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記事 3803番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/4
書く力は読む力より遅れて成長する――書く語彙を増やす音読と対話 as/3803.html
森川林 2019/07/26 11:19 

 昨日の保護者懇談会の席で,小学5年生の子のお母さんから次のような相談がありました。
 それは、「4年生までのやさしい課題では上手に書いていたのに、5年生になると課題が難しくなってなかなか書けなくなった。特に感想のところが物足りないことしか書けない」という相談です。
 これは、どの5年生の子にも当てはまる問題であって、特にその子だけ感想が物足りないのではありません。

 言葉の森では、小学6年生で、「一般化の主題」という感想の書き方を練習します。
 それは、テーマとなっている事柄を、「人間にとって」、又は「社会にとって」という抽象的な枠組みで捉えて書く感想の書き方です。
 ところが、こういう考え方が自然にできる子は、小学6年生の約50パーセントだと言われています。
 特に、男の子の大部分は、人間という枠組みで物事を捉えるような年齢にはなっていません。

 書く力は、読む力よりも遅れて成長していきます。
 ですから、そういう「人間」という枠組みで捉える書き方ができない子でも、「人間」という枠組みで書かれた文章を読んで理解することはできるのです。
 理解はできるが、自分で考えて書くことができないというのが読む力と書く力の相違です。

 しかし、そういう子供たちも、難しい文章を読むことに慣れてくると、だんだんと自分の力で抽象的な言葉を使った感想を書けるようになります。
 それを助けるためにどうしたらよいかというと、第一は、課題の長文を繰り返し音読することです。
 第二は、その音読に応じて、お母さんやお父さんが自分の体験談からできるだけ面白い似た話をしてあげて、その対話の中でお父さんお母さんだったら書くような少し抽象的な感想も盛り込むようにするのです。

 するとそのうち、子供が作文を書くときに、どんな感想がふさわしいのか聞いてくることが出てきます。
 そこで、お父さんやお母さんが、感想として考えられるようないくつかの案を教えてあげると、子供は理解する力はありますから、それを活かして自分で感想を書くようになります。
 その感想が先生に褒められることによって、供はますます感想をよりよいものにしようという意識を持つようになります。

 子供は成長の途上にありますが、作文として書かれたものはまるで完成した作品のような装いを持っています。
 そのために、大人はついその作文の不十分な点を先に見てしまうのですが、大事なことは、成長する途上の子供が書いた成長する途上の作文だという見方で作文を見ることです。

 そのために、自分の力だけで作文を書かせるのではなく、お父さんお母さんが手助けをして子供たちの語彙力を増やしていくといいのです。

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森川林 20190726  
 学年が上がり、課題が難しくなるたびに、子供たちは一時的に作文が下手になります。
 その時期は、小3の感想文、小5の難しい感想文、中1の意見文、高1の抽象的なテーマの意見文です。
 それまで上手に書いていた子が、前よりも下手な作文を書くようになるのです。
 しかし、子供はうすうす自分がうまく書けなくなったということを気づいています。
 だから、お父さんやお母さんは、「前の方が上手だったね」などとは言わずに(笑)、難しい課題に取り組んでいる自体を褒めて上げるといいのです。


nane 20190726  
 子供たちが書いている普段の作文は、作品として見るよりも、作文の練習としてみることです。
 だから、第一段落の要約と、第二段落の似た話がうまくつながらなくてもいいのです。
 また、書き出しの工夫や、たとえの表現が、文章にうまくなじんでいなくてもいいのです。
 ひとまとまりの作品として仕上げるのは清書などの作品を仕上げるときでいいからです。


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暗唱の新しいツール、数取り器 as/3802.html
森川林 2019/07/25 09:04 

 暗唱するときに、覚えるまで読むというやり方ではなく、決めた回数を繰り返すというやり方をすると、やさしい文章のときも難しい文章のときも同じように暗唱をすることができます。

