勉強でも、読書でも、熱中しているときは、吸収力が高まります。
かける時間よりも大事なのは、この熱中度です。
では、子供はどこで熱中するかというと、そのきっかけは、ほかの人が楽しそうにやっているから自分もやってみたくなるということなのです。
そして、見よう見まねでやっているうちに、だんだんそのことに習熟してきます。
習熟すると、中身の面白さがわかるようになり、熱中が本物になっていきます。
ここで大事なのは、「面白いからやってごらん」というような言葉を出さないことです。
理屈で指示されたことは、かえって熱中のブレーキになることがあるのです。
12月から、生徒向けの作文の評価「山のたより」を、事務局からではなく、講師から送ることにしました。
これは、生徒と講師のコミュニケーションの機会を増やすためです。
その「山のたより」が面白くなるように、漫画を載せました。
それが、この5コママンガです。
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子供たちどうしで読書紹介をしているうちに、どの子も、本をよく読むようになってきました。
そして、その紹介をしているうちに、どの子も、説明の仕方が上手になってきました。
国立情報学研究所の調査によると、中高生の読解力がピンチだそうです。
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例えば中学の教科書から引用した「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」の一文と、「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」の一文とが同じ意味かどうかを尋ねたところ、「同じ」と誤答した中学生は約43%を占め、高校生でも約28%が間違えた。
(産経ニュースより)
http://www.sankei.com/life/news/171128/lif1711280007-n1.html
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確かに、言葉の森の教室に来る子供たちを見ていると、よりも、読解力表現力が低下している子供たちが目立つようになってきました。
勉強の基本は、日本語の言葉を駆使する力です。
この日本語力を育てるいちばんの近道は、読書と対話の機会を増やすことなのです。
親子で読書好きだと、親が子供に本をすすめたり、子供が親に本をすすめたりできるようになります。
こういう読書の仕方が理想です。
親が、名前だけの名作をすすめたり、教科書的な「○年生の読み物」というような本をすすめたりすると、子供はそういう本にはかえって熱中できなくなるです。
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学校を卒業し大人になると、特に何かを勉強する必要がなくなるということがあります。
仕事の多くは、その場で理解して慣れることが中心ですから、本を読む必要というものはあまりないのです。
特に、一般教養のジャンルに属する本は、自分の好きなものを息抜きに近い趣味として読むということはありますが、自分自身の向上のために読むということが少なくなります。
それで、日常生活は回って行くからです。
しかし、こういう読書の乏しい生活を続けていると、子供との対話が次第に活気をなくしていくように思います。
子供でも小学3、4年生になると、日常生活の中でなぜだろうとかどうしてだろうと思うことが増えてきます。
また、自分なりに新しく思いついたことも出てきます。
親が本を読んでいると、そのような子供の疑問や発見に、なぜか打てば響くような対応ができることが多くなるのです。
子供は日々成長しています。
親は、年齢が上だというストックで、しばらくは対応していけます。
しかし、世の中の変化は昔よりはるかに早くなっています。
次々に新しい考えや、新しい概念、新しい言葉が生まれています。
親も子供と同じスピードで日々成長していくことが、子どもとの対話を充実させることになるのです。
このことに関連して少し心配になるのは、高校生の不読率が高まっていることです。
小学生のときにいくら本をたくさん読んでいても、高校生のときに本を読む習慣がなくなれば、そのまま大人になっても読書のある生活にはなりません。
読書は、毎日行うのが基本です。
一種の生活習慣ですから、数日間読書から遠ざかると、そのまま本を読まない生活が普通になってしまいます。
社会人になっても、自分で目標を決めて1日に1回は本を開くということをしていくといいのだと思います。
そういう点で、子供の思考発表クラブの毎週の読書紹介のようなことを、中学生や高校生や、更には大人どうしでもやっていくといいのかもしれません。
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毎週行っている思考発表クラブで、子供たちの読書紹介の仕方が次第に上手になっています。
最初は、どの子も、その本のあらすじを長々と言ってしまうことが多かったので、「いちばんおもしろかったところは……」と焦点を絞って言うようにしていました。
しかし、毎回やっていると、その本のあらすじや要約を完結に述べて紹介できる子が増えてきたのです。
また、この本の紹介をするということが、子供の読書生活を充実させているようです。
作文の書きやすさは、低学年のころは自分の経験から来ていますが、学年が上がると読書から来ることが多くなります。
「書くことがない」と言う子の多くは、本を読まない生活になっています。
本を読んでいると、どういうテーマでも迷わずにすぐ書き出せるのです。
その場合の本は、特に難しい本である必要はありません。
何しろ、ほぼ毎日読むという生活をしていることが大事なのです。
この読書生活の差が決定的につくのは、高校生以降だと思います。
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「サードウェーブ 世界経済を変える『第三の波」が来る」(スティーブ ケース)を読んでいます。
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スティーブ ケースは、AOL(アメリカオンライン)の創業者だった人です。
第一の波はネット接続、第二の波はそのネットを使ったさまざまなアプリ、第三の波は、あらゆるものがネットにつながるIoE(Internet of Everything)です。
この本で、これから生まれる大きな変化として第一に挙げられていたのは医療でした。そして、第二に挙げられていたのが教育でした。
これまでのインターネットがもたらした大きな変革は、情報の分野で起こりました
これからの。あらゆるものがつながるインターネットの世界で大きく変わるのは、人間を含む生きているものの分野です。
生きているものの特徴は、個別に生きていることにあります。
人間は、人間一般の抽象的な存在としてではなく、それぞれが特徴のある個的別な存在として生きています。
IoEの時代は、その個別性を生かす時代なのです。
だから、これから変わるのは、生きているものの世界、具体的には、医療、農業、教育、政治などの分野です。
これまでの一斉、一律、平均、多数決というやり方ではなく、個別対応が技術的にもコスト的にも可能になってくるのです。
では、生きている人間の持つ重要な性質は何かというと、それは時間と空間の中に生きているということです。
個々の人間は、個々の時間と空間の中で生きています。
これが、抽象的な人間との違いです。
だから、これからのIoEの時代に重要になるのは、時間と空間なのです。
言葉の森もオンライン教育も、この個々の子供たちの時間と空間を共有する形で進めていこうと思っています。
それが、思考発表クラブであり、自主学習クラスであり、オンライン作文コースであり、先日行ったプレゼン作文発表会であり、この夏に行う予定の読書と自然のサマーキャンプなのです。
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これから起こるインターネットの世界の変化では、小さな改良は淘汰されてしまいます。
失うものがある世代には、抜本的な変革はできません。
失うものがない世代が、新しい時代をリードしていくのです。
インターネットの第三の波で生まれるのは、リアルなインターネットです。
情報に還元された物や人ではなく、個々の生きた物や人がインターネットの対象になります。
誰にでもあてはまる普遍性は後景に退き、その人にしかあてはまらない個別性が前景に出てくるのです。
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