作文力のいちばんの基礎になるものは読書力です。
その読書力をどのように発展させるかについて述べていきます。
まず第一は、幼児期からの読み聞かせです。読み聞かせは、耳から入る読書です。
本は目で読むだけではなく、耳で聞くことによって、その文章を理解し考える力が育ちます。
聞くことで読む力を育て、それがその後の自分で読む力のもとになっていくのです。
この読み聞かせを、親がするだけでなくオンラインの読み聞かせサークルのようなものを作って進めていくこともできます。
以前、読書実験クラブという企画で、科学の本の読み聞かせをしていましたが、子供たちは皆熱心に聞いていました。
これを今後、森林プロジェクトの企画などで広げていきたいと思っています。
第二は、自分で本を読めるようになった時期の子供の読書の習慣作りです。
子供たちの中には、家庭で読書をする習慣のあまりない子もいます。
読書は学校でするものではなく、家庭で本を読む時間を確保しなければ、読書力は育ちません。
ところが、自分で読むことにまだ慣れていない時期の最初の習慣作りがなかなかできない子もいるのです。
以前、やはり本をほとんど読まない小学2年生の子がいました。家庭の中に、本自体がないのです。
その子に、自主学習クラスで、勉強のあとに読書というやり方をしたところ、それまで全く本を読む習慣のなかった子が、少しずつ本を読むようになり、やがて何も言わなくても勉強のあとに本を読むという習慣ができていったことがあります。
親でなくても、誰かが見ていてくれれば、本を読むようになり、それが毎日続けば習慣ができるのです。
この自主学習クラスによる読書も習慣作りも、今後、森林プロジェクトの企画として取り組んでいきたいと思っています。
第三は、読書の内容やジャンルを発展させる方法で、これは現在思考発表クラブでやっているような子供たちによる読書の紹介が役に立ちます。
小学校中学年以上の子供たちは、同じ学年のほかの子がどんな本を読んでいるかということに関心を持ちます。
この子供どうしの関心を利用して、読者のジャンルを広げていくのです。
これも、今後広げていきたいと思っている企画です。
第四は、難しい文章を読む力をつける読書で、具体的には入試問題レベルの本も楽しく読めるようになることです。
これは、小学校高学年以上の感想文課題の長文の音頭や、問題集読書の音読を続けることで基本的な力をつけていくことができます。
子供たちがなぜ難しい本をなかなか読まないかというと、意味のわからない初めて見る言葉が次々と出てくるからです。
こういう言葉に慣れることが、難しい文章を読む力をつけます。
この難しい文章を読む力は、小学校高学年から、中学生、高校生へと段階的に発展させていく必要があります。
第五は、実際に難しい本を読む機会を作ることで、これは主に高校生大学生の読書教育になります。
具体的な例で言うと、中公新書や岩波新書のような本で、自分の関心のあるテーマについての理解を深めることと、岩波文庫の青帯や白帯のような古典と言われる本を読む力をつけていくことです。
特に、古典を読む力は、学生時代につけなければ、その後読む機会はまずありません。
学生時代は、易しい本を10冊読むよりも難しい本を1冊読むという時期で、これがその後の教養の土台になっていきます。
このように、幼児期の読み聞かせから高校生大学生の古典読書まで、長期間の読書と作文の教育によって読む力と書く力をつけていく展望でこれからの教室運営していきたいと思っています。
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幼児期によく読み聞かせをしていたのに、小学生になったら本を読まなくなったり、小学生のころはよく読んでいたのに中学生になったら読まなくなったり、中学生のころはよく読んでいたのに……という例は、よくあります。
読書力は、その年齢に応じて発展していくものだからです。
それは作文力も同じです。
小学生の読書率は上がっているのに、高校生の読書率が低下しているのは、小中学生のころに読む本が発展していないからです。
だから、高校生になって勉強が忙しくなると、本など読んでいられないとなるのです。
つまり、読んでいられないと思うような本しか読んでいなかったということなのです。
もちろん、娯楽の読書はそれはそれでいいのです。
大事なことは、娯楽以外の知的な本を読む楽しさも身につけておくことです
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本を読むということは、物静かな行為のように思われています。
しかし、行動する本の読み方というものもあります。
それは、主に自然科学・社会科学系の本で、本に書かれていることをもとに戸外に出て本の中身を確かめたり実験したりするような読み方です。
