ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 3653番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
プログラミング教育の未来と新しい作文教育 as/3653.html
森川林 2019/04/01 06:46 

 プログラミング教育について主に語っているのは、プログラミングに思い入れのある人たちと、プログラミングというものを全く知らない人たちです。
 だから、プログラミング教育が過大に評価されています。

 中学の技術家庭でプログラミングの教育が行われるようになるだろうことは、20年以上も前に予測されていましたが、その後の教育の変化は遅々として進みませんでした。
 そして、今やっとプログラミングが学校の正課の教科として取り上げられるようになりましたが、時代はもう一歩先に進んでいるのです。

 「スティーブ・ジョブズが子供に学ばせたかったAppleのデジタル教育」の著者であり、アップルの教育部門の初代バイスプレジデントであったジョン・カウチ氏は、コーディング(プログラミング)の教育における可能性を大きく評価しています。

 カウチ氏は、デジタルネイティブ世代に人気の高いゲームが、今の教育とは対極にあると述べています。
 第一は、対象とする世界がゲームの方が圧倒的に広く、それはプレイヤーの関わり方で無限に広がる点です。
 第二は、多くの人との協調や協力が求められ、それが認められることです。学校では「協力」は「ズル」とみなされることがあるのに対してです。
 第三は、プレイする場所がオンラインである点です。学校では、オンラインはほとんど活用されていません。
 そして、第四は、子供たちが楽しく真剣に取り組む点です。

 この第四が最も重要です。
 昔のゲームは、今の学校のように細かいルールと一直線の道が用意されていました。
 学校の教科書のように、決められた順に読み進めないと先に進めないという作り方がされていました。
 パターンを覚えてそれを繰り返し習熟することで、学校教育のように他人に勝つことが目的になっていました。
 今のゲームは、勝つことよりも、発見すること、創造すること、協力することに重点が置かれています。

 そういうゲームの面白さに通じる教育こそ、コーディング(プログラミング)教育だと言うのです。

 この大筋は、全面的に共感できる話で、これからは確かにゲームのように面白い教育が行われるようになると思います。
 親が、今の子供たちのゲームを止めたがるように、「もういい加減に勉強はやめて、別のことしなさい」と小言を言うようになる時代がやがて来るのです。

 しかし、それがコーディング教育によってなされるかというと、そこには大きな疑問があります。
 10年か20年前だったら、コーディング教育こそが、子供たちが熱中する、しかも創造的な教育でした。
 今、アメリカで生まれているさまざまなデジタルの革新的技術は、そのコーディング教育で育った世代によって作られたものだと思います。
 日本は、このデジタル教育の面で、大きく立ち遅れたのです。

 私は、個人的に、日本が立ち遅れた最も大きな原因は日本語文字コードの複雑さと混乱にあったと思っています。
 日本語文字コードの相次ぐトラブルが、中高生がプログラミングに熱中する手前の大きな壁になっていたのです。

 今はその問題はかなり軽減したので、今後プログラミング教育を進める前提は大きく改善されています。
 子供たちが、プログラミングに熱中する時代はすぐに来ると思います。

 しかし、時を同じくしてそのプログラミング教育の黄昏(たそがれ)が、現実の社会の側からやってくるのです。
 それは、コーディングが時代遅れになる時代です。

 昔、鉛筆をナイフで削る教育が行われていたことがありました。
 昔の子供たちのように、自分の持っている小型ナイフで鉛筆を削れるようになるというのは、子供たちにとって新しい経験で、その技術に習熟することはそれなりに面白いことでした。
 しかし、自動鉛筆削り器があったり、シャープペンシルがあったりする時代に、そのような面白さは持続させることができませんでした。

 同じようなことが、プログラミング教育にも生まれてくるのです。
 今のプログラミング教育は、一文字ずつ打ち込むような形で行われるものが想定されていると思います。
 しかし、そのような手作業的なものは、現実の世界ではなくなりつつあります。
 ひとまとまりのプログラミングを一つのブロックとして扱い、そのブロックをレゴのように組み立てる方向に向かいつつあるのです。

 ブロックの組み立てにも確かに創造性はありますが、最初から手作業でひとつずつのコマンドを書いて組み立てるような難しさも面白さもありません。
 プログラミング教育は、だんだん頭を使わないような方向に進化する可能性があるのです。

 それは、かつてパソコンの製造が最先端の技術のように言われていたものが、今ではどこでもできるパーツの組立産業になっていることと同様の進化です。

 では、未来の教育を担うものが、コーディング教育でないとしたら、何になるのでしょうか。
 未来の教育とは、自由で、自主的で、知的で、創造的で、他の人との協力が自然に生まれるような教育です。

 それを、私は、新しい作文教育の中で実現できると思っています。
 そして、その新しい作文教育を世界に先駆けて発信できる国が、万葉集の伝統を持つ日本なのです。
 これからの寺子屋オンラインの作文クラスを、このような大きな見取り図の中で進めていく予定です。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20190401  
 昔のプログラマーの卵たちは、「こんなコード書いたんだよ」と言うと、みんなが驚いてくれました。
 今は、そしてこれからは、どんなに工夫したコードを書いても、「ああ、それ、スマホのアプリにもあるよ」と言われるようになります。
 このような中で、コーディングに熱中する子が生まれるとは思えません。
 新しい教育は、プログラミングとは別のところで、そして日本で生まれるようになるのです。


nane 20190401  
 私は、20年前に、みんながプログラミングに熱中する時代が来ると思っていました。
 しかし、今は、もうそのような時代は来ないと思っています。
 プログラミング教育は、学校の教科の中に組み込まれますが、それは、電卓の時代に手計算の練習をするような普通の教科になっていくのです。
 そのプログラミング教育に代わる新しい未来の教育が、新しい作文教育です。


