の段階ではまだはっきりとはわかりません。しかし、子供たちが将来社会に出てから、徐々にその差が明らかになってきます。
 勉強は、入試に合格するためにあるのではなく、自分の人生を豊かにするためにあります。中学生や高校生のみなさんは、将来の自分にとって役に立つ学力は何かということを考えて勉強を進めていってください。

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日本の生徒の学力とPISAで要求される学力 as/261.html
森川林 2008/07/04 14:03 
 日本の教育産業、学習塾や予備校などの世界は競争が激しいので、勉強についてある目標を持つと、その目標に向かって極めて効率的な指導システムを完成させます。
 そして、現在、日本の教育産業が何を目標としているかというと、当然受験に合格するための勉強です。受験勉強に合う学力をつけるために、高度にシステム化した勉強が行われているというのが、日本の教育の現状です。
 ところで、その受験勉強が目指す学力の内容は何かと言うと、ここで一つの問題が出てきます。受験というものは、短時間で大量の試験を採点するという必要から、考える問題ではなく、記憶を再現する問題を中心にせざるを得ないところがあります。
 もちろん、考える良問はありますが、採点者が採点に頭を使うような問題ではなく、ある程度自動的に採点できるような仕組みの問題を作らざるをえません。そういう日本の受験の内容にあった教育がされていたために、OECDの学習到達度調査(PISA)で、日本の生徒の思考力、記述力、読解力が不足しているという結果が出たのだということです。
 それは、ある意味で当然と言えば当然のことです。日本では、PISAで要求されるような学力を目指す教育を行っていなかったから、PISAで低い結果が出たということです。もし、日本の受験の内容がPISA的なものであれば、ほぼ二、三年で日本の生徒の学力は、国際的にトップレベルになると思います。日本の教育産業は、それだけのシステム力を持っているからです。

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