入力と出力の間にあるのが思考という過程です。この過程を充実させる方法として、マインドマップというものがあります。
人間の短期記憶が7つぐらいしかカバーできないことから、通常の思考は、その7つの概念をとっかえひっかえして考える形になります。ちょうど、狭い画面で広い図面のあちこちを見るようなものです。紙の新聞が読みやすく、ウェブの新聞が読みにくいのは、紙の方には一覧性があるからです。だから、ウェブの新聞が成功するためには、パソコンの画面でも一覧性が持てるような奥行きのある画面を作る必要があります。
マインドマップで作文が書きやすくなるのは、頭の中にある多数の概念を平面に広げることができるからです。マインドマップのような方法を使わずに、普通に頭の中で考えると、テーマに関連のある多数の概念の中から、短期記憶が処理できる7つの概念を何度も組み合わせてみなければなりません。そのため、書きながら考えると、書くことが遅くなるのです。概念を平面に並べると、書くことがすぐにまとまります。そして、途中で修正する必要がほとんどなくなります。
更に、概念を平面に並べることには、速くたくさん書くこと以外の大きな効果があります。多数の概念を平面に並べると、ある概念と他の概念の間の共通性に気づきやすくなるのです。
例えば、ある概念Aと他の概念Bの間に共通なものを感じたとします。そして、概念Aには、A→A’という関数が成り立つことがわかっていると、そこから必然的に、B→B’という関数を予測することができます。この新たに発見した概念B’が創造なのです。
例えば、こういう例です。
昔、私が山登りをしていたころ、バックスキンの登山靴がはやっていました。そのときに、私は、ミカンの皮のことを考えました。ミカンの皮は、表面がつるつるしていて防水や防虫の機能を持っています。内側の白い綿のような部分は、内部を保護する機能を持っています。自然の仕組みは、このように合理的にできています。すると、動物も自分の皮膚を自然に対して最も合理的になるように作っているはずです。その合理的である皮膚を裏側にして靴を作るというのは、やはり何か自然に反する面があるのではないかと思ったのです。ここから更に連想して、動物の皮膚は、毛が生えていたりうろこがあったりして外側からの衝撃に対応しています。それに対して、人間が作った車のボディは、見た目はきれいですが、石などが当たればすぐに傷ついてしまいます。自然に学ぶということから考えると、将来の車のボディは、毛が生えるような仕組みのものになるのではないかと思ったのです。これらの新しい考えは、登山靴を見るだけだったり、車のボディを見るだけだったりでは気がつきません。共通性のある異なる概念との対応で考えついたことだからです。このような考え方を容易にするというのが、概念を平面に並べる意味です。(つづく)
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人間の短期記憶は7個ぐらいまでしか保持できないと言われています。
文章を読むときは、この短期記憶で読んでいます。長い文章であっても、7個ぐらいの語句を消化しながら読んでいきます。だから、文章の意味は理解できますが、文章そのものを再現することはできません。読んで理解して、理解した先から忘れていくという読み方だからです。
暗唱は、この短期記憶による読み方とは異なります。暗唱は、意味を理解しながら読むだけでなく、文章全体を一つのメロディーとして読むものです。短期記憶が逐語的な読み方だとすると、暗唱は一括的な読み方です。
初めて暗唱のような読み方をすると、脳がまだ新しい使い方にまだ慣れていないために疲労します。こういうときは軽く寝るといいのです。睡眠は記憶を定着させる役割があるので、何かを覚えたらそのあとは寝るというのがいい方法です。特に、記憶は夢を見ているときに定着するので、ぐっすり寝るのではなくうとうとと寝るぐらいがちょうどいいようです。
20回音読して100字程度の文章を暗唱するという基本の練習ができるようになったら、次は覚えた文どうしをつなげる練習をしていきます。それが記憶術です。
100字の文章は、50字ぐらいの文が2、3文つながっているような構成になっていることが多いと思います。2つの文がつながっていたとした場合、1文目と2文目をどうスムーズにつなげて覚えるかということが問題になります。
まず1文目の冒頭の語句をイメージ化します。そのイメージを、自分のよく知っているものにつなげます。次に2文目の冒頭の語句をイメージ化します。そのイメージもまた、自分のよく知っているものにつなげます。例えば、1文目が「科学技術は……」だとしたら、鉄腕アトムが自分の頭のてっぺんにぶつかっているようなつなげ方です。2文目が「文化の……」だとしたら、文化なべが自分のおでこに当たって「痛た」というようなイメージです。
覚え方のこつは、自分らしく、おもしろく、即座に、イメージ化して、ということです。他人にはわからなくてもかまいません。また、できるだけおもしろおかしく印象に残るようなものにします。あれこれ考えずに、頭に浮かんだものにすぐ決めるというのも大事です。抽象的な言葉であっても、こじつけでイメージ化していきます。
このようにして、1文ずつの冒頭をつなげていくと、長文のような長いひとまりの文章もすらすらと言えるようになります。しかし、最初からすぐに長い文章の暗唱を目指すのではなく、初めは400字ぐらいの文章を続けて暗唱できるようにしていきましょう。
こうして入力の土台を作ったあとに、次は、マインドマップ的な方法で思考を深めていきます。
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