これまでの社会では、大量の情報を習得しそれらを統合し活用する能力が優れた能力だと見なされてきました。 人間には誰でもそのような能力がありますが、それは実は人間に向いている能力ではありません。
向いていないからできる人が少なく、だからこそその少数のよくできる人、又は努力した人が尊ばれてきたのです。
この時代は、まだこれからしばらく続くかもしれません。
しかし、変化の波は意外に早くやってきます。
ただし、教育の分野は時代から何歩も遅れて変化がやってくるので、しばらくは教育も昔ながらのものが価値あるものとして残るでしょう。
この能力を磨く方法のひとつが、暗唱という学習方法です。
この能力は、これからの社会では、最も重要な能力ではなくなりますが、それでも人間にはかなり役立つ能力として残ります。
だから、従来の教育は、それなりに必要なものとしてこれからも存続していきます。
しかし、これからの社会で、最も価値ある能力となるものは、この従来の能力ではありません。
ダイヤモンド・オンラインに、孫氏が記事を載せていました。
「AIが雇用を奪うとどうなるか【孫泰蔵】」
http://diamond.jp/articles/-/140483
この、人工知能の登場によって、これからの人間に必要とされる能力が大きく変わる、というのが、これからの子供の教育に関して考えなければならないことです。
漢字力や計算力は、学力の基礎ですから、これからも勉強の基本として残ります。
しかし、今、漢字が書けないと困るとか、計算が速くできないと困るということは、社会生活の中でほとんどなくありません。
これと同じことが、今までの大学入試で評価されるほとんどの知識で生じてくるのです。
では、これからは何が最も重要な能力となってくるのでしょうか。
従来の意味での知性の重要さは、これからも残るでしょう。
しかし、その知性のかなりの部分は人工知能によって代替されていきます。
人工知能に取って代わられない人間の能力としての個性と感性がこれから重要になってくるのです。
その中でも、特に重要なものが個性です。
世の中に、新しいものを生み出す独創力が、これから最も価値ある人間の能力となってくるのです。
その独創力は、どのようにして育つかというと、私は、熱中と難読からではないかと思います。
何かに熱中すれば、必ず自分の限界を超えるものに挑戦する場面が出てきます。
その挑戦の場面で、独創力が必要となり、挑戦の繰り返しによって独創的な力が育ちます。
そして、その独創力の素材となるものは、表面的な知識ではなく、より根源的な知識です。
その根源的な知識は、古典的な難解と言われる読書からもたらされます。
それは、難しい本というものは、根源的な知識に近づこうとしているからこそ難しくなるからです。
だから、子育ての中心は、子供自身が熱中できる遊び、本人の関心に基づく豊富な読書、そして感性を育てる両親や友達との対話、ということになってくるのだと思います。
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「AIが雇用を奪うとどうなるか」という記事を、孫泰蔵氏が書いていました。
これは、多くの人が既に言っていることですが、実際の教育の場では、「そんな先のことより、今の成績をどうにかしたい」という声の方がずっと多いと思います。
しかし、長期的な子育てを考えた場合、未来の社会の変化を想定しておくことは重要です。
これからの子育ての重点は、遊びと暗唱と読書と対話と、それらを統合する機会としての作文になると思います。
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先日、思考発表クラブの懇談会で、保護者の方から、「毎回、面白い実験などを考えるのに、親も苦労している」との声が出ていました。
確かに、毎週の生徒の発表は、毎回力作で、どの子も生き生きと発表しているのですが、準備に時間がかかることが感じられるものがとても多かったのです。
思考発表クラブでやることは、読んでいる本の紹介と、次の週の作文課題の構想図の発表ですから、その他の発表は自由です。
ところが、以前、作文の構想図以外にも、理科実験や工作や算数数学の問題作りをやっていたことがあるので、その延長で、理科実験を自宅でやってくる子がかなりいます。
これらの自由な発表は、発表する生徒も楽しんでいますが、それを見ている生徒も、毎回ほかの人の発表を楽しみにし、それに刺激を受けているようでした。
ただし、あまり保護者が苦労しているというのも問題なので、この保護者の関わりをどうするかということを考えました。
まず、第一は、親が苦労を楽しむということです(笑)。
親が子の成長の関われる時間は、過ぎてしまえばほんのわずかな時間だったと思うようになります。
そのわずかな時間を、共通の知的な経験を通して過ごしたということは、親にとっても子供にとっても貴重な思い出になると思います。
また、そういう経験を通して、親も子も成長していくのです。
今は共働きの家庭が多く、両親の帰宅時間も遅いことが多いので、親子で共通の時間を過ごす機会は日曜日ぐらいしかないかもしれません。
しかし、その日曜日を、がんばって子供と一緒に過ごすようにするのです。
とは言うものの、すべて親のがんばりに任せるのでは限界があります。
そこで、第二に考えたことは、理科実験や工作の例を、「親子で遊ぼうワンワンワン」などで互いに紹介していくことです。
子供が楽しめる理科実験や工作などの本は、結構たくさん出ていますが、どの本も、実際に使えるのはあまり多くありません。
面白いものは、準備がかなり必要だったり、逆に、簡単にできるものは、結果が対して魅力的でなかったりということが多いのです。
それを、親子で遊んだり学んだりすることに関心を持つ多くの人の協力で、互いに情報を共有していけたらと思っています。
また、これに関連して、やはり思考発表クラブで、子供たちの紹介する本の情報が多くの人の参考になると思うので、この本の紹介も、Facebookグループの「読書の好きな子になる庭」などで生かせるようにしていきたいと思っています。
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子供の遊びや読書に関する情報交換は、今子育て中の人ばかりでなく、もう子育ての終わった人も、これから子育てする人も(自分の子供時代を思い出して)共有できると思います。
11月の森林プロジェクトの交流会でも、このあたりのことを話す予定です。
今の親は、昔の親よりも忙しいと思います。
しかし、そこをがんばって親子の関わりの時間を増やしていくことが大事です。
昔、うちの子が通っていた保育園の園長先生は、「自営業者の子は預かりたくない」と、はっきり言っていました。
私はそのころ自営業者だったので(笑)、それはよくわかるなあと思いました。{納得するな)
親が忙しいと親子の関わりがどうしても薄くなり、そうすると、子供がバランスよく成長しないのです。
だから、どんなに多忙でも、子供が小さいときは親はがんばって一緒に遊んであげることです。
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