男の子の場合は特に、こういう行動する読書に魅力を感じるようです。
虫の好きな子が、虫の取り方や飼い方の本を読むというようなものが行動する読書です。
行動する読書という本の読み方のよいところは、実際の行動に引っ張られて難しい文章も自然に読みこなす力がつくことです。
その代わり、読む本はその子の関心に基づいたものである必要があります。
ゲームの攻略本のようなものも、行動する読書に当てはまります。
ただし、攻略本は室内でやることが多いので、できれば自然の中でいろいろなもの作ったり、捕まえたり、調べたり、育てたりするようなことを、読書と結びつけていけるとよいと思います。
そのためには、子供の関心をよく知っている親が、その子の興味や関心に応じて行動に結びつくような本を進めていくことです。
しかし、一般に母親は、男の子の関心というものがよくわかりません。
ときどき、「うちの子(男子)は、物語の本を全然読まないんです」という相談をお母さんから受けることがあります。
そのときに、無理に物語の本を読ませようとするよりも、その子の関心に応じた説明文の本を探してあげるといいのです。
そういう読書のジャンルを広げるのに役立つのが、思考発表クラブなどの子供たちどうしの読書交流の場です。
言葉の森が、子供たちの読書に力を入れているのは、作文力の基盤が読書力だからです。
読書力は、また子供たちの感受性や思考力の土台にもなっています。
読書の好みは、人によってさまざまです。
屈折した心情描写の文学書が好きな子もいれば、ドタバタ喜劇のような物語が好きな子もいます。
空想をふくらませるファンタジーが好きな子もいれば、事実に基づいた知識を増やすデータの本が好きな子もいます。
そういういろいろな読書のひとつとして、行動する読書というものもあります。
子供の関心を生かした読書というものを考えると、その子にいちばん身近なお父さんやお母さんの役割は重要だと思います。
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ひとくちに読書といっても、いろいろなジャンルがあります。
文学好きの先生がすすめる本が、理科好きの子に合うかというと、そういうことはあまりありません。
子供の関心を知っている親が、その関心の方向で読書の幅を広げていくといいのです。
幼児期や小学校低学年のころは、多くの子が共通して楽しめる絵本があります。
だから、多くの子は読書好きです。
難しいのは、子供が小学校中高学年になったころです。
この時期に、子供の関心に応じた多様なジャンルの本を読む機会を作っておくと、その読書は中高生になっても続きます。
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言葉の森に問い合わせがあったお母さんのコメントの中に、「親子で作文を教えているとバトルになるので」というひとことがありました。
これは、どこの家庭でも似たような状況があると思います。
親子で作文の勉強をすると、子供が小学校低学年のうちは何とかうまくいくように見えます。
しかし、それはただ子供が素直だから、という理由によるものです。
学年が上がったあとも、親が子供の作文を見ると、子供が自立するにつれて教えることが難しくなります。
これが、普通の算数や理科や社会の勉強であれば、まだ親子の争いは少なくなります。
それは、答えのある勉強の場合、答えという共通の目標で親子の考えがまとまるからです。
答えだけでなく、解法も共通の目標になれば、更に勉強はうまく進みます。
だから、算数や理科の勉強を教える場合、解法の詳しい参考書でその参考書の解法に沿って教えることが親子の家庭学習をうまく進めるコツです。
しかし、作文の場合は答えがないので、親は自分の思った良い文章という尺度で子供の作文を評価しようとします。
すると、子供があるところをすごくよく書けたと思っているのにも関わらず、親は違うところの良くないところを指摘するような場面が出てくるのです。
つまり、作文指導がうまくいかなくなる一番の原因は、何を目標として作文を書くのかという事前の共通の了解事項がないまま、書かれた作文という結果だけを見て評価が行われるからです。
これは、家庭だけでなく学校でもほぼ同じで、事前の指導なしに事後の評価だけがあるというのが、ほとんどの作文教育の実態です。
言葉の森の作文指導が、先生と生徒の間でバトルにならないのは、事前の項目指導という共通の了解事項があるからです。
これを家庭での勉強に当てはめれば、家庭で作文を教えることもずっと楽になります。
なお、言葉の森の作文の事前指導の項目は、小学1年生から高校3年生まで系統的に作られているので、小学校の間だけでなく、中学生になっても高校生になっても続けることができるのです。