 回数を数える方法には、「正」の字を書くとか、数珠を使うとかいろいろなやり方があります。
 しかし、もっと手軽にできる方法がないかと考えて、紙を折って数える紙折り暗唱の方法を考えました。
 これは、片手で紙を折りながら30回まで数えられるので、慣れた人にはやりやすい方法です。
 しかし、初めての人の場合は、紙の折り方が分からないので、かえって数えにくいということもありました。

 そこで、最近見つけたのがデジタルカウンター(数取り器)です。
 カウンターを使うと、自分が何回まで数えたかということがデジタルの数字でわかるので、目標がはっきりします。

 このやり方をしていくと、誰でも決めた回数が暗唱できるようになります。
 もちろん、紙折り暗唱に慣れた人は、紙を折る方がやりやすいと思いますが。


 暗唱のコツは、句点や読点でなるべく区切らずに読むということです。
 ただし、まったく区切らずに早口で読むのが難しい場合は、句点や読点のところで読み方を伸ばして次の言葉に移るというやり方をするといいのです
 意味を理解しながら読むというよりも、言葉の音のひとつながりとして読むのです。

 意味として理解したことは、覚えるのも早いのですが、忘れるのもまた早くなります。
 忙しい現代社会では、ほとんどの人が意味を理解する方法に慣れているので、すぐに覚えてすぐに忘れるという勉強法を繰り返しています。

 たくさんの知識を再現するためのテスト勉強ならそれでいいのですが、自分の中に確実に残った少数のものを生かすという勉強をするためには、時間をかけて身につける方法が必要です。

 貝原益軒は、四書五経の百字分を百回空に読み空に書くという勉強法を勧めました。
 この方法が、日本全国の寺子屋の学習の基本になっていったのだと思います。

 暗唱の効果というものは、やってみないとわからないところがあります。
 これから新たに暗唱に取り組む人は、このカウンターを使った暗唱をやってみてください。

【追伸】
 その後、そうふく君のお母さんから、「キッチンタイマーを使っている」という方法を教えてもらいました。
 タイマーの設定をするとき、30分の設定する場合は、1分を30回押すので、そのボタンを押すのを1回とするのだそうです。
 どの家庭にもある身近なものなので、いい方法だと思いました。

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森川林 20190725  
 暗唱には、小さなコツがいろいろあります。
 その一つは、動きながら暗唱することです。
 もう一つは、句読点でなるべく区切らずに読むことです。
 そして、第三に、暗唱は、覚えようとしたり、思い出そうとしたりしないことです。
 思い出して暗唱すると、思い出すときの「えーと」という間がいつも暗唱の中に入ってくるようになります。
 思い出すぐらいなら、元の文章を目で追いながら読んでいく方がいいのです。


nane 20190725  
 湯川秀樹は、6歳のころに始めた暗唱を苦痛に感じていたようです。
 秀樹の兄たちが使った四書五経のテキストには、兄たちの涙のあとらしいものがついていたそうです。
 そういう苦痛な暗唱が、江戸時代には子供たちの普通の勉強法として普及していました。
 それはなぜかというと、子供たちが大勢で一緒にやる暗唱は、遊びのような感覚があったからだと思います。
 先生と一対一の勉強は、その勉強の苦しい面が出てきます。
 みんなで一緒にやる勉強は、その勉強の楽しい面が出てきます。
 だから、暗唱も楽しい雰囲気でやるようにすれば続けられるのです。


そうふく 20190725  
うちでは、次男が発見したのですが、キッチンタイマーを使っています。
大体のキッチンタイマー、例えば、30秒にセットするのであれば、30回、”秒”のボタンを押すと思うのです。
なので、1回暗唱読めば、”秒”を1回押す、、、とやっています。
先生もどこかで紹介していたら、すみませんが。

森川林 20190725  
 そうふく母さん、ありがとう。
 なるほど、そういう方法があったんですね。既にあるものの活用というのがいちばんいいと思います。
 本文に追加しておきますね。

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