ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2984番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
入選する作文と合格する作文の違い as/2984.html
森川林 2017/07/08 08:13 


 作文がとてもよく書ける子のに、なかなか新聞に入選しないという子がいます。
 逆に、作文は字の間違いがあったり表記ミスがあったりして、必ずしもうまくはないのに面白い作文を書いて入選するという子がいます。
 入選する作文と合格する作文は、性質が違うのです。
 そして、もちろん両方できる子もいます。

 では、その違いとは何でしょう。
 まず、合格する作文からです。
 合格する作文というのは、項目がしっかり入れられている作文のことです。
 面白いかどうかはほとんど関係がありません。
 内容に個性や感動があれば、印象点はよくなりますが、それは合格の決定的な要素ではありません。

 構成がしっかりしていて、語彙が豊富で、論旨が一貫していて、実例の幅の広がりがあり、そして時間内に必要な字数まで書く力があれば、それが合格する作文を書く力です。

 森リンの評価は、この合格する作文を基準にしていますから、語彙の多様性、思考の深さ、知識の豊富さなどを総合して評価しています。
 作文検定の評価も、合格する作文が基準です。
 評価の対象は、字数、時間、構成、題材、表現、主題、表記の各項目なのです。

 これに対して入選する作文は、誤字や表記ミスがあればもちろんマイナスにはなります。 しかし、そういう表記の評価よりももっと重要なのは、内容の面白さに対する評価です。

 内容の面白さとは、個性があること、挑戦があること、感動があること、共感があることです。
 この個性・挑戦・感動・共感の評価を、言葉の森では内容点の評価として行なっています。

 ですから、項目で全部◎がつくということも、作文の勉強の一つの目標になりますが、それと同時に内容でよい作文を書くこということも、もう一つの目標になります。
 そして、入選を目指して新聞に投稿するのは、もちろんこの内容のよい作文の方です。
 決して項目や字数がきちんと書けている作文ということではありません。

 では、この内容のよい作文を書くにはどうしたらよいでしょうか。
 実は、内容のよさの基本は偶然なのです。
 だから、誰でも年に何回かは傑作を書く機会があるのです。
 項目の合格は努力次第でできますが、内容のよさは、偶然に本人がいい内容の出来事に遭遇していなければできません。

 しかし、小さな出来事であっても、表現の力でよりよい内容に書き上げることはできます。
 その力とは、自分の経験や考えを感動を持って書く力のことです。

 人間の感動は、持って生まれたものだけではありません。
 その人がそれまでに読んだ文章の表現や映像の表現に沿って感動したり共感したりする面があります。

 子供時代に感動や共感のある本を読みその表現が身についていれば、自分の経験を文章に書くときにも、自然に感動や共感のある表現をすることができます
 内容の面白さを表現する力は、それまでに読んだ本の面白さを感じた度合いに比例しているのです。

 ときどき、勉強のよくできる子の中に、真面目な、誰からも薦められる名作と言われるような本を、薬を飲むように毎日十数ページずつ読んでいる子がいます。
 タイトルに、「○年生で読む名作の本」などと書いてあるような本です。

 そういう本は、もちろんそれなりにいい話が載っていますが、子供が熱中して止まらなくなるような読み方をする本ではありません。
 そのような本の読み方では、本を読んで感動するという経験はなかなかできません。
 読み始めたら途中で止められずに一気に読みたくなるような本を読むことが、読書の感動を育てる道です。

 本を読んで感動した子は、感動や共感を表現する書き方を自然に身につけます。
 だから、作文を書くときも、内容のよさは偶然に左右されるのが基本とはいっても、読む人に感動や共感を与えるような書き方で書くことができるようになるのです。

 読書には二つの面が必要です。
 第一は、難しい説明的な文章を繰り返し読むことです。
 第二は、面白い楽しい本をたくさん読むことです。

 学力はあるのに、入選するような作文がなかなか書けないという人は、これから感動のできる熱中して読める本をたくさん読んでいくことをお勧めしたいと思います。

 もうひとつ付け加えると、文章表現は、その子の全人間的なところから出てきますから、読書以外の環境、家庭や学校や地域の文化環境も大切です。
 家庭で、ものごとの明るい面、前向きな面を見る雰囲気があれば、それは文章にも自然に反映してきます。
 こういう文化環境は、すぐにはできませんから、長い目で育てていく必要があります。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20170708 1 
 入選する作文と合格する作文は性格が違います。
 しかし、書く人の多くはこのことを知りません。
 時には、評価する人もこのことをよく知らずに評価していることがあります。
 合格する作文は、中身が味気なくても項目がしっかりできていればいいのです。
 入選する作文は、項目などできていなくてもいいから、何しろ感動できる内容が入っていることが大事なのです。


nane 20170708 1 
 「○分で読める名作」とか、「親子で読む○○」とか、「○年生で読みたいお話」などの本がありますが、こういう本は、読書習慣をつける導入にはならないと思います。
 「10分で読める」などといっても、10分で読み終えるほどの短い話だったら、感動したり余韻を味わったりする暇はありません。
 子供に読書習慣をつける熱中できる本は、こういう本ではないのです。
 もちろん、「10分で読める○○」という本も、知識として内容を整理するのには役立ちます。
 だから、こういう本を読んでももちろんいいのですが、読書の中心はあくまでも本人が熱中できる本です。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 