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事前に教える目標がないのに、事後の評価だけが行われるというのは、本当は不思議なことなのですが、作文指導ではそういうことがよく行われています。
だから、作文嫌いになってしまう子が多いのです。
ということは、その反対に、事前指導をしっかりして、事前の指導に基づいて評価が行われれば、誰もが作文が好きになるということなのです。
事前指導をもとに事後評価をすれば、子供はみんなその評価に納得します。
しかし、先生がせっかく事前指導をもとに子供を褒めているのに、その事前指導と関係のないところで、いろいろ注意を始めるお母さんがときどきいるのです(笑)。
もし、直したいところがあれば、それは事後に言うのではなく、次の指導の事前に言うというのが事前指導の方法です。
直して嫌いにさせれば、作文は上達しません。
褒めて長く続けさえすれば、どの子も必ず上達するのです。
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森林プロジェクトの作文講師資格講座は、9月から料金を改定いたします。
もし作文資格講師講座の受講を希望していて、まだ受講を申し込まれてない方は、9月20日までのお申込みであれば旧料金扱いとなります。
ご希望がある場合はお早めにお手続きをおとりくださるようお願いいたします。
なお、これまでのホームページの記事の重要なものは下記のとおりです。
お読みいただいてご不明の点がありましたら、言葉の森までご質問ください。
●これまでの重要記事
▼「森林プロジェクトの作文講師資格講座、9月から料金改定 」
https://www.mori7.com/as/2989.html
▼「森林プロジェクト9.9説明会のご案内」
https://www.mori7.com/as/3028.html
▼「未来の教育作り――言葉の森の今後の方針」
https://www.mori7.com/as/3032.html
●料金改定の内容
▼旧料金
一般の方の作文講師資格DVD講座 64,800円(分割払いの場合は 5,400円×12回)
言葉の森の生徒及び元生徒の保護者の場合は 54,000円(分割払いの場合は 4,500円×12回)
▼新料金
一般の方の作文講師資格DVD講座 129,600円(分割払いの場合は 5,800円×24回)
言葉の森の生徒及び元生徒の保護者の場合は 118,800円(分割払いの場合は 5,300円×24回)
以上、よろしくお願い申し上げます。
なお、お申込みのページは既に新料金で表示されていますが、9月20日までにお申込みいただいた場合は、旧料金の扱いとなります。
https://www.mori7.com/fkouza.php
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近いうちに、森林プロジェクトの交流会と研修会を行う予定です。
詳細は、Facebookグループ又は、ホームページでお知らせします。
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国語の勉強で、すぐに成績を上げる方法はあります。
それは、読解問題で、解き方のコツを理解するという方法です。
こういう理屈ではっきりわかるような勉強法は、現代人には好評で、多くの人がこの確実に成績が上がるやり方を評価してくれます。
しかし、理屈で理解できる技術をもとにした勉強法は、実は根の浅いもので、本当の国語力は技術的な方法で身につくものではありません。
例えば、読解問題の解き方のコツで成績を上げた子も、読む文章が難しくなると、そこで成績の上昇が止まってきます。
技術でカバーできる範囲は、限られているのです。
では、国語力を本当に上げるにはどうしたらよいかというと、それはかけた時間なのです。
もっと正確に言えば、勉強した時間というよりも、勉強した日数に比例して国語力はいつのまにかついてくるというものなのです。
小学校高学年の生徒で、作文力は普通で、特に上手でも特に下手でもないという子がいました。
真面目な子で、毎日の音読の自習をきちんと続けていました。
しかし、毎日やっていても、その成果はもちろんすぐには作文に出てきません。
ところが、毎日の音読の自習と、毎週の作文のよくできたところを褒める指導を続けていて、半年ほど経ったある日、気がついてみると作文が前よりもずっとリズミカルでめりはりのあるものになっていたのです。
作文力の上達は、こういうものです。
優れた先生が、優れた添削をして、すぐに上手になるというものではありません。
少なくとも、すぐに上手になる部分は、根の浅いものなのです。
もう一つの例は、小学校低学年の生徒です。
