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低学年のときほど知識的な勉強ではなく思考的な勉強を as/2952.html
森川林 2017/05/15 09:31 


 以前、ホームページの記事で、信号の話を書きました。
 小さい子供にお母さんが話しかけるとき、「赤は止まれ、青は進めだよ」というような知識を教えるような話しかけ方と、「赤の次はすぐ青になるのに、青から赤になるのはどうして途中に黄色が入るんだろうね」というような考える話し方をするのとでは差があるという話を書きました。

 子供が小さいとき、親の話はほとんどが新しいもので、その話を通して子どもはいろいろなことを吸収していきます。

 この親の話の中に、知識的な話と思考的な話があるのです。
 知識を教えるような話し方を中心にしていると、子供の知力の方向は答えを覚えるという方に進みます。
 考えを楽しむような話し方をすれば、子供の知力の方向はやはり考えることの楽しさを味わう方向に進みます。

 今の世の中は、本でも、テレビでも、インターネットでも、色々な媒体から知識の情報が流れてきます。
 親のできることは、更に知識を教えることではなく、考える楽しさを味わう方向で話しかけることなのです。

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思考力は、答えのない世界を楽しむことで育つ
https://www.mori7.com/index.php?e=2207

 これからの学力で必要になるのは、知識の量ではなく、考える力です。

 あらかじめ用意されている答えを知識としてたくさん知っているというのが、これまでの学力でした。今の大人の多くは、自分自身がそういう勉強をしてきたせいで、いまだに知識の量を増やすことを勉強だと考えがちです。
 そのため、子供に対しても、知識の有無を問うような対応をしがちです。
 「これ、知っている?」「えー、こんなのも知らないの」「お父さん(お母さん)は、もっとこんなことも知っているよ」というようなやりとりです。
 しかし、そういう知識の量を増やすだけの学力は、もう時代おくれの学力です。

 これから必要になる学力は、思考力です。
 思考力とは、正しい答えを探す力というよりも、答えのない世界を楽しむ力です。

 子供の思考力を伸ばすためには、親が考える楽しさを示すことが大事です。それは、ちょうど、子供を読書好きにするために、親が楽しく本を読んでいる姿を見せることと同じです。

 だから、子供との対話も、「これ知ってる?」「えー、知らないの」というようなやりとりではなく、親が自分で体験したこと、発明したこと、発見したことを、楽しそうに子供に話すことが重要になります。

 発明、発見というと無理だと思う人もいるかもしれませんが、体験というのも、発明や発見と同じ思考力の表れです。「こう思ったから、こうしてみた」という行動は、答えのない世界を楽しんでいるからできるのです。

 子供との対話を楽しく進めるには、知識のやりとりをするのではなく、こういう思考力のやりとりをすることが必要になります。

 対話は、互いに自分の体験談で似た話をするから面白くなります。
 知識だけの話は次第に狭く収斂していきますが、体験談の似た話を次々に拡散していきます。
 この対話を楽しむことが、子供の思考力を育てていくのです。
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この記事に関するコメント
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森川林 20170515 1 
 子供に接するとき、親は全能で何でも知っているかのようにふるまう必要はありません。
 むしろ、わからないけれど一緒に考えるという姿勢が、子供の考える姿勢を育てます。
 作文の題材で、子供が親に似た話を聞くことがあります。
 特に感想文のときは、子供自身の体験以外にほかの人からの話を聞くのが役に立ちます。
 そのときに、親は、たとえぴったりの話が見つからなかったとしても、一緒に考えるという姿勢を示すことが大事なのです。


nane 20170515 1 
 知識の勉強は答えがはっきりしています。
 だから、ついそちらに目が行ってしまいがちですが、知識はあとからどうにでもなるのです。
 大事なのは考える勉強です。
 しかし、考える勉強は答えがはっきりしないので、つい後回しになりがちです。
 だから、考える勉強は、考えることを楽しむという形で進めていく必要があります。
 そのためには、親自身が考えることを楽しむような話し方で子供と接していくことが大事なのです。


