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お母さんとの対話が子供を賢くする――作文発表交流会の作文から as/3643.html
森川林 2019/03/25 07:05 

 小学5年生の課題は、急に難しくなります。
 それは、受験作文に対応できるモードになるからです。

 小4までの作文は、子供が似た話を親に取材したときでも、その場で簡単に答えることができました。
 例えば、「がんばったこと」とか、「痛かったこと」とか、「私の大好物」とかいう課題だったからです。

 しかし、小5からは、親も準備をしておかないと、とっさには答えられないような話を聞かれるようになります。
 例えば、「創造とは」とか、「科学の発達について」とか、「里山の自然」とかいう課題になるからです。

 このときに、お母さん(時にはお父さん)が話してくれる似た話は、子供にとって初めて聞くことが多いものです。
 それは、家庭の日常会話で、親が突然、「あのね、創造とはね……」というような話をすることはまずないからです。

 子供はもちろん、友達どうしでもそういう会話はしません。
 読んでいる本も、そういう話題の本であることはまずありません。

 ところが、受験の作文課題や、国語の問題では、そういう抽象的な分野が出てきます。
 そのときに、問題集だけで勉強してきた子と、親と話してきた子では、問題の消化の仕方がかなり違ってくるのです。

 先日の作文発表交流会で、やはり小学校高学年の子が発表した作文の内容は、どれもそういうお母さんに聞いた具体的な話が入っていました。
 こういう会話が毎週あるというのは、親にとっては負担があるかもしれませんが、同時に子供と話す楽しい時間でもあると思います。

 そして、この親との対話の中で、子供の語彙力や思考力が育っていくのです。

▽先日の作文発表交流会の作文から(面白い作文がたくさんありましたが、その中からひとつだけ)


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森川林 20190325  
 子供たちはみんな、学校で同じような勉強をしています。
 子供たちを取り巻く社会の環境も、大体どこも同じです。
 生まれつきの差はあるかもしれませんが、それはほんのわずかです。
 しかし、小学校低学年のころから既に思考力の差がかなり出てきます。
 それは、家庭での日常生活における読書(読み聞かせ)と対話の差なのです。
 だから、勉強をさせるために塾に通わせるより、毎日の生活の中で、読書と対話を少し意識的に行うだけで子供は大きく変わります。(ただし、最初のうちはその変化は目立ちませんが。)


nane 20190325  
 子供の学力の差とは、日本語力の差です。
 その日本語力は、塾で国語の勉強をすることによってつくのではありません。
 もちろん通信教育の国語の問題集でつくのでもありません。
 家庭の日常生活の中の読書と対話によってつくのです。
 だから、読書と対話のきっかけとなる言葉の森の作文の勉強が大事になるのです。


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記憶の勉強と創造の勉強――創造は信頼できる他人との関わりの中で育つ as/3642.html
森川林 2019/03/24 12:55 

 勉強のほとんどは、記憶の勉強です。
 漢字の書き取り、計算の問題、図形の問題、英語の問題など、すべて記憶したパターンを思い出してそれを答えにあてはめる勉強です。

 しかし、そうでない勉強もあります。
 それが創造の勉強です。
 そのひとつの典型が作文の勉強です。
 記憶を思い出して書くのではなく、その場で自分で先の流れを創造しながら書いていくからです。

 その創造に必要なのは、意欲です。
 新しい、より価値のある、より個性的なものを生み出したいという意欲が創造の源泉です。

 この意欲というものは、数値で評価できません。
 ここが、漢字の書き取りや計算の問題が、点数で簡単に表示できるのと根本的に違うところです。

 点数の出る勉強は、点数が出たらそれで終わりです。
 100点を取ったら、その先に110点や120点はありません。
 点数の出ない、意欲に依拠した創造の勉強は、100点を取ったあとに、110点や120点を目指すようなことができます。
 それが創造性です。

 その創造性は、平面的な数値では評価できませんが、人間にはその創造性を感知する力があります。
 だから、上手だがあまり創造的でないものと、下手だがその底に創造性があるものとの違いがわかるのです。

 作文の書き手にとって大事なのは、目標の字数まで書けたとか、項目が指示どおりできたとかいうこと以上に、他人が自分の作文をどう読んだかという評価です。
 点数の出る勉強であれば、点数が目標になりますが、作文は点数以上に他人の評価が目標になります。
 そして、その他人の評価とは、自分の創造性がどう他人に評価されたかということなのです。

 記憶の勉強は、答えがあるので、その答えを基準にした独学ができます。
 創造の勉強は、答えがないので、創造という目標に近い他人の評価が必要になります。
 創造の勉強を進める意欲の源泉は、他人との関わりの中にあるのです。

 言葉の森が、寺子屋オンラインという少人数の作文クラスを始めたのは、この他人との関わりの中で、作文がより意欲的に書けるとわかってきたからです。
 小学校低学年の子供にとっては、親や先生の評価が作文を書く意欲につながります。
 しかし、学年が上がるにつれて、親や先生以上に友達の評価が作文を書く意欲に大きく影響します。

 記憶の勉強は、独学でもできるし、その反対に学力別の集団教育でもできます。
 創造の勉強は、顔の見える少人数の中でなければできません。
 しかも、その少人数は、信頼のできる親しい少人数である必要があります。
 だから、寺子屋オンラインのクラスは、小学校低学年のうちから始めて、友達との信頼できる人間関係を作るのが最初の目標です。
 小学1、2年生のころの子供は、他人にはあまり関心がありません。
 自分と親と先生という狭い範囲が、周囲の世界のほとんどと占めています。
 しかし、その時期に他の子供と接する時間を持ち、そこで信頼できる人間関係を築いておくのです。

 言葉の森が、寺子屋オンラインの作文の勉強で、小学校低学年のクラスに独自に力を入れているのは、以上のような子供の成長の発達段階の見通しがあるからなのです。

▼参考資料「カテゴリー小学校低学年]
https://www.mori7.com/beb_category.php?id=6

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森川林 20190324  
 これからの社会を考えると、点数で表される学力を必要とする仕事は、次第にAIに取って代わられていきます。
 今の子供たちが社会人になるころには、その人でなければできない個性や創造性がより大きく評価されるようになります。
 しかし、その個性や創造性を発揮できる分野は、スポーツや芸術や音楽のようなところよりも、科学と技術の世界で大きく広がっています。
 スポーツや芸術や音楽は多様なように見えても、例えばオリンピックの種目の数に見られるように数えることができる程度に限られています。
 科学と技術の世界で個性や創造性を発揮できる場は無限に広がっています。
 だから、子供時代に第一に取り組むべきものは、創造性を育てる勉強なのです。
 そして、第二以降は、幸福に生きること、向上心を持つこと、世の中に貢献する意識を持つこと、です。


nane 20190324  
 寺子屋オンラインの子供たちの作文は、ただ通り一遍に書ければいいというのではなく、面白いものを書きたいという意識が表れています。
 ただし、それは小学校中学年以上のことで、小学1、2年生のころは、他人がどう受け止めるかということに対する関心はまだありません。
 しかし、この他人に対する関心がない時期に接した友達が、信頼できる友達になります。
 信頼できる人間関係の中で、創造性を育てる勉強をすることが、寺子屋オンライン教育の目標です。



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