思考発表クラブで、毎週、それぞれの生徒に読んでいる本の紹介をしてもらっていますが、低学年の子は、本のあらすじをぼそぼそと言うような紹介がほとんどです。
その子も、毎週そういう紹介をしていました。
しかし、その生徒は、毎日の自習として読書と音読を続けていたのです。
もちろん、毎日音読をしていても、目に見えるような成果は出てきません。
ところが、やはり半年ほどたったある日、気がついてみると、いつのまにかとても的確に本の内容を紹介できるようになっていたのです。
現代の勉強法は、「こういう方法でやれば、こういう結果が出る」という理屈で理解するようなものがほとんどです。
社会全体が、そういう理屈で納得するような勉強観を持っているのです。
しかし、江戸時代の寺子屋の勉強法は、そうではありませんでした。
毎日の素読のような、平凡な繰り返しの勉強が中心だったのです。
その名残りが、今の九九の暗唱のような勉強法です。
欧米では、九九の暗唱ではなく、掛け算の一覧表を目で見て覚えて、テストで評価するという方法が主流です。
どちらが、本当の掛け算の実力になっているかと言えば、日本の単純な繰り返しの勉強法の方だというのは異論がないと思います。
この日数をかけて上達する方法というのは、やっている生徒の方も見ている親や先生の方も張り合いがありません。
何日もやっているのに成果があるのかないのかわからないという日が、何週間も、何か月も、時には何年も続きます。
そこで、ほとんどの人は、そういう単純な繰り返しの自習をいつの間にかやめてしまいます。
ところが国語力というものは、この毎日のわずか数分の積み重ねでいつのまにかついてくるというものなのです。
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勉強観には、その時代の文化が反映されています。
現代人の多くは、分析主義的な考え方を無意識のうちにしていて、勉強についても、できないことがあると、できるようになる方法を教えてもらえば、できるようになると思ってしまいます。
しかし、本当は、日数をかけることでしかできないことがあり、国語力・作文力については特にそのかけた日数というものが大事になってくるのです。
国語力は、ある程度難しい文章を繰り返し読むことでついてきます。
だから、問題集読書の音読を毎日続けるのがいちばんいいのです。
しかし、子供はこういうあてのない勉強を嫌がり、問題集を解いて○や×をつけるような勉強を好みます。
だから、世の中には、そういう教材が溢れています。
しかし、国語の成績のいい子は、そういう国語の問題を解くような勉強はまずしていません。
そこで、言葉の森では、問題集読書を家庭でも続けられるようにするために、オンラインの自習指導を始めたのです。
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作文力の基礎は、読書力です。
読書をしっかりしている子には、作文を書く力があります。
しかし、それは潜在的に書く力があるということで、作文は、実際に書いてみなければ字数やスピードの感覚がつかめません。
この作文を書く際の最も重要なことが事前の準備です。
書く過程と同じぐらい準備という過程が大切なのです。
準備とは、与えられた課題で何を書くか考え、両親など身近な人に取材して話をふくらませてくることです。
感想文の場合は、もとになる長文を読んで理解しておくというのも準備に入ります。
準備とは、作文を書くための材料集めといってもよいでしょう。
材料がそろっていれば、作文は半分書けたのと同じです。
作文を書く準備としての構造図を書く練習は、現在思考発表クラブで行っています。
最近思ったのは、ここで書く子供たちの構想図がもとても充実しているということです。
これは構想図をお互いに発表し合うので、自然によい内容のものを書こうと思うようになるからだと思います。
しかも、その見てくれる人が同じぐらいの学年の子で、いずれも好意的な目で見てくれるというところがいいのです。
作文も、人に見てもらうことよって上達しますが、構想図も人に見てもらうことによって上達すると思いました。
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作文は、ほかの勉強と違って○や×がつくものではありません。
だから、意欲的に書くかどうかということが上達の重要な条件になります。
書く練習を続けていれば、誰でも上達はするのですが、意欲がそれを加速する度合いがきわめて大きいのです。
その意欲を持てるかどうかは、その子の書いた作文を好意的に見てくれる人がいるかどうかということに左右されます。
最近思ったのは、作文を書く前の準備の段階でも、人に見てもらうことができるということでした。
子供たちの読書紹介や構想図の発表会などを見ていて思うのは、どの子も優しいなあということです。
