小中学生の勉強で最も大切なのは、毎日決まったことをする習慣をつけることです。
よく、成績が上がらないとか、成績が下がったとかいう相談を受けることがあります。
その最も大きな原因は、能力でもなく、勉強の仕方でも、塾の選び方でもなく、教える先生の問題でもなく、ほとんどの場合その子が毎日勉強する体制になっていないことだけです。
小中学生の勉強は、入試問題を解く勉強以外は、難しいことは何もありません。
しかし、勉強を、毎日ではなく宿題があるときだけやったり、塾のあるときだけやったりするような勉強の仕方だと、必ず学校で習った範囲でわからなくなるところが出てきます。
それが積み重なって成績が上がらなくなるのですが、分からないところがある程度増えてくると、自分でもどこから手をつけていいか見当がつかなくなります。
それが、成績が上がらなくなる原因なのです。
そのときにやりがちなのが、ある日突然思いついて急にたくさんの勉強を始めることです。
学力は毎日の積み重ねによってできるものなので、1週間分の勉強を1日でやって、あとの6日間は何もしないというやり方では学力はつきません。
短い時間でいいので、毎日同じ時刻に、同じ勉強をする体制を作っておくことが大事なのです。
勉強は、たくさんさせるよりも毎日欠かさずさせることを重点とします。
ところで、子供によっては毎日たくさんの勉強をさせられている子もいます。
受験期に本人が納得して行う「毎日」「たくさん」の勉強は全く問題がありません。
むしろ、毎日たくさんの勉強することによって、短期間で急速に力をつけることができます。
しかし、小学校低中学年のころに毎日たくさんの勉強をさせると、学年が上がるにつれてその反動がやってくることがあるのです。
その反動の最もよくある兆候は、集中力の乏しい勉強を長時間やるような勉強習慣がついてしまうことです。
お母さんは、子供が長い時間勉強していると安心し、短い時間で勉強を終わらせると不安になるものです。
しかし、短い時間で勉強を仕上げる姿勢の方が、集中力のある勉強の仕方につながります。
小学校低学年で親の話をよく聞く子供は、長時間の勉強を特に苦もなくやっているように見えることがあります。
親は、それを見て満足するのではなく、早めに、「もう勉強やめて、あとは自分の好きなことをして遊びなさい」と言ってあげる必要があります。
子供の本当の心は、親にそう言われるのを待っているのです。
このような毎日の勉強の習慣をつけるのに役立つものが自主学習クラスです。
先生が、家庭における子供たちの勉強の仕方を見ているとこ、おのずからその勉強の仕方のよい点とよくない点が分かってきます。
親が単独で子供の勉強を見るよりも、また先生が単独で子供の勉強を見るよりも、親と先生が協力し補い合って勉強の仕方を見ていくことが毎日の勉強の習慣づくりにとって大切なことになるのです。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
子供の勉強は、毎日同じようにやることが大切です。
大人のように、日曜日は休みなどとしない方がいいのです。
だから、旅行に出かけたときも、毎日の勉強道具(課題フォルダ、暗唱長文、読書用の本など)は持って、たとえ短い時間であっても旅行先で同じようにやっていくといいのです。
しかし、どうしても例外が生じる場合があります。
そのときは、うやむやのうちに例外を認めるのではなく、子供に、今日はこういう理由だから勉強はお休みにしようと、ちゃんと言葉として言っておくことです。
勉強の仕方でよくある間違いは、難しい問題集をやらせることです。
難しい問題集をやって、できなかった問題が何問か残るというやり方では実力はつきません。
できない問題が1問もなくなるまでやって初めて力がつきます。
だから、問題集は普通の難しさで、たまに難しい問題があるぐらいがちょうどいいのです。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。小学校低学年(79) 自主学習クラス(0) 家庭学習(92) 勉強の仕方(119)
暗唱の仕方で大事なコツは三つあります。
一つは、毎日練習をすることです。
練習にかかる時間は10分程度です。
毎日やるためには、朝ご飯の前などの毎日確実にできる時間帯を暗唱練習の時間と決めることです。
もう一つは、すらすら読めるようになるまで、文章を見て読むようにすることです。
文章を見ずに読んで、途中でつっかえたり、思い出して読んだり、読み間違えたりすると、そのつっかえたり思い出したり読み間違えたりしたところが癖になってしまうので、あとから直そうとしてもなかなか直りません。
暗唱の初めのうちは、文章を見てゆっくり正確に読んでいくことです。
正確に読めるようになったら、できるだけ早口読むように切り換えていきます。
第三に、暗唱は覚えることを目標にするのではなく、回数を決めて音読を繰り返すことを目標とすることです。
回数は30回が基準です。
大人でも、100字程度の同じ文章を30回繰り返して音読すると暗唱できるようになります。
低学年のうちはもっと回数が少なくても暗唱できるので、その子に合った回数を決めて読むようにしてもかまいません。
大事なことは、覚えられたからおしまいとするのではなく、決めた回数を音読したからおしまいというふうにすることです。
なぜ、覚えることを目標にしないかというと、覚えることを目標にすると、難しい文章や長い文章になったときに、できないと言う子が出てくるからです。
回数を繰り返すというだけなら、誰でも例外なくできます。
覚えることが目標ではなく、音読を繰り返すことが目標とすることによって、その結果として自然に覚えていたという結果になるのです。
ところで、低学年のうちは文章を読み取る力がないために、文章を繰り返して読むということがスムーズにできない場合があります。
その場合は、最初から本人に読ませるのではなく、お母さんが音読するのを聴かせるだけでもいいのです。
聴いているうちにだんだん真似をして言えるようになります。
すると、やがて文章を目で追いながら音読もできるようになってきます。
低学年のうちは、気長に、半分遊びのような感覚で続けていくことが大事です。
幼稚園年長から小学2年生までは、暗唱の力が最も伸びる時期だと言われています。
この時期に、子供が負担を感じないやり方で暗唱の力をつけておくと、学年が上がってからも暗唱のコツが分かるので、その暗唱力を語彙力や記憶力や表現力に活かしていくことができます。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
貝原益軒は、四書五経の教材で、毎日100字分を100回読むことを勉強の基準としていました。
しかし、今の時代に、子供に100回読ませるというのは至難の業(わざ)です。。
そこで、言葉の森では、暗唱の回数の基準を30回としたのです。
30回音読をすると、25回めあたりから急に頭に入ってくるようになるからです。
今の子は、繰り返しの勉強に慣れていません。
教材が豊富にあるので、1回やったらおしまいにして、次の教材に移るというような勉強の仕方をしている子が多いと思います。
しかし、そのやり方では実力はつきません。
暗唱は、繰り返しの勉強が役に立つということを実感する機会になります。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。暗唱(121)