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教育の第一の目標は、すべての子供の創造力を育てること as/2951.html
森川林 2017/05/13 10:28 


 これまでの社会では、価値あるものは不足から生まれてくると考えられていました。それがゴールドや資源の価値です。
 また、人間の生存に必須なものも、価値あるものとみなされてきました。それが例えば食料や安全の価値です。

 しかし、これらは究極の価値ではありません。
 むしろ、過渡的な価値と言えるものです。

 知識も同じです。
 世界を理解するための膨大な知識は、人間にとって習得することが困難でした。
 この困難さという不足が、知識を価値あるものとしていたのです。

 ところで、人間の知力は、底辺となる知識と高さとなる応用力の2つの変数で作られる三角形の面積と考えられます。
 そして、この知識の部分は、高度なものになるにつれて、人間の能力よりもかけた時間に比例するものとなってきます。

 ところが、今後、この知識の部分は人工知能に代替されるようになってきます。
 すると、人間の知力の中心は、知識よりも応用力または創造力というものになってきます。

 例えば、わかりやすい例で言うと、スマホ持ち込み可の漢字の試験があったとします。
 もともとの漢字力の差はあるとしても、その差は試験にはほとんど表れません。
 人間の知力は、知識よりも応用力が中心になってくるのです。

 もちろん、人工知能も応用力を持つことができます。
 しかし、その応用力の方向を決めるのは人工知能自身ではありません。

 例えば、囲碁や将棋で人間に勝つ人工知能があったとしても、その目的は「勝つ」という与えられた目的です。
 これに対して、人間が囲碁や将棋を行う目的は、「勝つ」という形で現れた「よりより人生を生きる」ことなのです。
 この差は、人工知能が生きたものではなく、人間が生きたものであるという差から来る本質的な差です。

 今後、人間に残された価値ある分野は、このよりよい人生に向けて応用し創造する力になってきます。
 だから、教育の第一の目標も、この創造力を育てることになってくるのです。

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これからの世界、日本、教育 4

●創造性を育てる教育

 これからの教育の要になるものは、創造性を育てる教育です。創造性を育てる教育とは、オリンピックで金メダルを取るような教育ではなく、あまり適切なたとえではないかもしれませんが、ノーベル賞を取るような教育です。つまり、一定の分野で他人よりも優れていることが大事なのではなく、ほかの人のしていないことや見つけていないことを、発明したり発見したりすることが、最も大事な人間の創造的な能力です。

 この創造性を育てる教育をどのようにして行うかというと、それは第一に、幼児期からの親子の対話と自然との触れ合いによってです。
 第二は、作文の発表会のような形を通して、創造することが社会の評価の中心となるような文化的風土を作っていくことです。
 第三は、高校生の後半から大学生にかけて、抽象的な語彙を含む難解な古典の読書と思索を、青年期の必須な教養として育てていいくことです。

 創造性が社会に貢献するものであるためにも、人間と人間との対話が必要です。ベーコンは、「読むことは人間を豊かにし、書くことは人間を正確にし、話し合うことは人間を役立つものにさせる」と言いました。
 この読書と作文と対話のバランスの上に、創造性を育てることを教育のいちばんの目的として進めていく必要があるのです。
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この記事に関するコメント
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森川林 20170513 1 
 私は、今の受験勉強は末期状態になっていると思います。
 昔の受験は、その受験勉強を通して本人が成長するという面がありました。
 今でももちろんそういう面は残っていますが、パターン化された解法の詰め込みという弊害の面の方が強くなってきているのです。
 そのため、物知りだが応用力がないという子が増えているような気がするのです。

nane 20170513 1 
 人工知能にも創造力はあります。むしろ人間以上にあると言ってもよいでしょう。人間がまず考えつかないような組み合わせを膨大な知識データの組み合わせから作り出すことができるからです。
 しかし、人工知能と人間の根本的な差異は、人間が希望を持って生きているのに対して、人工知能は生きていないということです。生きることを真似する人工知能はできますが、それはあくまでも真似です。
 だから、人間に最後に残された分野は、単なる創造力ではなく、希望に基づいた創造力なのです。


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