必ずと言っていいほど、ほかの子の発表のいいところを評価するような発言をしているのです。
みんな、素直に育っているのだと思います。
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今、思考発表クラブでは、読んでいる本の紹介と、課題作文の構想図を書く練習をしています。
練習といっても、みんなで和やかに書いたものを発表し、その発表について感想を言い合うような集まりです。
ですから、勉強というよりも楽しい雑談会のような雰囲気です。
この構想図を書く練習というのは、言葉の森の作文の課題に合わせて自分なりに体験したことや思ったことを書き、それを身近なお父さんやお母さんに取材をしてふくらませるという練習です。
その構想図の、小学校4・5・6年生のサンプルを末尾に載せました。
構想図のスタイルは特に決まっていませんが、散らし書き風に思いついたままに四方八方に矢印を使って書いていくというのがひとつのパターンです。
なぜこういう書き方をするかというと、人間の考えというものは、文章のように1本の線のようにつながるものではなく、平面的に広がるものだからです。
構造図を1枚仕上げるのにかかる時間は、ほかの人への取材の時間を除くと、大体10分程度ではないかと思います。
この10分で作文の全体を考えられるのですから、かなり能率のよい勉強です。
普通、作文を実際に書くとなると1000字の作文を書く場合1時間ぐらいかかります。
ところがこの構造図を仕上げれば、作文を書くのと同じような考える過程がわずかな時間でできるので勉強としては密度の濃いものになります。
この構想図を作文に仕上げる段階ですが、今は構造図をもとに手で書いたりパソコンで打ったりするので、やはりある程度の時間はかかります。
しかし、現在音声入力が実用的なレベルにまで達しているので、この構想図をもとに音声で作文を書くとすると、10分で1000字程度の作文は十分に可能です。
将来の作文の勉強は、構想図+取材+音声入力という形になっていくと思います。
つまり、作文の勉強の中の、考える過程と、取材する過程と、書く過程を独立させて密度の濃い勉強にしていくのです。
そして、その作文をプレゼンテーションとして発表し合うというような形の新しい作文の勉強が将来生まれるようになります。
作文の勉強は、自分の考えを深め、正確にし、発表することでその考えに磨きをかけるというところにあります。
その結果として、受験作文にも対応できる力がつくということです。
高校生以上の生徒が書く作文は、それ自体独自の価値のあるものがかなりあります。
この自分のオリジナルが考えを表現し発表する作文というものが、これからの創造教育の一つの重要な柱になってきます。
高校生大学生になって独創的な考えを深めそれを文章に書く、その準備として、小中学生の作文の練習があると考えておくとよいのです。
なお、思考発表クラブは、現在、次の日程で行っています。
月18:00~18:45 小学4・5・6年生対象
火18:00~18:45 小学1・2・3年生対象
火19:00~19:45 小学4・5・6年生対象
水18:00~18:45 小学1・2・3年生対象
水19:00~19:45 小学4・5・6年生対象
木18:00~18:45 小学1・2・3年生対象
(月4回の授業で、受講料は月額2,160円です。)
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子供たちの書く構想図は、一見落書きのように見えますが、よく見ると実はかなり密度の濃い実例や感想が書かれています。
作文を書く前の全体の構想を考える過程が、この1枚の図の中に書かれています。
だから、60分かけて書く作文と同じ思考力を、この10分程度の構想図で使っているのです。
言葉の森は、まだパソコンを使っている人が、大人でもほとんどいない時代にタッチタイピングで小学生の子供たちに作文を書かせていました。
しかし、パソコンが普及して誰もが使うようになったころに、作文は手書きに戻しました。
それは、構想図を書くという考える過程が、パソコンのデジタル的・線形的な仕組みと相性がよくなかったからです。
今考えているのは、考える過程は手書きの構想図で、書く過程はAI化された音声入力でという方向です。
いずれもかなり能率のよい、密度の濃い勉強になると思います。
そして、その作文をプレゼン作文発表会で、お互いに発表し合うのです。
更に、子供たちが書き溜めた作文を、セルフパブリッシングでkindle本にして記念に残るようにしておきたいと思っています。
これらは、決して空想的な話ではなく、明日からでもすぐにできるものですが、しばらくは仕事がたてこんでいるので、やはり少し先の話になります。
