子供たちの勉強の様子を見ていると、無駄の多い勉強の仕方をしている子によく気がつきます。
無駄の多い勉強に共通するのは、人に見せるための勉強になっていることです。
小学校低中学年のうちは、無駄の多い勉強をしていても、マイナス面はほとんど見えません。
勉強する時間自体が短いし、勉強の内容も簡単だからです。
しかし、その無駄の多い勉強法のまま学年が上がると、勉強する時間が次第に長くなってきます。そして、そのわりには力がつかなくなるのです。
だから、勉強法などまだあまり関係のない小学1年生のうちから、勉強法を意識して勉強をしていくといいのです。
その勉強法のポイントは、(1)わからなくなったらすぐに答えを見ること、(2)1冊の問題集を繰り返しやって100パーセント自分のものにすること、(3)できるだけ自分のペースでやること、です。
この反対に、わからない問題をいつまでも考えていたり、1冊の問題集が大体できたら次に移ってしまったり、人に指示されてやったりするような子が多いのです。
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リクルートが3月から小4以上の小中学生を対象にした「スタディサプリ」の提供を開始しました。月額980円で授業動画が閲覧でき、勉強のデータを生かして苦手箇所だけ復習する仕組みも作られているそうです。
教育へのネットの利用はこれからも加速します。ネットの利点は、自宅でできること、低料金でできること、個別対応ができることです。子供たちの勉強の環境は、これからも更に充実していくでしょう。
しかし、ここで問題になるのは、そういう勉強環境がどれだけ豊かで便利になっても、その勉強をするかどうかは本人の意志次第であり、低中学年の場合は、本人の意志に加えて家庭の環境次第であるということです。
家庭での勉強の習慣ができている子は、豊かな勉強環境を十分に生かしていくことができるでしょう。しかし、勉強の習慣ができていない子は、どんなにゲーム的な要素があるとか、ビジュアルでわかりやすいとか言っても、その勉強を続けさせるのは難しいのです。
そのことは、逆に言うと、勉強の習慣が確立している子は、ネットの勉強環境を利用することもあるでしょうが、勉強の中心はこれまでの紙ベースのものでこなしていくということです。
なぜかというと、勉強の本質は、知識を自分のものとして身につけることですから、問題集や参考書のような実際の形のあるものを何度も繰り返し利用する方がずっと定着度が高くなるからです。
これまでの寺子屋オンエアの経験から考えると、多くの子は、自覚なく無駄の多い勉強法をしています。例えば、できる問題を何問も解いてみたり、できない問題を1回しかやらなかったり、きれいに書くことに時間をかけたり、その一方で何度も読むという勉強をしていなかったり、というようなことです。
だから、勉強が進まない原因は、教材という「物」にあるのではなく、勉強法という「事」の方にあるのです。逆に言えば、勉強の仕方というソフトさえしっかりしていれば、教材は既にある便利なものを自由に使えばよいということです。そういう便利な教材のひとつとして、ネットの教材も利用できるということです。
ところで、この勉強の習慣を家庭で作れる時期は、小学校1年生になります。
1年生は、学校の勉強も簡単なので、家庭学習などをわざわざする必要のない時期のように思われますが、この時期にこそ家庭で毎日一定の時間を勉強する習慣をつけておくのです。
「スタディサプリ」のような教材をうまく利用できるのも、この1年生からの勉強の習慣が確立している子なのです。
(この記事を書いた時点では、「勉強サプリ」という名前でしたが、その後、「スタディサプリ」という名前に変わったので、表記を改めました。)
「スタディサプリの時代の先にあるもの」
https://www.mori7.com/index.php?e=2325
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不思議なことですが、学校や塾では、勉強を教えたりテストをしたりはしますが、勉強の仕方を教えることはほとんどありません。勉強の仕方は、本人に任されているのです。
その理由は、勉強の仕方を教えても、それをすぐに実行する生徒がいないからです。
勉強の仕方は、これまでの習慣ですから、なかなか直りません。
だから、家庭の役割が重要になるのです。
勉強は、ただ時間をかけてやりさえすればいいというものではありません。
勉強の仕方を日々工夫していくことが必要です。
しかし、小学校低学年のうちは、そういうことがピンときません。どんなやり方でも成果が上がるからです。
そのために、無駄な勉強の仕方が習慣になってしまう子が多いのだと思います。
現在、ネット教育を始め、自分で勉強しようと思えばいかようにもできる環境は羨ましいです。
※これも覚書として。
勉強法のポイントをアドバイスする際に。
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親子の対話とは、親から子への知識の伝達ではありません。
