言葉の森は、作文専科の作文教室を35年間続けてきました。だから、作文指導の難しさというものがよくわかっています。
最近、受験に作文が増えてきたために、学習塾や通信教育で作文講座を開くところも増えてきました。
しかし、そういう新しい作文教室は、言葉の森がもうとっくに通り過ぎてきたところに力を入れているように思えるときがあります。
その一つは、作文の大切さを力説していることです。例えば、考える力がつく、入試で記述力が問われるようになる、などです。
もちろん、大切さを説くのはいいのです。しかし、本当はもっとその先を行く必要があるのです。
では、その先はどこかというと、それは、意欲的に作文の勉強を続けさせる工夫です。
作文の大切さということをいくら言っても、作文の勉強のように苦しいことは子供はなかなかやりたがりません。
入試に作文試験があるという場合は、子供も意欲的なので教えやすいのですが、そういう目標がないところで、小中学生に作文を教えるというのはかなり工夫が必要です。
その工夫の一つは、先生との関わりを強めることです。それが毎週の電話指導です。電話指導をきっかけに作文を書くスタイルができれば、提出が滞るということは少なくなります。
また、近年は、電話指導以外に、オンラインで先生やほかの生徒との交流ができる企画も並行して行っています。それが、オンエア講座やプレゼン作文発表会です。
また、このオンラインの講座を生かして、国語力以外に子供の学力の重要なもう一つの要素である理数力の指導も受けられるようにしています。
新しい作文教室が力を入れて宣伝しているもう一つは、小学校低中学年の子供たちの成果を強調することです。
例えば、スラスラと書けるようになった、いろんな知識が身についた、などです。もちろん、低中学年で成果が上がるのはいいのです。しかし、本当はもっとその先を行く必要があるのです。
小学校低中学年の成果の先にあるものは、真の実力をつけることです。
真の実力とは、小学校高学年、更には中高生になってからの高度な説明文、意見文、論説文を書く力です。
そのために、言葉の森では、作文指導の土台となる国語力、読解力の育成に力を入れています。
その一つが、暗唱検定や音読の自習や国語問題集読書などで読む力をつける指導です。
また、オンエア講座などでは、作文の予習のやりやすくするために、次の週の作文の解説を行い、それをもとに家族で作文の課題についての対話ができるような工夫をしています。
このような工夫をしている結果、言葉の森の作文課題の提出率は現在94パーセントになっています。小学生から中学生までの生徒の毎週の作文課題の提出率ですから、通信教育のわりにはかなり高いと思われると思いますが、本当はこれでも不十分です。
提出率は、風邪や旅行で休んだ以外はすべて100パーセント提出できるのが本来の姿です。
誰でも経験があることだと思いますが、人間は、一度でもさぼると、あとはずるずると全部さぼってしまうという傾向があります。
だから、課題提出率が90パーセントを切っていたら、それは10回に1回は提出しなかったといことですから、親が言わなければやらないレベルに近づいているということです。
言葉の森では、今後、この課題提出率を100パーセントにすることを目指して、これからの指導に取り組んでいきたいと思っています。
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作文指導が難しいのは、教えるところではありません。
子供に意欲的に書かせるところが難しいのです。
だから、ここで、子供と先生やほかの友達との人間的な関わりが必要になるのです。
作文の課題提出率は100パーセントが基本です。
もちろん、風邪で休んだり、旅行で休んだりしたときは休んでいいのです。
しかし、うやむやのうちにやらなかったという日が1日でもあると、あとはずるずると休み続けるとなることが多いのです。
だから、課題提出率が80パーセント程度というのは、親が口うるさく言ってやっとやらせているレベルです。
ちなみに、言葉の森は94パーセント。まだまだ不十分です。
楽しく書くからこそ提出率も高いのですね。中高生でも忙しい中、しっかり提出している生徒さんが多いです。
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言葉の森の講師が、電子出版に挑戦しました。
加点がもらえる受験小論文の書き方 Kindle版(339円)
この本の内容は、言葉の森の中高生向けの作文指導のエッセンスです。入試で作文小論文試験がある人には、かなり役立つはずです。
言葉の森では、今後、子供たちの文集作りに、この電子出版を生かしていきたいと思っています。
作文の勉強の意欲付けには、未来の目標があることと、過去の蓄積があることの両方が大切です。
検定試験やプレゼン作文発表会のような未来の目標があると、作文の勉強の励みになります。
また、自分の書いたものが形として残って蓄積されていると、これもまた作文の勉強の励みになります。
この蓄積感を持てるものの一つとして考えているのが電子出版です。
今の電子出版は、ワードに書いた文章をそのまま出版原稿として使えるようになっています。
登録の手続きなど、まだ複雑なところはありますが、将来はもっと簡単に誰でも自分の本を出せるようになります。
日本には、万葉集の時代の昔から、庶民が日常的に詩を書いたり日記を書いたりする文化がありました。江戸時代には、手紙のやりとりもかなり頻繁に行われていました。
そのため、現在でも、Twitterやfacebookやブログで、日本語の文章が流通する割合は世界的に見てもかなり多いようです。
この電子出版に関しても、今後は日本語の占める割合が多くなるのではないかと思います。
電子出版に合わせて作文を書くためには、毎週の清書の時間などに、作文をテキスト化しておく必要があります。
しかし、普段の作文は、原則的に手書きです。
というのは、手書きは自由度が高いので、思考を深めることに向いているからです。
考えるときは手書きで、考えがまとまって書き上げるときはパソコンなどのテキスト入力で、という区別をしていくことが、これからの作文の書き方の基本になっていくと思います。
手書きで考えるということを更に発展させると、手書きで構想図を書くという書き方になります。
つまり、わざわざ文章化しなくても、短文を矢印でつなげるような形で書けば、短い時間で考えを深めることができるからです。
テキスト化の方法は、現在はキーボード入力が主流ですが、将来は音声入力が普通に行われるようになってくると思います。
音声入力を効率よく進めるためにも、文章化は、手書きの構想図とセットで考えていくようになります。
そして、作文のもともとの目的から考えると、作文は必ずしも文章だけにこだわる必要はなく、画像や音声を入れた文章という立体的な表現が行われるようになってきます。
これは、言葉の森がプレゼン作文発表会として行っている広義の作文の形です。
このように、未来の作文は、大きく変化していきます。
しかし、文章を書くことが、題材や表現や主題を創造的に表現することだという本質は変わりません。
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これからはfacebookやブログよりも、電子出版が多く人の表現手段になるのではないかと思っています。
そういう時代に書き手にとって必要になるのが、構想図と音声入力と、文章以外の立体的な表現手段のデザイン力で、
読み手にとって必要になるのが、超速読になるのではないかと思います。
又は、テレパシー力かなあ(笑)。
kindle本、ご紹介くださり、ありがとうございます。電子出版は、少し敷居の高いところもありますが、一度クリアすれば何冊でも出版できるので、これからどんどん広がっていくのではないかと思います。
江戸時代の末期に、刀とちょんまげと交通手段としての馬がなくなると考えた人はほとんどいませんでした。
この江戸から明治への移り変わりのようなことが、これから社会のあらゆる分野で起こってきます。
作文も例外ではありません。
こういう変化の時代に大事なことは、本来の目的を再確認することです。
値段は、とても悩んだのですが、「桜咲く」ということで339円にしてみました。ページ数は少なめですが、情報量は多いです。
加点がもらえる受験小論文の書き方 Kindle版(339円)、早速買ってみます。
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