今後、森林プロジェクトの人たちと協力して、こういう新しい勉強を広げていきたいと思っています。
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【前号までの話】
作文の指導が難しいのは、直さなければならないところがたくさんあるからです。
30人の生徒がいれば、30人それぞれに様々な作文の欠点があるのが普通です。
そこで例えば、「字をもっとていねいに書きなさい」とか、「漢字を使って書きなさい」とか、「姿勢をよくして書きなさい」とか、「鉛筆の持ち方に気を付けなさい」とかいうことを注意していると、作文はどんどん暗い勉強になっていきます(笑)。
そして、そういう注意を受けない、よく書ける子の作文を模範作文としてみんなに見せるようなことをすれば、書けない子はますます作文が書けなくなります。
言葉の森に来る子供の中には、作文が好きでたまらないという子と、作文が嫌いでたまらないという子の両方がいます。
作文が嫌いでたまらない子というのは、これまで注意されたり比較されたりして作文を評価されてきた子です。
そういう子が、体験学習で楽しく作文を書けるようになるのはなぜかというと、できないことを教えるのではなくできることを教えているからです。
「字をもっとていねいに書く」などということがすぐにできればもちろんよいことです。
しかし、そういうことは、すぐにはできないのが普通です。
親がこれまで注意してできなかったことが、初めて教える先生にできるわけがありません。
それなのに、「先生の言うことなら、うちの子はよく聞くんです」などという適当なことを言うお母さんが結構多いのです(笑)。
字の間違いがある場合も、なぜ間違えているかというと、できないから間違いが続いているのです。
このできないことをやらせることに力を入れるのではなく、できることをやらせるのが作文指導のコツです。
例えば、「そのときの会話を思い出して書こう」とか、「『どうしてかというと』という言葉を入れて書こう」とか、「数字や名前がわかるように書こう」とかいう明確な指示があれば、子供は作文を書く目標が分かります。
さらにこの指示も、いくつもするのではなく、その中の一つができれば合格というようにしていくのです。
もっと大事なことは字数です。
「100字まで書けるようにがんばろう」という、誰でも書けそうな字数の指示があれば、子供は俄然やる気を出します。
そして、ほとんどの子が、頑張って全部できるように作文を書こうとします。
そうしたら、できたところを大いに褒めてあげればよいのです。
子供が先生の言ったとおりにせっかく頑張って書いたのに、先生が指導していないこと、例えば、「字をていねいに書く」とか「漢字を使って書く」とかを言ってしまうと、子供の努力を無視したことになります。
「先生、これとこれとこれができました」と、嬉しそうに作文を持ってきた子供に向かって、「あ、でもこの字じゃねえ。もっときちんと書かなきゃ」というような対応してしまう先生が、初心者のうちは意外と多いのです。
言葉の森に体験学習に来た子が、最初は来るのを渋っていたにもかかわらず、書き終わると晴れやかな顔をして帰るのは、できることを指導して評価しているからです。
このできることを指導する教え方と並行して、もう一つ重要なことは読む力をつける毎日の家庭学習です。
この毎日の家庭学習をスムーズにできるようにするために、言葉の森では、オンラインで家庭での勉強や読書をモニターする自主学習クラスというものを行っています。
この褒める指導と毎日の家庭学習で、途中でやめさえしなければ、どの子も確実に力をつけていくのです。
◆誰でも楽しく書けて実力がつく。――Online作文教室言葉の森◆
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誰でも作文が書けるようにするコツは、その子ができそうなことよりももっと易しいことを目標にすることです。
例えば、「字数は100字までがんばろう」というような目標です。
100字は普通の原稿用紙でわずか5行ですから、誰でもすぐに書けそうな気がします。
それで、安心して書き出せば、必ずそれよりも長く書いていきます。
作文指導がうまくいかないのは、難しいことを言い過ぎるからです。
子供が作文を書けなくなるのは、先生が難しいことを言い過ぎるときです。
例えば、「心を込めて書こう」とか、「自分らしく書こう」とか、「具体的に書こう」とかいうアドバイスです。
「もっと具体的に」などというアドバイスは、全然具体的ではありません。
「ここをこう書く」という、誤解の余地のないことを言わなければ、子供は安心して書き出せないのです。
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