同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
プログラミング教育(5) 未来の教育(31) 

記事 3652番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
春の読書作文キャンプ無事終了 as/3652.html
森川林 2019/03/31 16:26 

 春の読書作文キャンプが、31日午後1時半ごろ無事終了しました。
 迎えに来ていただいたお父さん、お母さん方、ありがとうございました。

 初日の読書時間に、言葉の森の講師2名の飛び入り参加があり、参加生徒と先生のリアルな初顔合わせもありました。(普段は、Zoomなどの準リアル対面なので)
 そして、一緒にバーベキュー広場から瀬上の池まで同行してくれました。

 2日目のどんぐりハウス前の広場でも、言葉の森の講師と名犬ゆめがみんなを出迎えてくれました。

 初日の夕方のおふろの王様は、車が入れないほど混んでいたので、そのあとに予定していた作文は延期にし、そのかわり百円ショップに行ってしばらく時間をつぶし、夕方8時におふろの王様に再挑戦。雨の中で露天風呂に入ってきました。

 時間がずれこんだため、夜は寝るのが11時近くになってしまいました。
 遅くまで騒いでいたのに、ほとんどの子が5時ごろからもう起き出しました。

 2日目の朝は、読書を省略して最初から作文。
 全員、たとえとダジャレを入れる課題で学年の百倍の字数まで書きました。

 2日の昼は、どんぐりハウスで遊んだあと、芝生の上で作文の発表会をする予定でしたが、みんな遊びに夢中でそんな雰囲気は全然なかったので、ただ遊ぶだけになりました。

 今回のキャンプは、できるだけ子供たちにやってもらうことにしたので、上級生の子が下級生の子たちの面倒をよく見てくれました。
 上級生のみなさん、ありがとうございました。

 キャンプ期間中の作文と動画は、のちほどアップし、参加した方にメールで連絡します。
 以下は、その写真の一部です。

▽読書。
 みんなそれぞれ個性のある本を持ってきて、集中して読んでいました。


▽出発。
 最初は曇り空でしたが、途中から晴れてきました。出発時には、もう飛び入り参加の先生もいました。


▽バーベキュー。
 広場で用意してくれた食材で、お肉がいっぱい入っていました。


▽バーベキュー広場。
 食べたり、遊んだり、また食べたり、を繰り返しました。みんなすごい食欲でした。


▽瀬上の池。
 全員、網を持って勇んで出かけたものの、小さなオタマジャクシが数匹いるだけでした。


▽朝食。
 バイキング形式で、それぞれが自分の好きなものをお皿に入れてきました。ワッフルを何度も焼いては食べている子がいました。


▽作文。
 45分の予定をかなりオーバーしましたが、全員が新学年の百倍、たとえとダジャレを入れる課題を書き上げました。


▽どんぐりハウス。
 ハシゴを登ったり、ぐるぐる滑り台を降りたり、地下室に入ったり、みんなでフルに遊びました。お昼は、自分たちで選んできたお弁当やパン。


この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20190401  
 春の読書作文キャンプを30,31日と一泊二日で行いました。
 初めて会う子供たちが大半でしたが、2日目には旧知の友達どうしのようになりました。
 今回は、できるだけ事前の準備や全体の企画はせずに、子供たちと一緒に自由に遊びと勉強のできるキャンプを目指しました。
 子供たちも、そういうやり方が好きだったようで、何人もの子が、「このあと、自由時間ある?」と聞いていました。
 その自由時間で、子供たちどうしがいろいろな遊びをしていたのです。
 そして、読書と遊びの時間には、みんな集中して取り組んでいたので、「よく遊びよく学べ」を実践したようなキャンプになりました。あと、「よく食べ」と(笑)。


nane 20190401  
 今回のキャンプは、曇り時々雨の予報でしたが、昼ごろから晴れだし春らしいキャンプになりました。
 30日の夕方から夜にかけては大雨になりましたが、その雨をついて露天風呂に行ったのは、かえって面白い経験になったと思います。
 翌日の31日は好天で、芝生の上の昼ごはんはお花見気分でした。


同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
合宿(14) 
コメント11~20件
……前のコメント
総合学力クラス 森川林
子供は、暇そうにしているのがいちばんです。 年がら年中がん 6/22
記事 5107番
さまざまな勉強 森川林
勉強は、作文と読書と算数数学と歴史を中心にやることです。 6/21
記事 5106番
作文力がこれか 森川林
作文力をつけるために必要なのは読書と対話。 出力の前に入力 6/19
記事 5105番
作文を書くとき 森川林
 接続語と助動詞は、実は重要です。  中学生や高校生で、文 6/18
記事 5104番
国語は、読む力 森川林
国語の力をつけるための音読は、1冊の問題集を繰り返し読むのが 6/16
記事 5103番
国語力は、テク 森川林
国語力をテクニックで身につけようという考えそのものがあさはか 6/14
記事 5100番
本当の勉強は、 森川林
子供は、自然に成長していれば、みんな時期が来ればそれぞれにが 6/12
記事 5098番
これから大学生 森川林
MMさん、ありがとうございます。 これは、10年以上前の記 6/12
記事 820番
これから大学生 MM
先生の書かれていることは今読んでもそのまま通じます。 10 6/11
記事 820番
毎週作文を書く 森川林
作文の勉強というのは、負担の大きい勉強です。 だからこそ、 6/11
記事 5097番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習