記事 2983番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
参考書や問題集や辞書を選ぶとき as/2983.html
森川林 2017/07/07 06:32 


 保護者懇談会で保護者の方から、メモを取るのに使いやすい筆記用具があるでしょうかという質問を受けました。
 速記者などは0.9mmの太い芯のシャーペンを使っているので、そういう軟らかい軽い筆記具がいいとは思うのですが、私の答えは、「自分の好みのものならどれでもいいです」でした。

 同じように、よく参考書や問題集や辞書で、どういものがいいでしょうかと聞かれることがあります。
 これに対しては、いろいろな考えがあると思いますが、私の場合は、「手触りや見た感じで自分の気に入ったものがいちばんよい」という単純なものです。

 その理由は第一に、出版されて何度か改訂されているものは、その価値が大体同じだからです。
 第二に、参考書や問題集や辞書の目的は、日常的に繰り返し使うことだからです。

 だから、持ち運びしやすい、軽い、薄い、手頃な大きさ、見た目がいいなどということが大事になってくるのです。
 つまり、デザインが自分の好みに合っているということが最も重要な基準なのです。

 これは、車選び、スマホ選び、衣服選びなどと同じです。
 大事なことは、使いたくなるものを使うということです。

 話は少しはずれますが、これに関連して、高価な食器などを購入した場合、それを大事にしまっておくのはもったいないと思います。
 普段いつでも目に触れるように、日常の中で使うことがその価値を生かすことになります。
 豊かかな生活とは、たくさん持っていることではなく、少しのものをたくさん使うことなのです。

※しかし、消しゴムだけは見た目ではなく機能性で選ぶ方がいいです(笑)。
 見た目のかわいい消しゴムで、全然消せないものが多いからです。
 それから、もうひとつ、問題集選びは解答ができるだけ詳しいものがを基準にするといいと思います。


この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20170707 1 
 高校3年生で、「合格した先輩から参考書と問題集を譲ってもらった」と言っていた子がいました。
 それも、いいとは思いますが、やはり1年間使う参考書や問題集は、自分の好みのものを選ぶ方がいいです。
 高2の終わりの春休みに、丸一日使って、書店かアマゾンで参考書と問題集選びをするのです。
 その日の出費は大事な投資ですから、いいと思うものはすべて購入し、その後実際に使ってみてからその中の1種類に絞り1年間繰り返し5回以上使うのです。
 この場合も大事なのは、人の意見ではなく自分の好みです。


nane 20170707 1 
 消しゴムは、軽く消せて、消しカスが散らばらない「ぺんてる アイン消しゴム まとまるタイプ」がおすすめです。
 教室で作文を書いている子で、作文を書いたあとの消しゴムのカスを集めてティッシュに包みゴミ箱に捨てて帰る子がいます。
 一方、机を消しゴムのカスだらけにして、イスもしまわずに帰ろうとして、あとで机の中を見ると忘れ物があったという子もいます。
 子供たちは、みんなそれぞれ個性があります。(個性か。)



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
勉強の仕方(119) 
コメント11~20件
……前のコメント
総合学力クラス 森川林
子供は、暇そうにしているのがいちばんです。 年がら年中がん 6/22
記事 5107番
さまざまな勉強 森川林
勉強は、作文と読書と算数数学と歴史を中心にやることです。 6/21
記事 5106番
作文力がこれか 森川林
作文力をつけるために必要なのは読書と対話。 出力の前に入力 6/19
記事 5105番
作文を書くとき 森川林
 接続語と助動詞は、実は重要です。  中学生や高校生で、文 6/18
記事 5104番
国語は、読む力 森川林
国語の力をつけるための音読は、1冊の問題集を繰り返し読むのが 6/16
記事 5103番
国語力は、テク 森川林
国語力をテクニックで身につけようという考えそのものがあさはか 6/14
記事 5100番
本当の勉強は、 森川林
子供は、自然に成長していれば、みんな時期が来ればそれぞれにが 6/12
記事 5098番
これから大学生 森川林
MMさん、ありがとうございます。 これは、10年以上前の記 6/12
記事 820番
これから大学生 MM
先生の書かれていることは今読んでもそのまま通じます。 10 6/11
記事 820番
毎週作文を書く 森川林
作文の勉強というのは、負担の大きい勉強です。 だからこそ、 6/11
記事 5097番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習