親が知っている知識を教えるだけなら、それは親子でなくても本でもインターネットでもテレビでもできます。
特に子供が小さい場合は、知識は圧倒的に不足していますから、親の話はつい知識を教えることになりがちです。
しかし、そういう状態で対話を続けているだけでは、子供が高学年になりある程度知識を持つようになると、対話をすることがなくなるのです。
知識は、自然に増えていけばいいものです。それよりも大事なのは、考える力です。子供が小さければ、その子の知っている知識の範囲で考える話をしていくのです。
そのためには、親自身がいつも、なぜだろう、どうしてだろう、もっといいやり方はないか、と考えていることが必要になります。
そして、その親の考えたことを、子供相手に対等の立場で話していくのです。
こういう話の仕方であれば、子供が大きくなるほど、対話の中身が充実してきます。
だから、子供との対話は、子供に話すような内容ではなく、親しい友だちに話すような内容でできるだけ知的に話していくことです。
そのために、もうひとつ大事なことは、親がいつも本を読んで新しい知識を身につけていくことです。
言葉の森では、子供たちによく、「読書は毎日」と話しています。実は、これは大人も同じなのです。
毎日本を読んでいれば、自然に子供との対話も中身のあるものになります。
子供の考える力を育てるのは、単なる勉強ではなく、こういう親子の対話なのです。
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子供に勉強力をつける上で最も大事なものは、考える力です。考える力と言うと抽象的ですが、もっとわかりやすく言うと、考えることを苦にしない力です。更には、考えることを楽しむ力と言ってもよいでしょう。
計算の練習や漢字の書き取りやいろいろな知識の習得は、時間をかけさえすれば誰でもできます。小学校低中学年のころの勉強は、このような、やりさえすれば誰でもできるようになる勉強です。
しかし、小学校高学年になると、次第に考える問題が出てきます。国語では、環境や言語や文化や人生などという分野の文章が多くなります。算数では、計算のルールをあてはめるだけでは解けない問題、自分なりに図を書いてみないとわからない問題が出てきます。理科でも社会でも同様です。
そのときに、考える力のある子は、そういう問題を面白いと思い、考える力のない子は、そういう問題を面倒と思います。ここで、面白いと思える子は、その後の勉強がどんどん進んでいきます。
だから、小学校低学年のころは、考える力の土台を作ることが大事です。
しかし、その考える力は、勉強をすることではつきません。低中学年の時期に、国語や算数の問題集をいくら解いても、考える力は育たないのです。
考える力は、親子の対話の中で育ちます。
親と子の間の話というと、多くの場合、親が一方的に注意をしたり、説教をしたり、説明をしたり、理解させたり、わからせたりするような形が多いと思います。親が中心で、子供はそれに従うものという形になりやすいと思います。
しかし、これでは考える力は育ちません。
親子の対話では、親と子が対等の人間としてお喋りを楽しむというような話し方が大事です。ちょうど、親が同年代の友達と話すような姿勢で、相手とのやりとりを楽しむような雰囲気で話を進めていくのです。
そして、その対話の中で、親ができるだけ自分の子供のころの体験談を話してあげます。
また、小さい子供が相手のときは、ダジャレやギャグや冗談や笑いを入れて、できるだけ面白い話をしていきます。そのためには、親が自分の言った冗談を楽しむような気持ちも必要です。
しかし、そういう楽しい話でありながら、話の内容は、大人相手に話すような真面目な内容や難しい語彙も取り入れて、子供を一人前の話相手として扱っていくのです。
子供を子供として扱うのではなく、一人前の話相手として扱い、親自身が子供との話を楽しみ、子供の言うことを大人の話を聞くように尊重して扱っていると、子供の思考力は育ちます。
言葉の森の作文・感想文の勉強をしていると、毎週の長文の音読がこういう対話のきっかけとして活用できるようになります。
「考える力と親子の対話――そのきっかけとしての長文の音読」
https://www.mori7.com/index.php?e=2324
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子供は、日々向上しています。
親子の対話を楽しむためには、子供の成長に見合った面白い話を親も常に考えていくことです。
話の中身がないと、人は他人を批評するようになります。
大人どうしの場合は、それでもいいのですが(よくないか)、子供相手に話すときは、単なる批評ではなく、子供が楽しめるような建設的な話をしていく必要があります。
だから、子供相手の対話の方が、大人との対話よりもずっと工夫が必要なのです。
高学年になって力を発揮するために必要なのは「考える力」の土台作り。機械的に詰め込む勉強ではなく、親子で会話を楽しむことで力が自然についてくるのですね。
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