今日は、芸術とは何かということについて説明します。
芸術とは何かということは、スポーツとは何かということにも関連してきます。
芸術は一言で言えば、美の表現です。表現の前提として美の感受性を蓄積することが必要になってきます。
世間で一般に考えられている芸術は、表現をするための技術や能力を指して言っていることが多いと思います。つまり、表現の技能が芸術とみなされているということです。
技能とは、道具を身体の一部のように動かすことです。その道具を通して人間が本来持っている美が表現されます。道具がなければ表現できなかったような美を、道具を通して創造的に表現することが芸術です。
この道具は手段であるとともに、制約も持っています。日本人は真面目なので、この制約を自己目的化しがちです。真の目的は美の表現で、次の目的は表現のツールを身体化することです。ツールを身体化するためにツールの制約を受け入れるというのは、次の次の目的になります。次の次の目的が、いちばん大きな目的のようになってしまうようなところに問題があるのです。
たぶん、ここから、ピアノを弾くには指の保護のためにバレーボールをしない方がいいというような話が出てくるのだと思います。
同様にスポーツでも、例えば、バスケットボールはゴールの高さという制約を自己目的化している面があります。身長制のバスケットを背の低い日本人が提案すれば、もっと多くの人が楽しめるスポーツになるはずなのにです。
制約が自己目的化する背景には、ギルド制のようなものがあります。あれをしてはいけないとか、これをしてはいけないと複雑化していくのは、複雑化が参入障壁となるからです。
未来の社会は、芸術についてもスポーツについても、もっと自由になるはずです。自分の長所を生かしたツールを使うというのが、芸術とスポーツの大きな方向になります。
例えばピアノ弾きたい人が片手であった場合に、片手を自分の制限として考えると後ろ向きになります。片手で引ける曲を探すだけでなく、もっと大胆に片手用の楽器を作り、そこに習熟するように訓練することが前向きの解決策です。
この訓練というものが、身体を持つ人間が表現と関わるためのキーとなります。他の人では簡単に真似できない長期間の訓練によって、新しい芸術表現の可能性が創造されるのです。
すべての芸術は、美の表現を道具や材料という手段を通して行うものだという本質を押さえておくことが大切です。
すると、未来の芸術教育の主要教科は、感受性を育てること、あるツールを使った練習に習熟すること、そしてそのあと、多様な手段を使った表現に道を開くこと、になると思います。
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)
マインドマップ風構成図
記事のもととなった構成図です。
音声入力
構成図をもとに音声入力した原稿を2倍速にしたものです。
2倍速
四行詩
芸術とは、美を表現することである。
表現する手段に習熟することは、芸術の準備である。
スポーツとは、身体の可能性を創造することである。
創造する方法に習熟することは、スポーツの準備である。
だから、片手がなくてピアノを弾きたいなら、片手用の楽器を作って習熟すればいい。
身長が低くてバスケットをしたいのなら、ゴールを低くした身長制のバスケットを提案して習熟すればいい。
制約自体を不変のものであるかのように自己目的化するから、芸術もスポーツも自由な多様性がなくてみんなが苦労する。
手段や方法が先にあるのではなく、人間が先にある。
(この詩は、森川林のブログに書いたものと同じです)
http://ameblo.jp/kotomori/entry-10184611316.html
笑い
「芸術やスポーツが苦手だから、そんなこと言ってんでしょ」
「うん、図工と気登りは得意だったんだけど」(^^ゞ
最近手に入る作文の教材を十二冊選んできました。ただし、言葉の森の教材はすべてオリジナルなものですから、これらの教材はどれも使っていません。
参考になるものも多くありましたが、疑問を感じる教材もありました。
疑問の第一は、単なる言葉のクイズになっているような教材で、時間つぶしにしかならないようなものがいくつかありました。
第二に書かせる欄の多すぎるもので、子供がすぐ飽きるだろうと思われるものがありました。設問はいろいろ工夫されていますが、その設問に応じる形の評価がないので、子供が興味を持って取り組めるのは最初のうちだけだろうと思われました。
第三に教材が工夫されすぎているものがありました。教材を工夫し過ぎるのがなぜ問題かというと、勉強は量をこなすことが大事なのに、教材作りが追いつかなくなるからです。シンプルな教材であればあるほど、勉強は継続させやすくなります。
さて、参考になった教材を四つ挙げます。
一つ目は「松永式作文練習ノート」(松永暢史・主婦の友社)です。これは薄い本でしたが、実践的な内容が詰まっていました。巻末の「自由作文の書き方」は、著者の指導法のエッセンスで一読に値する内容です。学年は小学校中高学年向きだと思われます。
二つ目は「樋口裕一のカンペキ作文塾」(樋口裕一・朝日新聞社)です。これは小学校高学年から中学生向きの本になると思います。時事的なテーマをもとにした意見文の書き方がよくわかる内容になっています。考えることが好きな子には知的な刺激のある教材になるでしょう。新聞をもとにした親子の対話の話は、参考になると思います。
三つ目は「小学校の作文を26のスキルで完全克服」(向山洋一編・師尾喜代子著・PHP)です。作文の技術やジャンルを幅広くカバーした本です。学年は小学校中高学年向きでしょう。これ一冊で作文の教科書代わりになると思いました。
四つめは「陰山流日本語トレーニング百ます書き取り」(陰山英男・学研)です。一般に工夫しすぎの教材が多い中で、この本はシンプルさのある作りが特徴になっています。聴写と視写に徹しているので、毎日の実習として使えるドリルです。こういう教材の方が子供にとっては続けやすいのです。これは小学校低中学年向きだと思われます。この一冊が終わったら、親が続きを作ってあげることもできると思います。
選んだのは四つでしたが、そのあと届いた教材で、かなり面白いものがありました。それは「ちびまる子ちゃんの作文教室」(貝田桃子・集英社)です。この本は、ちびまる子ちゃんが登場するので面白く読めますが、それだけでなく、「26のスキル」と同じように、作文の書き方の技術を幅広く網羅しています。密度の濃い内容で、これも小学校中高学年の作文の教科書代わりとして使えると思いました。
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)
マインドマップ風構成図
記事のもととなった構成図です。
ブログ
森川林のブログを更新しました。
「音声入力のamivoice優秀」
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